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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


「ねえ、ツバサちゃんも食べていかない? チョコバナナ。美味しいよ」

「あ、はい…」

「だから、タダなら食べるってば。カナのおごりにしてよ」

ツバサがポーチから財布を取り出そうとすると、リオが横からそう言ってきた。

「ダーメ。友達でも、お金はもらいます。あ、そうだ。二本買うんだったら、オプションをサービスしてあげてもいいよ」

「オプションって?」

「じゃーん。こちらでーす」

カナはそう言って、チョコバナナが並んでいる台の前に置かれた、小さな銀色の鍋のふたを開けて見せた。
IHヒーターの上に置かれたその鍋の中には、とろりとした白い液体が入っており、ふたを開けると、甘い匂いがあたりに広がった。

「なにコレ? チョコレート?」

「そう。あまーいチョコバナナに、さらにホワイトチョコフォンデュができるんだよね。ホントならプラス100円貰うんだけど、サービスでタダにしてあげるよ」

「へー。美味しそうじゃん。分かった。これ、買うね。アタシとツバサちゃんの分。二本ちょうだい」

「ありがとうございまーす!」

カナコを含めた、屋台の女の子全員が、ペコリと頭を下げた。

「えーっと、じゃあさ、それちょうだい。そっちの、2段目のヤツ。あ、それじゃない。その隣の、もっと太いヤツ。そうそう」

リオが黒いチョコレートで覆われたバナナを選んでいる間、ツバサは男なら当然想像するであろうことを思い浮かべていた。

「あ、ありがとー。それで? これをつけて食べるのね?」

「そうそう。たっぷりつけちゃって。サービスだからね」

リオは手に取ったチョコバナナを、銀色の鍋の中に溶けているホワイトチョコレートに、カナコに勧められた通り、豪快に突っ込んだ。
鍋から持ち上げたチョコバナナの先端には、べったりと粘り気のある白い液体が付着していた。

「あ、美味しそー」

「熱いから、気を付けてね」

「はーい」

と、リオはチョコバナナの先端についたホワイトチョコを、舌を伸ばして舐めとろうとする。
その様子を、ツバサは無意識のうちに凝視してしまっていた。

「あ、ツバサちゃんも食べるよね?」

「あ! は…はい…」

彼女たちは、本当に気がついていないのだろうかと思った。
リオはともかく、あるいはこの学校の生徒である育ちの良いお嬢さまたちは、気づいていないのかもしれない。
今どき、テレビの深夜放送でも規制がかかりそうな、白い粘着質の液体がついたバナナを見て、ツバサはそう感じていた。
男なら、リオのような美少女がバナナを口に咥えているだけでも連想してしまうことがある。ましてその先についた白い液体を舌で舐めとる姿といったら。写真を撮られて、ネット上に拡散されてもおかしくないほどの刺激的な光景だった。
しかし今この空間には、女の子しかいないのだ。
しかも奇跡的に純真で、無垢な女の子たちしか。
幼少のころから女の子に憧れを持ち、女装を趣味としているツバサだったが、その性的嗜好は意外なほど一般的なものに近かった。

「あっ…つ! 熱いね、コレ。でも、おいしー」

唇についたホワイトチョコを、舌をペロリと出して舐めとったその表情に、ツバサの中のスイッチが入ってしまった。
もはや自分でもよく分かるほどに、ツバサの股間にある男の象徴が、膨張してしまっている。

「はい、ツバサちゃんもどうぞ」

「あ、ありがとう…ございます」

チョコバナナをカナコから受け取ろうとしたときにはすでに、その腰は少し引き気味になってしまっていた。
ツバサの股間にあるイチモツは、平均的な男子高校生のそれより小さめなことは自覚していたが、それでも全開まで勃起すれば、女物のワンピースの前を膨らませることくらいはできそうだった。

