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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。



「ここで速報が入りました。今大会から正式種目に採用されたボールバスティング個人戦で、日本の小坂リエ選手が金メダルを取りました。日本の小坂選手、金メダルです」

女性アナウンサーが、興奮した様子で原稿を読み上げる。
時は20XX年。この年の夏も、世間はオリンピックの話題で持ちきりだった。

「それでは、現地を呼んでみましょう。現地の森さん?」

画面が切り替わると、息を切らし、日の丸の国旗を肩にかけた選手と、マイクを持った女性アナウンサーが映った。

「はい。こちらにですね、たった今、競技を終えて、金メダルが確定したばかりの小坂選手に来ていただいています。小坂選手、おめでとうございます!」

「ありがとうございます!」

「日本ボールバスティング界、初の金メダルということになりましたが、今のお気持ちはいかがですか?」

「はい! とてもうれしいというか、もう、本当に何も考えられません。ずっと練習して、続けてきて良かったな、という感じです!」

「金メダルを取った要因というか、勝利のカギはどこだったんでしょうか?」

「そうですね。やっぱり、前半での握り潰しがキレイに決まってくれて、クラッシュがたくさん取れたのと、後半のパンツの方でも、狙ってたスマッシュが全部入ったので、それが大きかったと思います」

「そうですか。日本でもたくさんの方が小坂選手を応援してくれていたと思いますが、一言、いただけますか?」

「はい。応援ありがとうございました! 団体戦も全力でプレイして、できるだけたくさんのタマを潰していきたいと思います。よろしくお願いします!」

満面の笑みを、カメラに向けた。

「ありがとうございます。現地より、金メダルを獲得した小坂選手でした」




画面が切り替わり、日本のスタジオにいる女性アナウンサーが受け取った。

「はい。という小坂選手のインタビューでしたが。日本人選手が金メダルということで、素晴らしいですね。しかもこのボールバスティングというのは、今大会から正式採用された競技ということで、小坂選手は歴史に名を刻んだと言えるかもしれません。どうでしょう、堀末さん?」

アナウンサーに振られると、コメンテーター席に座っていた元オリンピック選手の男性は、無表情にうなずいた。

「はい。まあ…。素晴らしいですね」

「そうですよね。ですが、このボールバスティングという競技、まだあまり知られていないと思います。というわけで本日は、特別ゲストとして、元ボールバスティング日本代表選手であり、現在は日本ボールバスティング協会専務理事を務めていらっしゃる、橘サヤカさんをお迎えしております。よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

コメンテーター席に座った中年女性が頭を下げた。

「橘さん。ボールバスティングという競技は、日本ではまだあまりなじみがないものだと思うんですが」

「そうですね。ボールバスティングは、もともとはイスラエルで教えられていた護身術を発展させたものと言われています。人の形をしたダミー人形の股間にぶら下げられたボールを、いかに素早く正確に攻撃するかを競う競技ですね」

「なるほど。もともと護身術から始まったんですね。それで、股間のボールを攻撃するという。今、日本の競技人口はどのくらいなんですか?」

「現在はだいたい2万人ほどだと思います。ですが、今回オリンピックの正式種目になりましたし、日本の選手が金メダルを取ったわけですから、これからもっと増えると期待しています」

「そうですね。しかし、このボールバスティングは、競技人口の大半が女性だと聞きました。今回のオリンピックでも、女子のみの参加となっていますね。そういったスポーツは、ちょっと珍しいですね」

「そうですね。やはり、競技の性格と言いますか、男性には飛び込みづらい世界なのかもしれません。しかし、子供からお年寄りまで気軽に楽しめるスポーツだと思います。プレイするうちに護身術を覚えることにもなりますし、世界中のあらゆる女性にお勧めできるスポーツだと思います」

「はい。ありがとうございます。それではそのボールバスティングなんですが、実は私、松浦が橘さんのご指導の下、体験をしてまいりました。非常に面白い体験でしたので、ぜひVTRをご覧ください」




画面が切り替わり、体育館のような場所に、スポーツウェア姿の松浦アナと橘サヤカがいた。
二人の傍らには、白い等身大の人形のようなものが置いてある。

「さて、本日は女性を中心に話題のスポーツ、ボールバスティングを体験してみようと思います。橘さん、よろしくお願いします」

「お願いします」

「まずはボールバスティングのやり方について、説明して頂けますか?」

「はい。ボールバスティングは、こちらにあるダミー人形ですね。この股間にボールがぶら下がっていますので、このボールをいかに素早く正確に攻撃できるかを競う競技になります」

