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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


数日後。
狭い事務所内に、また北島の声が響いた。

「おい木崎。ちょっと来い」

言われて、タツヤはすぐに立ち上がった。

「はい。なんでしょう?」

さっぱりとした顔でデスクの前に立ったタツヤを、北島はジロリと見つめた。

「お前の書いた、この企画書な。いいんじゃねえの。よくできてるよ」

その言葉が、最上級に近いくらいのものであることを、タツヤは分かっている。

「しかしお前コレ、『金玉を蹴る女達シリーズ』って。もうシリーズ化する気かよ。早いだろうが」

「あ、はい。それは…すいません」

「まあ、いいけどよ。最初はなんだ、コレ。『恥じらい金蹴り。お嬢様たちの護身術教室』って。女子校生か、コレは?」

「はい。そうです」

「お嬢様学校に通う女子校生が、護身術を学ぶために男たちの金玉を蹴り上げるって話か。ふーん。脱がねえのか、女子校生は?」

「はい。基本的には。蹴るときに、パンチラくらいは見えると思います。あとはブルマとかスクール水着くらいで。できるだけおとなしめの女優を使っていきたいと思っています」

「男はどんなヤツだ?」

「黒服とか、マッチョなボディガードみたいな男がベストだと思っています。普段は体を張ってお嬢様を守っているみたいな設定で」

「M男を使うのか?」

「いえ。普通の男でいいです。蹴った時の女の子のリアクションが欲しいので、そのあたりでセリフとかを練って、スローとかを挟んで、尺をとりたいと思っています」

北島は、ニヤリと笑った。

「ココに書いてあるな。『か弱いはずのお嬢様たちが、屈強な男たちを次々と金蹴りでノックアウト。しかし、痛めつけるだけではないのがお嬢様。金玉の痛みに苦しむ男たちを、丁寧に介抱してあげます』。結局、抜くのか、コレは?」

「そうですね。手コキくらいはしないと、形にならないかなと思ったので。ただそれも、チンポ観察とかセンズリ鑑賞とか、そんなノリで…」

「お嬢様だからな。恥じらいは大事だ」

北島は自分で言って、うなずいていた。
なぜか興奮してきている様子だったが、タツヤは黙って見ていた。

「次はコレか。『逆襲の金蹴り。特命痴漢捜査官の金玉潰し』。コレはどうなんだ?」

そこに書いてあるだろうと言いたかったが、仕方がないので説明することにした。

「痴漢にあって心に傷を負ったOLか女子大生が、特命痴漢捜査官というのになって、電車とかで痴漢を金蹴りで退治していく感じになります。蹴りだけじゃなくて、握ったり、道具を使ったり、色々できるかと思うんですけど…」

「おう、道具をな。なんかこう、日常にあるヤツがいいな。傘とか、ハンドバッグの角とかな」

「ああ、はい。そうですね。それで、エロの要素としては、まず自分がおとりになって痴漢させないといけないので、そのあたりで少し入れられるかなと思ってます」

「おう。そのくらいだな。そのくらいでいいぞ。コレはアレか。金玉潰しってなってるけど、最後には潰すのか?」

「どうでしょう。リアルには無理ですけど。そういう演出はあってもいいかな、と。潰す前に最後の射精をさせてやるって要素も入れられるかもしれないんですが…」

「最後の射精! そうだな、そういうことになるなあ」

普段、絶対に見せることのない北島の笑みが、そこにあった。

「それで、次はコレか。「真剣金蹴り。金玉強化合宿」。コレはまた面白そうだな?」

「はい。それはまあ、けっこう人手がいりそうなんですけど…。空手とかの部活の合宿のイメージで。試合に勝てない男子部員たちを、女子部員たちが鍛えなおしてやるという設定になります」

「空手女子か。そうか。鍛えなおすってことは、金玉を蹴るのか?」

「はい。根性をつけるためにとか言って、金蹴りするんですが、勝ち抜き戦にして、最後まで耐えられたらご褒美セックスとかもアリかと思うんですけど…」

「おう、そうか。そうだなあ。…いや、待て。こういうのはどうだ? 女子は金蹴りしか狙わないと宣言して、試合をする。男子は金玉だけは守ろうとするんだが、色々な技を使われて、結局女子に蹴られてしまう。難しいか?」

