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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。

とある地方のプロレス団体。
メジャーではないながらも、実力のある本格的なプロレスが楽しめるということで、一定の人気を保っている彼らの試合は、主に地元の体育館などを使って行われていた。
この日は、今年のファイナルマッチと銘打って、団体の中のチャンピオンと挑戦者が戦うことになっているはずだった。

「オラァ!!」

「オオォ!!」

リング上で、鍛え上げられた肉体を持った二人の男が、汗みどろになって組み合っていた。
チャンピオンの小林と挑戦者の岡田の試合は、すでに終盤に差し掛かっており、二人はさまざまな技の応酬の末、最後には肩をぶつけ合って掴みあう体勢になっていた。

「おおりゃ!!」

ついに小林が、気合と共に前かがみになっていた岡田の巨体を高々と持ち上げた。
そしてそのまま、マットめがけて、岡田を頭から叩きつける。いわゆるパワーボムという技で、これはチャンピオン小林の必殺技だった。

ドスン!

と、重たい音が会場内に響き、岡田は動かなくなった。
そこへ素早くレフェリーがかけより、叫ぶように3カウントを取る。
直後にゴングが鳴り、小林の勝ちが決まった。

「おっしゃー!!」

小林は高々と手を挙げて、勝ち名乗りを受けた。
今年で26歳になる彼は、若いながらもこのプロレス団体を引っ張る存在として、大きな期待を寄せられている存在だった。
すでにファンも大勢おり、今日の会場にも、たくさん詰めかけている。
それらのファンが、手拍子をし、「小林」コールが巻き起こった。

「こ・ば・や・し! こ・ば・や・し!」

小林もそれに応えて手を振るが、会場内には、その手拍子にまったく乗ってこない観客たちもいた。
よく見れば、200人ほどいる体育館の観客の中で、その半分ほどは女性だった。しかも、一見してプロレスには縁がなさそうな、若い女性ばかり。
それらの女性客は、まるで何かを待っているかのように、立ち上がる男性客につられることなく、じっと席に座り続けていた。
やがて。
突然、会場内の照明が落ち、ポップなテーマソングが流れ始めた。
それは、今試合が終わったばかりだというのに、新たなレスラーの登場を予感させるものだった。

「来た来た来た来たー!!」

いつの間にか、リングサイドにスーツ姿の女性が、マイクを握って立っていた。
珍しい、女性のリングアナウンサーだった。

「お集まりの女性のみなさん、お待たせしました! ファイナルマッチの今宵も登場です!」

体育館の入り口にスポットライトが当たると、そこにはすでに、全身ピンク色のコスチュームに身を包んだ、マスクレスラーが立っていた。
その姿を見つけると、観客席の女性たちは総立ちになる。
逆に男性客からは、ブーイングともつかぬ吐息が漏れていた。
ピンク色のマスクレスラーは、リングに向かって走り出した。

「最強のプロレスラーは、男か女か。その答えを出すために、今日はチャンピオンを倒しに来た! 華麗な空中殺法と必殺の足技が、今日も炸裂するのか! ピンクーファルコーン!!」

リングアナの紹介と共に、マスクレスラーは軽やかにロープを飛び越えた。
同時に、会場内に照明が戻り、マスクレスラーの姿が明らかになる。

「ファルコーン!」

「今日もやっちゃってー!」

観客席の女性たちから、黄色い声が飛んだ。
その声援に手を振って応えるマスクレスラーは若い女性で、極端に小さなビキニタイプのコスチュームを身につけており、鳥の羽を模したデザインのマスクをかぶっていた。
そして、そのマスクからブーツにいたるまでがすべて鮮やかなピンク色で、それが彼女の白い肌によく映えていた。

「チャンピオン! どっちが強いか、ハッキリさせましょうか?」

リングに上がって早々、小林に向かってそう言い放った。
ピンクファルコンと呼ばれた彼女は、モデルのような長い手足と引き締まった腹筋をしていたが、どう見ても筋肉隆々の小林の相手になるとは思えなかった。

「出やがったな、このアマ! ふざけんじゃねえ!」

すでに岡田との長時間に及ぶ試合を終えて、殺気立っている小林は、今にも掴みかかりそうな勢いだった。
慌ててレフェリーが、二人の間に入る。

「チャンピオン小林と、ピンクファルコンのエキシビション! 正真正銘、これが本当のファイナルマッチだ!」

リングアナの絶叫と共に、ゴングが鳴った。

「…この野郎! いつもいつも邪魔しやがって。一体、何モンだ、てめえは!」

ゴングを聞くと、小林は少し冷静さを取り戻したようだった。
本気でこのピンク色のマスクレスラーの正体を知らないようだったが、プロレスはどこまでが筋書きで、どこからが違うのか。普通はよく分からないものだった。

「さあね。気になるなら、このマスクをはいでみれば?」

ピンクファルコンは、挑発的に笑った。
実際、彼女の体は、小林のような若い男にとっては挑発的なほどグラマーで、彼女もそれを意識しているのか、仕草のいちいちが官能的だった。
しかし小林にとっては、そんなセクシャラスな要素を持った人間が、自分が守るリングに上がること自体、許せないようだった。

「おらぁ!」

まずはあいさつとばかりに、小林のケンカキックが飛んだ。
ピンクファルコンはこれをギリギリでかわすと、すかさずその足首を掴んだ。

「うっ!」

その足首を両手で掴んだまま、しっかりと固定し、素早く体ごと回転する。
一歩間違うと膝を壊されかねない、流れるようなドラゴンスクリューだった。

ドン!

