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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


この高校の1年C組の担任は27歳の女性教師、村田ユキエだったが、一部の生徒からはかなり恐れられている存在だった。
担当は数学だったが、その時間が来るたびに、男子生徒たちは緊張した顔つきになる。
特に今日は、先日行われた抜き打ちテストの答案を返す日だったが、これこそが最も恐ろしい時間だったのだ。

「それでは前回行った、実力テストの答案を返します。今回の平均点は、61点でした。いつものように、点数の高かった順に返していきます。佐倉さん。……林さん。……井口君」

ユキエはいつものように淡々とした様子で、テストの答案を返していく。
名前を呼ばれた生徒たちは、次々と答案を受け取りに教壇のユキエの元にむかった。

「……原口さん。……荒田さん。……上川さん」

名前を呼ばれて立ち上がるのは、女子の方が圧倒的に多かった。
もともと、この学校は女子生徒の数の方がかなり多い人数構成になっているのだが、このクラスは特に男子生徒が少ない。
選択科目のためとはいえ、女子が28人に対して男子は7人と、極端な女子クラスになっていた。

「……田中さん。はい、ここからは30点以下の人たちです。呼ばれたら、黒板の前に整列しなさい」

ユキエは毅然とした表情で指示した。
この学校では、平均点の半分以下は赤点と決まっている。赤点の生徒には何らかの罰が与えられるのは、学校の通例だった。

「橋本君。…山田さん。…松岡君。…岸田君」

ユキエに名前を呼ばれたのは、男子が3人と女子が1人だった。
唯一の女子である山田ミキは、名前を呼ばれると、バツが悪そうな顔で立ち上がり、黒板の前に並んだ。
一方、男子3人は、名前を呼ばれると一様に真っ青な顔をして、いかにも弱々しい返事をして、恐る恐る黒板の前に並ぶのだった。

「さて。アナタ達は、平均点の半分も取れなかったわけね。どういうことかしら?」

黒板の前に、横一列に並ぶ生徒たちを見つめて、ユキエは問いただした。その口調に怒りはないが、冷静な追求による圧力のようなものがある。
ユキエの身長は165センチほど。スポーツの経験でもあるのか、引き締まった良い体格をしていた。濃紺のスーツをきっちりと着こなし、いつも糊のきいたワイシャツを着ている。少し短めのタイトスカートからは、ストッキングに包まれた太ももが長く伸びていて、キュッと締まったヒップラインが、いかにも官能的だった。
教師にしておくにはもったいないほどの整った顔には、それを隠すように、真っ黒で大きなセルフレームの眼鏡をかけている。

「山田さん、どういうこと? 今回は難しかったかしら?」

ユキエはその手に、アクリル製の大きな定規を持っていた。
数学の授業では図形を書いたりするのに必須なもので、ユキエは黒板を指し示す指示棒としても使用している。
その定規を、片手でパシパシと鞭のようにしならせながら、生徒に問いかける。

「すいません。ちょっと、難しかったです」

ミキは謝りながらも、ちょっとはにかんで笑った。
その姿に、クラスの女子生徒たちから失笑が漏れる。
しかし男子生徒たちは、そんな雰囲気に呑まれることなく、赤点で整列している3人も、席に座った残りの生徒も、みな緊張した面持ちだった。

「ふざけないの。次はもっと頑張りなさい。はい!」

ユキエはミキの背後にまわり、お尻をアクリル定規で叩いた。
ピシャッと大きな音がして、ミキのお尻に衝撃が走る。

「いったーい! 先生、手加減してよー! イタタタ…」

ミキは体をのけぞらせて、打たれたばかりのお尻をおさえて痛がった。
クラスの女子たちはその様子を見て、どっと笑った。

「これでも、手加減してます。はい、次は、橋本君ね」

山田ミキはお尻をさすりながら席に戻り、次にユキエは、橋本の前に立った。

「は、はい。先生、すいませんでした。反省してます!」

橋本は名前を呼ばれると背筋を伸ばし、ユキエの追求を待たずに、自発的に頭を下げた。

「そう。反省するのはいいことだわ。でも橋本君は、この間のテストでもそう言ってたわね? ちゃんと、勉強したの?」

アクリル定規をしならせながら、冷淡な調子で言う。

「は、はい。それは…」

橋本はつい、口ごもってしまう。

「前回も赤点で、今回もっていうのは、ちょっと反省が足りないみたいね。口で言っても分からないようなら、こうするしかないわ」

「先生、すいません、すいません!」

必死に謝る橋本を無視して、ユキエはアクリル定規をしならせ、橋本の股間を下から叩き上げた。

パシィン!