「そう…ですね…。試合とかはけっこう難しいかもしれませんが…。検討します」

「おう。検討しろ! 最後は何だ。『愛の金蹴り。金玉を蹴ってハワイに行こう』。どういうことだ、お前、コレは?」

「ああ、それはもう、ちょっとシャレで書いてみたんですけど…。カップルをいくつか集めて、お互いに相手の彼氏に金蹴りして、ダウンしないで勝ち抜いたカップルが優勝ってことで。それで、ハワイに行くみたいな…。でもこれは、さすがに予算がかかりますよね」

北島は突然、立ち上がった。
めったに見せることのない真剣な表情に、タツヤはちょっとたじろいでしまう。

「木崎、最後に聞くぞ。金玉蹴られると、痛いと思うか?」

「は、はい。死ぬほど痛いです」

「そうだ。このお前の企画書な、コレに出てくる男優は、金玉蹴られたいと思うか?」

「いえ。蹴られたくありません。そういう男優は使いたくありません。でも、そこが問題で…。M男じゃない人をどうやって集めるかなんですけど。やっぱりギャラを上げるしかないかと…」

北島は、目の前のタツヤの肩を両手で叩いた。

「金を使えよ! どんどん使え! 最初に言っただろうが。ツボさえおさえれば、マニアはいくらでも金を出すってな!」

「あ、は、はい…」

その勢いに、タツヤは面食らってしまった。
北島は椅子に座ると、再び企画書を手に取って、ニヤニヤしながら読み返し始めた。

「なんだよ、分かってんじゃねえか。金蹴りモノってのはなあ、女が主役じゃねえんだよ。男が主役なんだよなあ。そういうことなんだよなあ」

独り言のように、つぶやいている。
タツヤは、想像以上の北島の高評価に驚いていたが、まだいくらかの不安があった。

「あの、社長…。でもこれ、ホントに売れるんでしょうか? いくらマニアでも、けっこう…」

「ああ? バカ。売れなくてもいいよ、もう。俺が見るからよ。心配すんな」

「あ、はあ…」

「そうだよ。だからお前、シリーズとか細かいこと言ってないで、一気に全部作っちまえよ。今なんかやってたっけか? それも一旦やめて、こっちを最優先しろ」

つまりは、そういうことだったのだ。
この企画は、北島自身のためのもので、売れても売れなくても関係なかったのだ。
拍子抜けした気分だったが、アダルトビデオメーカーの社長ともなれば、そのくらいのことをしてもいいだろうと思った。
あるいは自分もいつか、自分の趣味を百パーセント満足させるようなAVを撮る日がくるのかもしれない。それもまた、面白そうだ。
しかしそう考えると、ふとした疑問が、タツヤの頭をよぎった。

「あの、社長…。一つ聞いていいですか?」

「おう。なんだよ?」

「なんで社長は、自分で金蹴りモノを作ろうと思わなかったんですか?」

そう尋ねると、北島はちょっと面食らったような顔をして、やがてニヤリと笑った。

「木崎、お前よ、自分が撮ったAVで抜けるか?」




終わり。


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とてもわかる 笑

素人男のだと「当たりだ」と思います
[2016/08/26 Fri] URL // #- [ 編集 ] @
個人的に一つ目いいですね
普段お嬢様を守る屈強な男達が護身術でお嬢様にノックアウトされる

それのライフセーバーバージョンも見たいです
普段海水浴客の安全を考えるライフセーバーが海水浴客のために身体を張ってビーチの護身術教室で金玉を蹴られる…みたいな笑
[2016/09/10 Sat] URL // #- [ 編集 ] @
素晴らしい!特に一つ目のシチュとか好みにドンピシャです。お嬢様のはAVとは別に是非一つの話として見てみたいです。
[2016/09/12 Mon] URL // #- [ 編集 ] @

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