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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


とある大学の拳法部。
ここは実践的な武術の追求を標榜しており、防具をつけての顔面攻撃と金的ありの組手を推奨していた。
その激しさのせいか、部員は男子がほとんどだったが、女子部員は少数でも、熱心に技を磨こうとする気持ちに溢れた女の子ばかりだった。

今日も夕方の稽古を終えて、更衣室で着替えをしていたのは、部内でも有数の実力を持つ、男子部員に恐れられている3人娘だった。

「あーあ。今日はイマイチだったなあ」

ため息をついたのは、三年生の部員、三笠リオだ。
大学から拳法を始めたのだが、持ち前の練習熱心さで、今では有段者に匹敵する実力を身につけている。
ショートカットに細身の体つきをしていたが、鍛え上げた肉体には贅肉が無く、いかにもしなやかそうだった。

「なあに? さっきの組手の話? アンタ、勝ってたじゃん」

八木チヒロはリオと同級生で、勉強している学科も同じだった。
彼女は中学生の時から同じ流派の拳法道場に通っていて、大学の部活に入部する時に、同じクラスにいたリオを誘い入れたのである。
長い髪をポニーテールにして、細身のリオと比べると、女性を感じさせるふっくらとした体つきだったが、性格は見ためよりもずいぶん男勝りだった。

「優勢勝ちでしょう。私は一本勝ちを狙ってたんだよねー。金的、一本勝ち!」

「ああ、そうなの? 途中で菊地君に入れたよね、金的蹴り。キレイに入らなかったんだ?」

「そうなの。なんか、最近うまく入らないんだよねー。なんか、手ごたえがないっていうの? 足にタマがうまく乗らないんだよねー」

「ああ、乗らないとダメだよね。倒れないよ」

「そうそう。ちょっとしたら回復するみたいなんだよね。でも、2回目は警戒するからさ、もうダメなの」

リオはさも悔しそうに話している。
チヒロもごく当然のように返しているが、この二人の金的蹴りは、部内の男子にとっては恐怖の的だった。

「え、タマが乗るって、なんですか?」

そう聞いてきたのは、一年生の山口ナナミだ。
ナナミはリオと同じように大学から拳法を始めて、小柄な体格ながら、熱心に稽古を積んでいる。
入部して半年ほど経った現在、組手はまださせてもらっていないが、仲の良いリオとチヒロの指導の元、着実に男子をKOする技、金的蹴りの技術を高めていた。

「なんかね、金的がうまく入った時って、タマがこう、足に乗るような感触があるの。その感覚があったときは、速攻でダウンするんだよね」

「そうそう。あの感触があると、やった!って思うよね。仕留めたぞ、的な」

リオは嬉しそうに話す。

「へー、そうなんですか。アタシはまだ、経験ないかも…。ていうか、男子の先輩たちって、アレしてないんですか? あの、アソコにつけるカップっていうか…」

ナナミは無邪気な様子で、股間につけるファールカップを身振り手振りで示した。

「ああ、ファールカップ? つける人もいれば、つけない人もいるよね。菊地君は、いつもつけないんじゃない?」

リオが言うと、チヒロもうなずいた。

「ていうか、菊地君、パンツも履いてないよね? 冬以外は」

「えー! そうなんですか? どうして分かるんですか? 感触?」

「うん。蹴った感触で。あ、履いてないなーって。履いてない方が痛くないのかな?」

「関係ないんじゃない? 動きにくそうだけどね。ブラブラして」

「えー。そうなんだあ。ていうか、稽古中にアレが勃っちゃったら、どうするんでしょうね。丸分かりじゃないですか?」

ナナミは童顔に似合わず、平然と下ネタを言ってのける。

「うわー。そんなの見たら、ひくなー」

リオは自分の想像に、顔をしかめた。

「蹴り潰すね。その時は」

チヒロは笑いながらも、冷然とした口調で言い放った。

「アハハ! そうですね。思いっきり蹴飛ばしますよね、そんな変態」

三人は笑いながら着替えを済ませ、部室を後にした。
大学の校門を出るころには、既に日は暮れて、真っ暗になっていた。
彼女たちが通う大学がある場所は、決して田舎ではなかったが、古い住宅の多い地域で、最寄りの駅まで15分ほど歩かなければならなかった。
途中には公園などもあったが、人通りが少なく、古い街灯がチラつくだけの暗がりも多かった。
最近、何件か痴漢の被害も報告されていたが、この三人にいたっては、特に不安がりもせずに、堂々と歩くのが常だった。