人形は白い樹脂のようなものでできており、顔ものっぺらぼうのように真っ白だった。
一見してマネキンのようだったが、衣服は何も着けておらず、腕や胸元の筋肉は、男性を模したものであるようだった。

「なるほど。こちらがその、ダミー人形ですね。あ、股間に何かぶら下がっています。これがそうなんですね」

カメラが寄ると、人形の股間につけられた青い小さな袋がアップになった。
表面はつるりとしたゴムのような素材でできており、ペニスもなく毛が生えているわけでもなかったが、それは明らかに人間の金玉袋をモデルに作られているものだった。

「ボールと言っても、一見すると袋のようになっているんですね。この中にボールが入っているんですよね?」

「そうですね。その袋の中に、ボールが二個、入っています」

松浦アナは、おもむろにそれをつかんだ。

「あ、本当ですね。小さなボールが二個、入っています。楕円形で、けっこう弾力がありますね。これはつまり、その、本物をモデルにしているわけでしょうか?」

「そうですね。男性の睾丸をモデルに作られています。最近のものは、特によくできていて、本物とほぼ変わらない感触になっているようですね。私が始めたころは、動物の睾丸を加工したものを使ったりしていたんですが。もう何十年も前の話ですけどね」

「そうなんですか。最新の技術が使われているわけですね。このボールを攻撃して、その早さと正確さを競うということですね?」

「はい。コーチや選手の間では、単にタマと言ったりしますが。山口さん、ちょっといい?」

サヤカが声をかけると、若いジャージ姿の女性が人形の前に立った。

「彼女は今頑張っている子で、若手で期待されている、山口クリスティーさんといいます」

「山口です。よろしくお願いします!」

外国人のような顔だちをしたその女の子は、体育会系らしいきびきびとした仕草で頭を下げた。

「あ、山口さんですね。よろしくお願いします」

「山口さん、ちょっと蹴ってみて」

「はい!」

クリスティーはうなずくと、ダミー人形の前で腰を落とし、ためらいもせずにその股間を蹴り上げた。

「Ouch!」

バシッと、蹴りが股間に決まると、人形から、外国人の叫び声のような音声が発せられ、さらに頭部が赤く光った。

「あ! 光りましたね」

「そうですね。これがKO状態になります。5ポイントが入ることになりますね」

「5ポイントですか。そうやってポイントを重ねて、競うわけですね?」

「そうですね。KOが5ポイントで、それよりも低いのがダメージという状態になります。3ポイントですね。お願いします」

サヤカがうながすと、クリスティーはうなずいて、再び人形の股間を蹴り上げた。
今度は先ほどよりもいくぶん弱そうな蹴りだった。

「Oops!」

またも人形から音声が発せられ、今度は頭部が黄色く光った。

「なるほど。これがダメージ状態ですね。3ポイント入るわけですね? これは、蹴りの強さによって決まるわけですか?」

「そうですね。ダミーのタマの部分にセンサーが付いていまして、衝撃を感知するようになっています。それを元に、実際の男性であれば痛みでダウンしてしまうような攻撃をKO、ダウンまではいかないような攻撃をダメージと判断するようになっているんです」

「ああ、なるほど。実際の男性だったら、どのくらい痛いのかを基準にしているわけですね。リアルですね」

松浦アナは笑顔でうなずき、股間の袋をしげしげと眺めた。

「そして、KOよりも高得点なのが、クラッシュですね。これはちょっと、初心者の方には難しいと思うんですが。お願いします」

「はい」

クリスティーはうなずくと、おもむろに手を伸ばして、ダミー人形の股間の袋をつかんだ。

「えいっ!」

気合と共に袋を握りしめると、小さくパンッと何かが弾けたような音がした。

「Oh My God!!」

人形から発せられたのは、叫び声というよりは断末魔のような喘ぎ声だった。
頭部は血の気が引いたように、青く光っている。

「あ! 何か…もしかして、潰れたんですか?」

「そうですね。タマが一つ、潰れたようです。これがクラッシュという状態で、タマ一つにつき10点入ります」

「一つにつき、10点ですか。ということは、二つ潰すと…?」

「はい。20点になります」

「すごい! それは高得点が狙えますね」

「そうですね。しかし、二つ潰すというのは、実際はけっこう難しいんですね」

「ああ、そうなんですか?」

「はい。ボールバスティングの試合では、ダミー人形に触れられる時間は一秒以内と決められているんです。それ以上触れていると、その攻撃のポイントは加算されないことになります。なので、タマを握り潰すのであれば、一秒以内に一気に潰さなくてはならないんですね」