と、大きな音がして、橋本の金玉はアクリル定規に叩き上げられた。

「はうっ!」

電撃のような衝撃が突き抜け、橋本は股間を両手でおさえる。
直後に重たい痛みが波のように下腹部全体に広がっていき、橋本の膝から力が抜けた。
橋本はたくさんの女子たちが見つめる前で、金玉をおさえてしゃがみこんでしまった。
先ほどのミキのときよりも大きな笑いが、クラスの女子たちを包む。

「聞いた? はうっだって!」

「超ウケる! てか、毎回、痛がりすぎだから」

「あれ、マジで痛いの? 演技じゃなくて?」

女の子たちは、お互いに顔を見合わせて笑った。
一方男子達は、沈痛な面持ちで、痛みに震える橋本を見つめていた。

「静かにしなさい! 橋本君、席に戻っていいわよ。次も赤点をとったら、もっと強く叩きますからね」

ユキエは笑い転げる女子たちの雰囲気に呑まれることなく、毅然とした調子で指示した。

「は、はい…」

橋本は青い顔をして、立ちあがると、前かがみになって股間をおさえたまま、歩き出した。
女子たちはいったん静まるかと思われたが、そんな橋本の姿を見て、さらに爆笑の渦に包まれた。

「見て、あの歩き方! おもしろーい!」

「痛いよ、絶対痛いんだ。アハハハ!」

女の子たちは指をさして大笑いしていたが、男子達の表情は堅く、特にこれから罰を受けなければいけない2人の表情は、曇っていた。


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「次は、松岡君ね。アナタ、いつもいい点をとってるのに、今回はどうしたの?」

「あ、す、すいません。今回は、ちょっと部活が忙しくて…」

松岡は必死で弁解する。

「そう。部活動もいいけど、勉強の方も頑張らないとダメよ。わかった?」

そう言って、ユキエは松岡の股間をアクリル定規で軽く叩き上げた。
力にしてみれば、ほんの肩を叩く程度のものだった。

「うっ!」

それでも松岡の金玉には、ズン、と重たい衝撃が走った。
松岡はしゃがみこむまでにはいたらなかったが、下腹をおさえて、背中を丸めてしまう。股間を直接おさえる事は、やはりクラス中の女子が見ている手前、恥ずかしかった。

「はい。席に戻っていいわよ」

「は、はい…」

たったそれだけの衝撃で、顔を歪めて苦しむ松岡の姿に、女子たちは再び爆笑した。

「なに? たったアレだけでも痛いの? ウソだー!」

「松岡くーん、大丈夫? 大事なタマタマ、潰れてなーい?」

「潰れちゃうんだ? アレだけで? ウケる!」

女子たちはいかにも他人事のように、言い放題に言うが、当の松岡は反論する元気もなく、席に戻っても下腹をおさえて、じっと痛みに耐えていた。

「次は岸田君ね。アナタは前回も赤点だったわね。ちゃんと勉強するって言ってたけど、あれはウソだったのかしら?」

冷静な口調で追及されると岸田は返す言葉もなかった。

「しかも、今回はダントツの最下位よ。こんなこと言いたくはないけど、アナタ一人でこのクラスの平均点を相当下げているのよ。クラスのみんなに悪いとは思わないの?」

ユキエは岸田の答案を手に持って、本人の顔の前に突きつけた。

「いや…あの…すいません…」

岸田はクラスでも目立たない、小柄な男子だったが、小さな体をさらに縮こまらせて、頭を下げた。
ユキエはそんな岸田の姿を見て、小さくため息をついた。

「もうアナタには先生の言うことは通じないみたいだから、今回はクラスのみんなからの罰を受けてもらうことにします。それが、クラスの平均点を一人で下げてしまったことに対する責任ですから」

岸田はユキエの言葉の意味が分からず、頭を上げた。
するとユキエは、突然後ろを振り返って、生徒に語りかけた。

「今からみなさんに協力してもらって、岸田君に罰を与えます。先生がいつも使っているこの定規を渡しますから、これで一人一人、岸田君を叩いてあげて下さい。どこでも、好きな所をね。あ、顔はやめてあげてね。危ないから」

クラスが一気にざわめいた。
しかしながら、女子と男子の反応の仕方は真逆で、女子は好奇心に溢れた目で岸田を見ていたが、男子たちはみな同情の視線を向けた。

「じゃあ、こっちの席からね。はい」

ユキエは淡々とした様子で、一番前の席に座っていた女子に立つように促し、自分のアクリル定規をわたした。

「えー。どこでもいいんですか、先生?」

定規をわたされた女子は、嬉々とした様子で岸田の前に立ち、アクリル定規を右手に構えた。

「ええ、いいわ。でも、あんまり強くしたらダメよ。手加減しないさいね」

はーい、と女子生徒は返事をして、当然のように岸田の股間に目を向けた。
岸田は、ここまでのあっという間の展開に動揺しながらも、ユキエに意見する勇気もなかった。ただ不安そうな顔で、立ちつくしてしまっている。