「わー、もう真っ暗だねー。どっか寄ってく?」

「あ、ゴメン。アタシ、これからバイトなんだ」

チヒロが申し訳なさそうに言うと、ナナミもそれに合わせた。

「アタシも。メイド喫茶でバイトなんでーす」

ツインテールに結び直した髪を揺らして笑う。

「え? ナナミ、メイド喫茶とかやってんの?」

「アンタにはお似合いかもね」

「えー。けっこう楽しいですよー」

三人は話をしながら、駅までの道を歩いていった。
しかし、彼女たちがその通学路の中でひときわ暗い路地にさしかかった時、そっと後ろから近づく影があった。

「きゃあ!」

彼女たちに迫った人影は三つ。
それぞれが一人ずつ背後から近付き、まずは一番小柄なナナミに近づいた影が、覆いかぶさるように抱きついたのだ。

「え!」

「ナナミ!」

リオとチヒロは一斉にナナミを振り向いたが、その瞬間、彼女たちの背後からも、腕を封じ込めるように抱きつく人影があった。

「くっ!」

これが最近噂になっている痴漢たちだろうかと、リオたちは思った。
しかし考える間もなく、稽古を積み重ねたリオとチヒロの体は動いていた。

「えいっ!」

「たっ!」

チヒロは腰を落として、後ろから抱きついた男の手をすり抜けると、その脇腹に肘打ちをし、リオは足を振り上げて、踵で思いっきり男の足を踏んだ。
彼女たちが学ぶ拳法では、当然、護身術の指導もしており、ナナミはともかく、何度も練習を繰り返してきたリオとチヒロは、反射的に体が動くまでになっていたのだ。

「うっ!」

「ぐえっ!」

男たちはそれぞれ叫び声をあげ、抱きついていたリオとチヒロを離してしまった。
しかし二人の女武道家たちの反撃は、ここからだった。
リオは素早く振り返ると、足の痛みに呻いている男の手を掴み、そのまま華麗な体裁きで背中に回り込み、男の腕の関節を捻りあげてしまった。

「うあぁ!」

男はあっという間に地面に膝をつき、腕の痛みに呻いた。

「せいっ!」

チヒロの方も、脇腹の痛みに呻く男に、さらに鋭い前蹴りを放って、それが鳩尾に命中した。

「ぐえっ!」

男は息ができなくなるくらいの衝撃を腹に感じて、そのまま地面にうずくまって倒れた。
チヒロは男が戦闘不能になるのを確認すると、すぐにナナミの救出に向かった。

「はなしてよ!」

ナナミは臆することなく、必死に抵抗していたが、やはり体格差もあり、なかなか男の手は振りほどけない。

「ナナミ! 離れなさいよ、アンタ!」

チヒロはナナミを抱きしめている男の腕を掴んだ。
男は仲間二人があっという間に倒されてしまった状況に気がついて、慌ててナナミから手を離し、逃げようとした。

「あ! 逃げるな!」

素早く振り向いたナナミは、遥かに身長が高い男の股間に狙いをつけると、稽古を積んだ必殺の金的蹴りを、思い切り打ち込んだ。

バシィ!