「一秒ですか。それはけっこう、一瞬ですね」

「そうですね。蹴ったり叩いたりするぶんには、大丈夫なんですが、握るとなると大変です。ちょっとやってみますか?」

「あ、いいんですか?」

「こっちにまだ一個、残ってますから。これをどうぞ、握ってみてください」

サヤカに手を添えられ、松浦アナはダミー人形の股間の袋を掴んだ。

「なるほど。これはけっこう…意外と堅いんですね。あ、こっちのはもう潰れてしまったんですね。何かこう、ドロドロしたような感じになっています」

青い金玉袋を握り、その中身を手の中で転がすようにして確かめていた。

「どうぞ、思いっきり握ってみてください」

「あ、いいんですか? じゃあ、やってみます。うーん!」

松浦アナは歯を食いしばり、力いっぱい握りしめた。
その手の中で、ダミー人形の睾丸は圧縮され、細長く形を変えていたが、潰れる気配はなかった。

「なかなか潰れません。けっこう丈夫なんですね。ちょっと両手で…。えーい!」

右手の握力だけでは足りず、上から左手を重ねてさらに握りしめた。
しかしそれでも、ダミーの睾丸は潰れなかった。
ついに松浦アナは、袋から手を離した。

「これはけっこう、意外と潰れないんものなんですね。私、もうちょっと簡単に握り潰せるものだと思ってました」

ため息をつくと、スポーツウェア越しでもわかる大きな胸が、揺れた。

「そうですね。トレーニングをしてない方には、ちょっと難しいかもしれないですね」

「私なんか、一個をこれだけ握っても潰せないんですから、これを一秒で二つ同時にというと、想像もできないですね」

松浦アナの言葉に、サヤカはうなずいた。

「実際、片手で二つ同時に潰せるとなると、世界でもトップレベルの選手だけですね。相当な握力と瞬発力が必要になります。なので試合では、確実に握り潰すために、片方のタマだけに狙いをしぼることも多いですね。片方だけ潰すことを、シングルクラッシュ、二つとも潰すことをダブルクラッシュと呼んでいます」

「なるほど。確実にポイントをあげるために、狙いをしぼるわけですね。確かにその方が、効率的ですね」

「はい。それと、ボールバスティングには二種類のダミーがありまして。ちょっと持ってきて」

サヤカが指示すると、クリスティーがもう一体、ダミー人形を運んできた。
見た目はほとんど同じダミー人形に見えたが、唯一違う点は、腰に濃いブルーの水着のようなパンツを履いていることだった。

「あ、こちらは、水着を着けているんですね?」

「はい。こちらの何も履いていない方のダミーをスキンダミーと呼びまして、こちらの方をパンツダミーと呼んでいます。ボールバスティングの試合では、このスキンとパンツが10体ずつ用意されていて、合計で20体のダミーのタマを攻撃していくことになります」

「そうなんですか。10体ずつ、20体ですね。そうすると、一つのダミーにはタマが二つずつ付いていますので、全部で40個のタマを狙うわけですね」

「そうですね」

「40個を全部潰すと、400点になりますね。それが最高得点なんですか?」

「そうですね。試合ではさらに時間点がつきますが、攻撃による点数は400点が満点になります。でも、今まで40個すべてを潰した選手というのは、世界でもいないんですね」

「そうなんですか? やっぱり潰すのは、相当難しいんですね」

「はい。やはり女性では握力にも限界があるんですが、さらにこちらのパンツダミーのタマを潰すのが至難の技なんです」

「あ、こちらの水着を着けている方ですね」

「そうですね。ちょっと握ってみてもらえますか?」

「はい。あ、これはちょっと…なるほど。さっきよりも握りづらいですね」

松浦アナはパンツ越しにタマを握ろうとしたが、ダミー人形のパンツはかなりピッチリと密着した状態になっているため、手のひらで握りこむことができなかった。

「これだとどうしても、指先だけで握ることになりますね。これではますます、握り潰しにくいかもしれません」

「そうなんです。スキンダミーの場合は、袋がぶら下がっている状態ですので、手の中で握りこむことができるんですけど、パンツダミーの場合は一秒間で握りこむのはかなり難しいんですね。ですから、パンツダミーを攻撃するときには、蹴りなどの打撃を中心に狙っていくことになります」

「蹴りで潰すとなると、相当強く蹴らないといけませんね?」

「はい。ダミーのタマも実際の男性のタマと一緒で、袋の中で泳ぐように逃げる構造になっていますから、しっかりと股間に打ちつけるようにして蹴らないと、まず潰すことはできません」