「あ、あの…」

「一回、やってみたかったんだー。岸田、いくよ」

岸田が何か言いそうになるのを遮って、女子生徒は岸田の股間にアクリル定規を下から叩きつけた。
ピシャッっと音がして、岸田のズボンにアクリル定規がめり込む。

「はぐっ!」

岸田は瞬間的に、股間をおさえて前かがみになってしまった。
股間から、男の痛みが湧き上がってくる。

「アハハ! マジで? これだけで痛いの? ウケるー」

岸田の金玉を叩き上げた女子生徒は、苦しむ様子を嬉しそうに見つめた。

「全然痛くないじゃん、こんなの。ホラ」

ビシッ、ビシッ、と、女子生徒は自分のスカートの股間にアクリル定規を叩きつけて見せる。もちろん女子には金玉などついていないから、少し衝撃がある程度で、まったく痛みなどない。
岸田はそんな女子の様子を、苦痛に顔を歪めながら見ていることしかできなかった。

「はい、次の人」

ユキエは平然と、次の生徒を呼んだ。
次の生徒も女子で、もちろん岸田の金玉を攻撃するつもりでいるらしかった。

「アンタ、甘いって。アタシのやり方、見てなよ」

定規をわたされる時、その女子は得意げな顔で言った。

「いくよー。岸田、起きてよ」

女子生徒はやる気まんまんの表情で、定規をかまえる。
まだ金玉の痛みがひかず、前かがみになっていた岸田は、チラッとユキエの顔を見て、苦しみながらも上体を起こした。

「手、どけてよ」

股間をおさえる手を指されると、岸田は痛みに汗をかきながら、乞うような目で女子生徒を見た。

「あの…もう、ここは…」

「え? だって、どこでもいいってルールだし。アタシもキンタマ叩きたいもん」

「でも、もう痛くて…」

女子生徒は不満げに言うが、岸田はなかなか手をどけようとはしない。

「岸田君、手をどけなさい」

ユキエが冷たく言い放つと、岸田は観念したように股間をおさえる手をどけて、身構えた。
それを見つめるクラスの男子達は、発言こそしなかったが、自分のことのように渋い表情を浮かべていた。

「じゃ、いくよ。えい!」

女子生徒は右手に持ったアクリル定規を振りかぶると、股間に打ち付ける寸前でくるりと手首を返し、定規の側面で岸田の金玉を叩き上げた。

「えうっ!」

岸田にとっては、まったくしなりのない、堅いアクリルの棒で金玉を叩かれたのと同じだった。しかも定規の側面は数ミリしかなく、力が集中する。

「くくく…」

運悪くピンポイントで金玉に当てられてしまった岸田は、すぐさまその場に座り込んでしまい、苦しみに肩を震わせることになった。

「やった! やっぱりこっちの方が痛いでしょ? ねえ? どうなの?」

女子生徒ははしゃぎながら、岸田の顔を覗き込む。
岸田はもちろん、答えることなどできるわけがない。

「ちょっとアナタ、それは反則よ。危なくないようにしなさいって言ったでしょ。」

ユキエははしゃぐ女子生徒から、定規を取りあげた。

「岸田君、大丈夫?」

ユキエが声をかけたが、岸田は青い顔をしてうずくまり、首を動かすことすらできなかった。

「あーあ。岸田のキンタマ、潰しちゃった。カワイソー」

「明日から、女子の制服着てこないとねー」

苦しむ岸田を見ても、女子達はおどけて笑っていた。
それにひきかえ、男子達は岸田の様子を直視することすらできず、ただうつむいて、そのゾッとするような痛みを想像しないようにしていた。

「じゃあ、今日はこれで終わりにしましょう。またひどい点を取ったら、同じことになりますからね。岸田君?」

「は、は…い…」

岸田は絞り出すような声で、うなずいた。

「はい。じゃあ、授業に入りましょうか。岸田君、席に戻りなさい」

金玉にピンポイントの打撃を加えられた男が、ものの数分で立ち上がれるほどに回復できるはずもないのだが、ユキエは女性特有の無情さで、岸田に言ってのけた。
岸田はよろよろと立ち上がり、両手でしっかりと股間をおさえたまま、背中を丸めて自分の席まで歩いていった。