と乾いた音が路地に響いた。
男はチヒロに腕を掴まれた状態で踏ん張っていたが、すぐに股間の痛みに気がついて、顔から血の気が引いていった。

「ぐうぅ!」

「ナイス、ナナミ!」

チヒロが手を離すと、男は両手で股間をおさえて膝をつき、地面に倒れ込んで丸くなった。

「やったあ! 初めて決まった! あ、先輩、今のが、足にタマが乗ったって感触かなあ…」

「そうかもね。きれいに入ったから。しばらく、立ちあがれないでしょ」

チヒロの言うとおり、男は脂汗を流しながら、痛みに体を震わせている。
ときどき、嘔吐するような嗚咽を漏らしていた。

「さあ。アンタ達も、痛い思いをさせてあげようか!」

リオは言いながら、男の腕をさらにねじあげた。
男は痛みに呻いて、顔を上げる。

「あー! 先輩、その人、見たことある」

不意に、ナナミが叫んだ。

「え? コイツ? 学校で?」

「そうそう。同じ学科の男の子だと思います。話したことないけど。あ、こっちの人もそうかも…」

ナナミはチヒロの蹴りを受けて苦しむ男の顔も見た。
男たちは確かに学生風で、目立たないように地味だが、若い格好をしている。

「ってことは、コイツも、ウチの学校の生徒なわけか」

チヒロは金的蹴りの痛みにうつむいている男を見た。

「アンタ達、ウチの学生なの? 何考えてるのよ!」

男たちはうなだれて、無言のままでいる。

「これはもう、れっきとした犯罪だからね。警察を呼ぼうか?」

チヒロの言葉に、リオに腕を掴まれていた男、安藤シンジが顔を上げた。

「あ! け、警察は、勘弁して下さい!」

「なに言ってんの! 最近、ここらでよく聞く痴漢って、アンタたちのことでしょうが。警察に来てもらって、逮捕よ、逮捕!」

リオは言い放つとともに、シンジの腕をねじあげた。
シンジは苦しみに呻くが、必死な表情で弁解した。

「ち、違います。痴漢は、俺たちじゃありません。俺たちは初めてで…。たまたま今日、3人で一緒に飲んだから…」

確かにシンジの顔は、酒を飲んだように少し赤くなっていた。

「ちょっと酔っぱらって、ふざけようとしただけなんです。すいませんでした! だから、警察は…」

「ウソつくんじゃない!」

「そうだ! やっちゃえ、先輩!」

リオは聞く耳を持たず、さらに腕をねじあげる。
ナナミはそれをけしかけた。
そんな中、チヒロは意外なほど冷静に、シンジの言い分を聞いていた。
無言のまま、何か考えるようにシンジら三人を見ていたが、やがてシンジ以外の倒れている二人のそばに近寄って、ポケットをまさぐると、財布を取り出した。

「チヒロ…?」

チヒロは二人の財布の中から、身分証を取り出した。

「斎藤ヒロユキ…工学部か…。こっちは…山村コウタ…文学部ね…」

チヒロは二人の学生証を見ながら、確かめる。

「で、アンタは?」

チヒロはシンジに問いかけた。
リオはそれを察して、シンジのズボンのポケットに見えていた財布を取り出して、チヒロに投げた。

「サンキュー。…安藤シンジっていうんだ。ふーん」

チヒロは三人の財布と身分証を手にとり、不敵な笑みを浮かべた。

「アンタ達の財布は、アタシが預からせてもらうわ。これとアタシ達の証言があれば、アンタ達をいつでも警察に突き出すことができるからね。警察に捕まれば、アンタ達は絶対、退学だろうね」

「ちょっと、チヒロ。どういうこと? こいつら、逃がしちゃうの?」

リオはチヒロの意外な言葉に驚いた。
ねじりあげていたシンジの腕を離して、チヒロの側に行く。

「だってアタシ達、これからバイトでしょ。つまんないことで時間とられたくないもん」

「だからって…」

「いいから、いいから。実はさ、ちょっと考えがあって…」

そういうと、チヒロはリオに耳打ちして、なにごとか説明した。
ナナミを含めて、シンジたちはその様子を、不思議そうに見ていた。

「…ふーん。ああ、そういうことか。…まあ、いいか。それならそれで」

「でしょ? じゃあ、そういうことで」

リオはチヒロの囁きに、なぜか納得したような気配だった。

「じゃあ、アンタ達は今日のところは見逃してあげるから。その代わり、明日の夜7時に、大学の武道場に来なさい。三人ともね」

「え! ホントですか? あ…でも、何を…」

シンジは驚きながらも、明日警察に突き出されるのではないかと思い、不安な表情を浮かべる。

「それは明日のお楽しみ。ちょっと、アタシ達の稽古に付き合ってもらうだけよ。でも、もし来なかったりしたら、速攻で警察に連絡するからね」

「絶対、来なさいよ」

チヒロとリオは、ほほ笑みながらもすごんでみせた。
シンジはそれを聞いて、必死にうなずいた。

「は、はい! 行きます!」

「よし。じゃあ、アタシ達は帰るから。また明日ね」

「じゃあね」

二人は機嫌よさそうに、振り返って歩き出した。
その後を、わけのわからないナナミが追う。

「え? 先輩、帰っちゃうんですか? どういうことですか?」

「後で話すって」

三人は話しながら、去っていった。
残されたシンジら男たちは、苦しみに喘ぎながらも、とりあえず救われたことに胸をなで下ろしていた。



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