「なるほど。そのあたりも、リアルにできているわけですね。スキンダミーとパンツダミーで、攻撃の方法を変えていかないと、高得点は狙えないわけですね」

「その通りです。もちろん、チャンスがあればパンツダミーでも握り潰しを狙っていいわけで、そのあたりの戦略性が、ボールバスティングの楽しさの一つになります」

「なるほど。よく分かりました。それでは私、松浦が実際にこのダミー人形のボールを攻撃してみようと思います!」

松浦アナがガッツポーズをとったところで、画面が切り替わった。




「それでは、こちらにある5体のダミー人形を、実際に攻撃してみようと思います。私には、握り潰すのはちょっと無理そうですので、蹴りでやってみようかと思います。いいですか?」

「はい、どうぞ」

松浦アナの前には、3体のスキンダミーと2体のパンツダミーが等間隔で横並びしていた。
サヤカとクリスティーが見守る中、松浦アナはじっとダミーの股間の袋を見つめ、やがて動き出した。

「えい!」

「Oops!」

一つ目のスキンダミーの股間を、思いっきり蹴り上げた。
足の甲に、ひんやりとしたゴムの感触と、かすかな重量感を感じた。
しかしその攻撃は浅かったようで、ダミーの顔は黄色く光って、3点のダメージポイントを知らせていた。

「あ、今のはダメージですね。どんどん行きます! えい! それ!」

「Oops! Oops!」

パチン、パチンと、ぶら下がるスキンダミーの袋を二回連続して蹴り上げてみたが、やはりダメージポイントどまりだった。

「これは、けっこう難しいですね。膝で蹴ってもいいんですか?」

裸のスキンダミーはすべてダメージポイントとなった。
残るは、袋が完全に包まれ、体に密着した状態のパンツダミー2体だった。
仕事とはいえ、何事にも熱中してしまうたちだった松浦アナは、いつの間にか真剣な表情になっていた。

「どうぞ。一秒以内なら、何でも。パンチしてもいいですよ」

「なるほど。じゃあ、行きます! それ!」

ダミー人形の肩に手をかけると、思いっきり右ひざを振り上げ、ぴっちりと包まれた股間の袋を押し潰した。

「Ouch!」

すると、ダミーの顔が初めて赤く光り、KOポイントを取ったことを知らせた。

「あ! これはうまくできたみたいです。じゃあ、最後は手で行ってみますね。そおれ!」

気合と共にしゃがみこむと、右手の拳を思い切り股間に叩きつけた。
膝のばねを使った、強烈なアッパーカットだった。

「Ouch!」

松浦アナの白い拳が、うまく袋の中のタマの一つを股間にはさみ、押し潰したようだった。
その攻撃も、KOポイントになったようだった。

「やった! いけました!」

高得点が取れたと知ると、松浦アナは素直に喜んだ。
見ていたサヤカとクリスティーからも拍手が起こった。

「すごい! 初めてでKOポイントを取るっていうのは、けっこうすごいですよ」

「初心者とは思えない蹴りでしたね。前に何かスポーツをやってたんですか?」

「そうですか? ジョギングとかはしてますけど、それ以外は特に…。でも、思ったよりも簡単に、すっとキックすることができましたね」

松浦アナはわずかに息を切らしながら、照れ笑いを浮かべる。
大きな胸が、呼吸と共に揺れていた。

「そうですよね。ボールバスティングを体験した方は、みなさん、そう言いますね。思ったよりも簡単にできたと」

「やっぱりそうなんですか? 私も何かこう、抵抗なく蹴ることができたというか…。やっぱり股間の急所を狙うというのは、女性の本能のような部分があるのかもしれないですね」

自分が蹴り上げたダミー人形を眺めながら、松浦アナはやや興奮気味にそう答えた。

「そうですね。もちろん競技としてのボールバスティングは、色々な技術があって、奥深いものになるんですが、趣味としてのボールバスティングは、楽しくできる範囲でいいと思います。もともと、護身術から始まったものですから」

「なるほど。これを練習することによって、自然と護身術も学べることになるわけですね。確かに、私も股間を攻撃することに、ちょっと抵抗がなくなったような気がします。こんな短い時間ですけど」