「あ…おいしいです…」

「ホント? ありがとー」

それと分からないように、股間に細心の注意を払いながら、チョコバナナを頬張る。
その様子を、リオは横目で、しかし注意深く見ていた。

「あ、ツバサちゃん。服にこぼれちゃったよ」

先に食べ終わったリオが、ふとツバサのワンピースを見て、そう言った。

「え? あ…」

どうやら、チョコバナナに付いていたカラフルなスプレーチョコが、ツバサのワンピースに落ちてしまったようだった。

「もー、ダメじゃない、気をつけなきゃ。その服、買ったばっかりなんでしょ? どれ、見せて」

その様子は、親戚のお姉さんが年下の従妹をしつけるものに相違なく、ある意味で微笑ましい光景だった。
カナコと他の生徒たちも、その動作に何の違和感も感じず、客の対応や呼び込みを続けていた。

「はい、ちゃんと叩いて落としてね。パンパン!」

「うっ!!」

と、ツバサは息を詰まらせ、思わず手に持っていたチョコバナナを落としそうになった。
ワンピースのスプレーチョコを払い落としていたリオの右手が、不意にツバサの急所を、ピンポイントで下から叩き上げたのである。
ムニュっとした感触がリオの掌に伝わり、彼女は自分の作戦がうまくいったことを確信する。

「あ…うぅ…」

軽く叩かれただけとはいえ、勃起によってキュッと引き締まっていた男の急所は敏感だった。
じんわりと湧き上がってくる痛みをこらえるため、腰を引いて股間を手でおさえそうになるツバサに、リオが耳元で囁いた。

「どうしたの? そんなとこおさえちゃって? アンタが男だって、みんなにバレちゃうよ?」

「…!!」

ツバサの顔から、一気に血の気が引いた。

「女装して女子校に入ってくるなんて、完璧に変態だよね。さっきの警備員さんが飛んできて、アンタのことつまみ出しちゃうんじゃない? ひょっとすると、警察に連れて行かれるかも…」

唇をゆがめて囁きながら、細かく震えだしたツバサを観察している。

「でも大丈夫だよね? ツバサちゃんは女の子なんだから。脚の間に余計なものなんてついてないんでしょ? 叩かれても痛くないし、エロい想像して膨らますものもないんだよね。頑張ってね、ツバサちゃん」

その囁きは、決して周りの人間に聞こえることのないものだったが、ツバサの脳内には深く刻み込まれた。
ツバサは唇を噛みしめて、なんとか背筋を伸ばそうとした。
しかし下腹部から湧き上がってくる痺れるような痛みは、そう簡単には治まるものではなく、片手を腰に当てて、内股になって両ひざを揃えることで、必死に耐えていた。

「ほら、キレイなった。良かったね、ツバサちゃん」

「う、うん…。ありがと…」

リオの後ろに、カナコたちもいる。
今は何も気がついていないが、もしツバサが股間をおさえてうずくまるようなことになれば、さすがに彼女たちも異常に気がつくだろう。
周りにいる自分以外の人間はすべて女性で、このどうしようもない金玉の痛みを味わわなければならないのは自分だけなのだとだという事実に、ツバサは強烈な孤独感と劣等感を感じてしまった。
この広い学校の中に、股間を軽く叩かれたくらいで悶絶するような痛みを感じる人間が、他にいるだろうか。
ショートパンツを履いたリオの股間は、すっきりとした逆三角形を描いているし、学校の生徒たちも、スカートの股間をみっともなく膨らませる心配などしたことがないだろう。
そう思うと、ツバサは自分の股間についている男の象徴がこの上なく情けないものに思えてきて、自分も周りにいる女の子たちのように、すっきりとした股間になりたいと、願うような気持ちになってしまった。

「あ、まだついてた。指で弾いちゃうね。ピーン!」

痛みと苦悩で、思考が半分停止していたツバサの股間を、リオが中指で弾いた。
もちろん、先程の一撃でツバサの金玉袋の位置を確認していた彼女は、それを斜め下から弾くように狙いを定めていた。

「あうっ!!」

再び、ツバサの股間に衝撃が走った。
弾いたのは女の子の細い指のはずだったが、受けた衝撃は、重いハンマーで殴られたようだった。

「ぐ…う…!!」

体中に電気が走ったように、一瞬硬直したツバサの体は、ゆっくりと下から上がってきた強烈な鈍痛に耐えるように、細かく震えていた。
額に脂汗を浮かべながら、眉を寄せて痛みに耐えるツバサのその表情に、リオは思わず興奮してしまう。