「岸田、やったね。明日から女の子じゃん!」

「女子トイレに入ってもいいよ。見つけたら、キンタマ蹴るけどね!」

岸田の情けない姿に、女子達は爆笑した。
ユキエ自身はあくまで教師として、生徒に当然の罰を与えているつもりだった。しかし、いつの間にかこの罰は男子達にとっては恐怖、女子たちにとっては楽しみの時間になってしまっていた。


テストの返却が終わると、ユキエはさらにテスト問題の解説と復習を始めた。その間も、金玉を叩かれた男子達の痛みが引くことはなく、はっきり言って上の空だった。
金玉の痛みは、最初は体の自由を奪うような激しく鋭い痛みだが、その後もずっと、重苦しい痺れのような痛みが下腹部全体にくすぶり続ける。少なくとも、この授業の間中は、集中できるような体調にはならないだろう。
この調子では、また赤点をとってしまうような悪循環だったが、ユキエや他の女子生徒たちにそれが理解できるはずもなく、金玉のことなどすっかり忘れて、淡々と授業を進めていたのだった。





「はい。テストの見直しは以上です。それじゃあ、前回の授業の続きをしていきましょう。まずは、宿題の答え合わせからやりましょうか」

宿題と聞いて、一気に顔から血の気が引いたのが、男子の川田だった。
川田は、昨日出された宿題のことをすっかり忘れていたのである。
厳格なユキエは、宿題をやってくることが当然と思っているので、忘れたかどうかなどとは聞かない。ただ、宿題の答え合わせでは、生徒をランダムに指して回答させるのが常だった。
自分が当てられることがなければ、忘れていても、それがバレることはない。川田は迷った。
今、忘れたと名乗り出れば、多少はユキエの心象も良くなるかもしれないが、それでも罰は免れないだろう。
ギリギリの葛藤で、やはり恐怖に負けて、黙り通す賭けに出る事を選んでしまった。

「じゃあ、一問目を、井口君」

「はい」

ユキエは、男子の中でも成績優秀な井口を指名した。
その後も次々と生徒が当てられていくが、皆、宿題をきちんとやってきているようだった。
川田は、さも宿題をやっていきているかのように装っていたが、内心では一問終わるごとに、祈るような気持ちだった。

「じゃあ、最後の問題を…川田君、お願い」

川田はその瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けて、顔をあげた。
よりによって最後の最後、あと一問だけだったのに、指名されてしまったのである。
力なく返事すると、目を泳がせながら立ちあがった。

「え、えー…と…」

まだ、この場で問題の解答を考えて、誤魔化すという道もあった。
しかし、川田はそう頭の良い方ではなく、その問題は真面目に宿題をやったとしても、解けないくらいの難しいものだった。
幸い、ユキエは回答を間違えることに対しては、怒ることはない。
なんとかもっともらしい回答をしたかったが、川田はちょっとしたパニック状態になっていて、なかなかいい答えが浮かんでこなかった。

「どうしたの? この問題は、ちょっと難しかったかしら?」

難しすぎて、解けなかったという選択肢もあった。
川田はそれに気がついて、ハッとした表情で顔をあげ、うなずいた。

「は、はい! そうです。ちょっと、難しくて…」

その時、隣の席に座っていた女子の堀之内サキが、川田を地獄に突き落とす告発をした。

「先生、川田君、宿題やってきてませんよ。さっきから、ずっと見てましたけど」

川田は自分の顔から、血液がサーッと引いていくのがはっきりと分かった。
サキはずっと、川田の挙動が怪しいことに気がついていたのだ。
いや、実際には反対側に座る男子の吉岡なども気がついていたのだが、それを告発するようなことはしなかった。そんなことをしたとき、その後川田に何が待っているかを、十分理解していたからである。