「ですよね。私も若いころからずっとこの競技に携わっていますので、今では何の抵抗もなく、すっと股間を蹴ることができます」

笑顔で語るサヤカの言葉に、傍らで聞いていたクリスティーも大きくうなずいていた。

「私も、ボールバスティングを始めてから、自分の身は自分で守るという自信が付きました」

するとその肩を、サヤカがパンと叩いた。

「あなたはちょっと、自信をつけすぎでしょう? この前も練習とか言って握り潰しそうになって…。ああ、いや、これはこっちの話でしたね」

言ってはまずいことを言ったという風に、サヤカは慌てて口を閉じた。

「え? 何ですか? 何か武勇伝みたいなものがあるんですか?」

何かを察したかのように、松浦アナは笑っていた。

「いえいえ。それはまあ、ぼちぼちということで…ねえ?」

言いながらも、笑いをこらえきれないサヤカ。

「はい! とにかく、私は男なら誰にも負けません!」

クリスティーは胸を張って、大声で宣言した。

「おお! すごい! 頼もしいですね。こんなかわいらしい女性でもそういう自信が持てるようになるのが、ボールバスティングということで。みなさんもぜひ一度、試してみてください」

「待ってまーす!」

3人が笑顔で手を振り、VTRは終了した。




舞台は再びスタジオに戻り、にこやかな松浦友紀アナの姿があった。

「はい。という、以上が私のボールバスティング初体験だったんですけれども。いかがだったでしょう、堀末さん?」

現役時代は陸上選手としてオリンピックに出場し、引退後も解説者やスポーツコメンテーターとして幅広く活躍している堀末大介は、やや眉をひそめながらVTRを見ていたが、やがて自分にカメラが向いていると知ると、いつもの柔和な表情に戻った。

「はい。まあ…。非常に面白そうでしたね。手軽に始められて、護身術の勉強にもなるということで、興味深いと思います」

懸命に言葉を探しても、やはりどこかぎこちなく、いつものような歯切れのいいコメントにはならなかった。

「そうですよね。ボールバスティングをプレイするのは、今はまだほとんどが女性ということなんですが、堀末さんのようなアスリートの男性が始めたら、高得点が狙えそうですよね? キックはもちろんですけど、クラッシュとかもできそうじゃないですか?」

「ああ、まあ、はい。どうですかね…。やっぱり練習はしないとね」

「そうですね。実は私、このロケが終わった後も、密かにボールバスティングのジムに通いまして。練習を続けてるんです」

「あら、そうなんですか。知りませんでした」

サヤカが意外そうな声を上げた。

「はい。それで、ちょうど前回の練習で、ついにクラッシュを達成することができたんです! といっても、10秒もかかってしまったので、ポイントにはならなかったんですけど」

松浦アナは、右手でぐっと掴む真似をしてみせた。

「それはすごい! 松浦さん、才能ありますね。初心者で、それはなかなかですよ。次のオリンピック、狙ってみませんか?」

「えー! 本当ですか? よおし、ちょっと頑張ってみようかな。あの、最後の一押しが難しいんですよね。ギューッとやってパチンっていうんですか? あの感触は、ちょっとくせになりそうですね」

「分かります。みなさんそう言いますよ。けっこう快感ですよね」

にこやかに語る女性二人の横で、堀末は愛想笑いを浮かべるのさえ忘れて押し黙っていた。

「でも本当に、ボールバスティングのすそ野も広がってきてまして。日本でも、次のオリンピックまでには相当競争が激しくなると思います」

「そうですね。私が行っているジムにも、今回のオリンピックの影響で、たくさんの新入会員の方がいましたし、スポーツとして盛り上がっているのを感じます。競技人口が多いのは、やはりイスラエルなんですか?」

「そうですね。もともとイスラエルの護身術が発祥ということで、競技人口は多いようです。あとはロシアやアメリカなどはもちろんなんですが、南米やアフリカなどの、いわゆる発展途上国の選手も強いんですよ」

「そうなんですか? それはどういった理由で?」

「はい。やはりもともとが護身術ということで、犯罪発生率が高い地域を中心に広まっていった傾向があるようなんです。特に女性へのレイプ事件などが多い地域ですね。ある国では、ボールバスティングを広める活動を国が中心になって行い、その結果、レイプ事件の件数が激減したという報告もありました」

「なるほど。そういう背景があるんですね」

「その代わり、睾丸破裂や打撲などで入院してしまう男性は激増したそうですけどね」

「そうなんですか? それはまあ、しょうがないですね」

「はい。自業自得です」

女性二人がうなずいたところで、番組終了を知らせるテーマソングが流れ始めた。

「はい。それでは、本日はボールバスティングの日本代表、小坂リエ選手が見事に金メダルを取ったということで。この後の10時台のニュースでも、小坂選手のプレイとインタビューを中心に、お送りしたいと思います。それではみなさん、ありがとうございました」

「ありがとうございました」

コメンテーター二人が頭を下げたところで、番組は終了した。




続く。
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