と、小林は素早く自ら回転し、受け身をとった。
立ち上がって振り返ると、ピンクファルコンが見下すような目で微笑んでいた。

「カモーン!」

そして、余裕を見せるように手招きする。
しょせんは女性と思って、どこかで油断していた小林は、完全にキレた。

「うおお!」

獣のように吼えると、両手を広げて、ピンクファルコンを掴みにかかった。
彼女もそれに応じ、二人は両手を重ね合わせて、手四つの状態になる。
単純な力比べとなるこの状態なら、男であるチャンピオンの小林が有利なことは、誰の目にも明らかだった。

「おお!」

相手が女性であることも忘れて、本気の力を込めているようだった。
あっという間に、ピンクファルコンは押され気味になってしまう。
しかし。

「ファルコーン!」

「やっちゃってー!」

小林の怪力に押され、すでに片膝をついてしまっているピンクファルコンに、女性客たちは相変わらず期待を寄せているようだった。
そしてそれは、すぐに現実となる。

「そおれっ!」

圧倒的劣勢だったピンクファルコンは、スッと片手をはずし、片膝をついた状態から、目の前にある小林の股間をかち上げたのだ。

「ぐあっ!!」

ピンクファルコンの二の腕で、小林の股間が押しつぶされた。
あっという間に小林の体から力が抜けて、両手で股間をおさえて、ひっくり返ってしまった。

「決まった―! 掟破りの金的攻撃―!」

リングアナが絶叫すると、観客席の女性たちは立ち上がって歓声を送った。
彼女たちの目当ては、この光景だったのだ。
筋肉隆々の男性レスラーが、その見た目通りに激しい試合をし、リングの上で男らしさを見せつける。
その後で、スタイル抜群の女性レスラーがそんなパワフルな男たちを、テクニックと急所攻撃で翻弄していく。
いまだに男性優位と言われている日本社会の中で働く女性たちは、マッチョな男たちをなぎ倒していくピンクファルコンの姿を見て、日頃のストレスを解消しているようだった。

「うぐぐ…」

小林は股間をおさえてうずくまり、すぐに立ち上がろうとしない。
その額には、先程までとは違う種類の汗が浮かんでいた。

「みなさん! ふつうのプロレスでは、急所攻撃といっても、手加減していることがほとんどです。しかし! 今まで何度も言ってきましたが、ピンクファルコンの金的攻撃は、ガチなんです! 今、チャンピオンの小林は、ガチで痛がっています! この試合は、ピンクファルコンのマスクと、小林の金玉! 女と男のプライドを賭けた、ガチの勝負なんです!」

盛り上がる観客を煽るように、リングアナが解説をした。
彼女の言葉が、いわばこのプロレス団体の方針で、男対女という図式を出すことで、今までプロレスに興味のなかった女性客を取り込もうとする戦略だった。

「さあ、立てるか、小林!」

小林がうずくまって苦しんでいるのを、ピンクファルコンは大きく足を広げて、膝を曲げながら見下ろしていた。
自分の股間を見てみろとばかりの、挑発的な態度だった。

「小林! 小林!」

苦しみ続ける小林に、男性客から声援が送られた。
その声援に押され、ようやく小林は立ち上がった。

「く…そ…! てめえっ!」

片手で下腹部をおさえながら、ピンクファルコンを睨み付けた。
するとファルコンは、おもむろにロープに近づき、リングサイドにいたアナウンサーに何かを要求した。

「ねえ、アレ。持ってない?」

そう聞かれると、リングアナはまるで予期していたかのように、ジャケットの胸ポケットから取り出したものをファルコンに手渡した。

「ほら。着けたら?」

そう言って、ピンクファルコンが小林に差し出したものは、男性用のファウルカップだった。
白いプラスチックでできたそれは、ファルコンの小さな手の中でいかにも不格好に光を反射している。

「てめえっ!」

小林は激怒した。
「これを着けて、ようやく自分とお前は対等だ」という、ピンクファルコンお得意のパフォーマンスだった。
これを見た女性客の間から、失笑が漏れた。

「チャンピオン、着けてー!」

「潰されちゃうよー! 着けた方がいいよー!」

一方の男性客たちは、男のプライドを傷つけられたような気がして、ピンクファルコンに罵声を飛ばした。

「ふざけんな、ファルコーン!」

「男をなめんじゃねえよ!」

もちろん小林も、彼らと同じ思いだった。

「そんなもん、着けるか!」

小林はピンクファルコンの手からファウルカップを叩き落すと、そのまま彼女の手首を掴んで、グッと引き寄せた。

「おおりゃあ!」

体重の軽い女性とはいえ、片手でファルコンの体をグルグルと引っ張りまわす。
小林の怪力のなせる技だった。

「おらぁ!」

何回転かの後、そのままの勢いで、ピンクファルコンをロープに向かって投げた。
ピンクファルコンはロープに当たる寸前で身をひるがえしたが、反動で、再び小林のもとに戻ってしまう。
返ってきたファルコンにラリアットか投げ技をきめようというのが、小林の作戦だった。
しかし。

「たあっ!」

ピンクファルコンは、その名に恥じることのないジャンプ力で華麗に舞うと、ロープの反動を利用したジャンピングドロップキックを、小林の顔面に放った。

「ぐおっ!」

プロレスには、基本的に防御はない。
この場合も、小林は眼前に迫っているピンクファルコンの両足を避けようともせず、ただ歯を食いしばって顔面で受け止めたのだった。
キックを当てた後、猫のように空中で身を翻してピンクファルコンは着地する。
一方の小林は、さすがにふらついて、数歩、後ろへ下がってしまった。

「ファルコーン! カッコいいー!」

観客の声援を受けて、ピンクファルコンはさらに攻撃を続けた。



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