「痛かった? ねえ、痛かったの?」

リオが目を輝かせて聞いても、ツバサはただ、うなずくことしかできない。
「自分は女の子なんだ」といくら言い聞かせようとしても、股間から湧き上がってくる痛みはそれを全否定して、男に生まれたことを後悔させようとする。

「痛いよね? アンタやっぱり、男だもんね。指で弾いただけで、震えちゃうくらい痛いタマがついてる、男だもんね」

そう囁くリオの顔は、本人が気づかないうちに、笑ってしまっていた。
どうやら彼女は、ツバサが感じている劣等感とは全く逆の、女だけが持つことを許される優越感を噛みしめているようだった。
他人から見れば、リオは平均をはるかに上回る美少女で、スタイルも良く、同性から憧れられる存在だったが、彼女自身は、自分のことを美しいと思った経験は少なかった。その矛盾が、彼女の女としての欲求や性格を屈折したものにしてしまっているようだった。
その原因は、幼少のころに両親が離婚し、母子家庭で育ったため、父性というものに触れることがなかったためかもしれない。
人生で最初に愛すべき異性を持たなかったリオは、思春期になると男に対してどういう感情を持つべきなのか理解できず、自分の外見ばかりを褒める男たちが、安っぽい存在にしか見えなかった。
そして次第に男そのものを軽蔑するようになり、女性の優越性を信じて、男に恋をすることなど考えもしなくなってしまったのである。
そんなときに現れたのが、ツバサだった。

「ツバサちゃん、大丈夫?」

満面の歪んだ笑みを浮かべながら、しかし心底心配しているかのように、リオはツバサの肩を抱きしめた。
そして、彼の耳元で囁くのである。

「ツバサちゃんは、髪もサラサラで、いい匂いもするし。ホントに女の子みたいなのにね。お股の間にブラブラするみっともないもの下げてて、それですっごく痛い思いしてるんだ。かわいそう…」

外見は、リオが憧れると言ってもいいくらい女の子らしい女の子であるのに、実際にはそれはまやかしに過ぎず、本当の姿は、彼女が軽蔑しきっている男。
ツバサの中にあるそのギャップを見つけたときに、彼女は自分の中の隠されていた性的嗜好が、花開くような気がした。
それは、丹念に積み上げた積み木を、一気に崩してしまうような解放感。
豪華にデコレーションされたケーキを、足で踏みつけてグチャグチャにしてしまうような、そんな屈折した快感に近いものだった。

「あ…うぅ…」

一方のツバサも、抱き付かれて感じたリオの女の子らしい柔らかい体の感触に、劣等感を伴ったほろ苦い快感を覚えていた。
女性に憧れ、見た目は完璧に女の子になったつもりだったのに、今、自分が味わっている痛みと苦しみは、どうしようもないほどに自分は男なのだと感じさせている。
それはどこまでいっても変わることのない、ツバサの男としての肉体の欠陥のようなものだった。
そう考えると、今、自分に体を寄せているリオという女性とその欠陥の無い肉体に、恋愛感情をはるかに超える尊敬の念のようなものを抱かずにはいられなかった。

「あれ? どうかしたの、ツバサちゃん?」

背中を曲げてうつむいているツバサと、それを支えるように肩を抱くリオを見て、さすがにカナコたちも異常に気がついた。

「あ、うん。なんかちょっと、急にお腹が痛くなっちゃったみたい」

「あ、そうなの? 大丈夫?」

「うん。まあ…。大丈夫だよね?」

リオはツバサの下腹部のあたりに、そっと手を添えてやった。

「ちょっと、トイレに連れて行ってくるね。どっちかな…」

「あ、トイレ、あっちだよ。校舎の中にあるから。お大事にね、ツバサちゃん」

「あ、はい…」

最後にようやく、ツバサは青い顔をしてうなずくことができた。
そしてそのツバサを支えながら、リオは校舎の方へ歩いて行った。



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