「え? 本当なの、川田君?」

ユキエの表情が、一気に険しくなった。
川田は完全にパニックになり、しどろもどろになった。

「い、いや、あの…やってないっていうか…。やったけど、分からなかったっていうか…」

「ウソだあ。アンタ、ずっと答え写してたじゃん。一問もわからないはずないでしょう」

サキはさらに、川田を追い詰めていく。
その結果、川田が受ける事になる罰のことなど、サキにとってはどうでもいいことだったのだ。

「どっちなの! やったの、やってないの? 正直にいいなさい!」

ユキエは曖昧さを許さない態度で、言い放った。

「その…やって…ません…。すいませんでした!」

川田は力の限り頭を下げて謝ったが、そんなことでユキエの怒りがおさまるはずはなかった。
つかつかと川田に歩み寄り、目の前に立ちはだかった。

「座りなさい」

厳しい調子で、そう言い放つ。

「どうして、正直に言わなかったの? 黙っていれば、バレないと思ったの?」

「い、いや、その…」

「宿題は、先生のためにやってるわけじゃないのよ。アナタのためにやることなのよ。分かってるの?」

ユキエは教師らしく、毅然とした調子で叱った。
川田はうなだれて、しおらしくうなずいていた。

「こっちを向いて。背筋を伸ばしなさい」

川田はハッとして、顔をあげた。

「せ、先生! すいませんでした。次はちゃんとやってきますから…」

必死な様子で懇願する川田だったが、ユキエは意に介さなかった。

「早く!」

川田は気迫に負けて、諦めたように体をユキエの方に向けて、イスに深く腰掛け、背筋を伸ばした。
するとユキエは、慣れた様子でサンダルを脱ぎ捨て、グレーのストッキングに包まれた右足を、川田の足と足の付け根にねじ込んだ。

「うぅっ!」

思わず、川田の口から嗚咽のような声が漏れる。
快感なのか苦しみなのか、この瞬間は分からない。それはいつものことだった。
川田の地獄は、ここからなのだ。

「さあ! 反省しなさい!」

ユキエは言いながら、川田の股間にあてがった右足を、さらに深くグリグリとねじ込んでいった。
川田の金玉は、ユキエの足の裏と恥骨、あるいはイスの座面とに挟まれて、容赦なく変形させられる。

「う! うえっ! ぐえっ!」

ユキエの足が上下するたびに、川田は情けない悲鳴を上げる。
思わず両手で股間を守ろうとするが、ユキエはそんな川田の手を掴み、おさえられないようにしてしまった。
まるで椅子の上でバンザイをしてるような体勢で、川田はユキエの電気あんまに耐えなければならなかった。
その姿に、隣の席で川田を告発したサキはもちろん、クラスの女子たちのあちこちから、失笑が漏れた。

「アレ、痛いのかな?」

「痛いんじゃない? なんか、川田のヤツ、泣いてない?」

「マジ? なんで、あんなんで痛いわけ?」

「知らなーい。バカじゃないの?」

当の川田は、そんな女子たちの囁きも耳に入らず、いつもよりも強烈なユキエの踏みつぶしを涙をこらえて耐えていた。
川田の二つの金玉は、ユキエの足に踏みつぶされるたび、逃げるように形を歪ませて転がるのだが、ユキエはそれを逃さぬよう、器用に踏み続けた。

「どう? 反省してるの、川田君?」

「あ! は、はい…。あ…! は、反省して…ます。あ!」

川田はとぎれとぎれに、ときに女の子のような悲鳴をあげて、必死に答えた。
そんな川田の姿を、沈痛な面持ちで見守っていた男子生徒たちだったが、突然、井口が立ちあがった。

「せ、先生! 梅田さんも、宿題をしていません! …けど…」

井口は意を決したように、しかし後半はややトーンダウンして、隣の席に座っていた女子の梅田サトミを告発した。

「あー、もう! なんで言うのよ!」

サトミは残念そうにつぶやいた。
ユキエは川田の手を離して、梅田の方を見た。

「そうなの、梅田さん?」

サトミは諦めたようにうなずいた。

「はーい。してません。すいませんでした」

ユキエは川田の股間から足を離し、サンダルを履いて、つかつかとサトミのそばに歩み寄った。
ようやく電気あんまから解放された川田は、震えながら机に突っ伏してしまった。

「どうして、そう言わないの! アナタも、背筋を伸ばしなさい!」

サトミは言われた通り、椅子の上で背筋を伸ばした。
ユキエはサトミの両耳に手を伸ばし、耳の上の方を掴むと、思い切り引っ張り上げた。

「いたたたたっ! せ、先生! 両方はダメだって! 痛い、痛い!」

サトミは耳をおさえて、痛がった。

「静かにしなさい! アナタも誤魔化そうとしたんだから、片方じゃすまないのよ! 反省しなさい!」

ユキエは厳しく言い放った。
子の様子には、クラスの女子たちも同情の声をあげた。

「わー、痛そー!」

「サトミちゃん、かわいそー」

「先生、やめてあげて!」

しばらくして、ユキエはようやくサトミの耳を放した。
サトミは耳をおさえて、痛そうに机に伏せてしまった。
これを見て、隣に座っていた井口は、また意を決したように立ちあがった。

「せ、先生! 不公平じゃないですか?」

ユキエはまたも井口が立ちあがったのを見て、さすがに少々驚いた表情だった。

「井口君。なにかしら、今度は? 不公平って、なんのこと?」





井口はユキエよりも少し高い身長だったが、ユキエにはいつも気圧される思いだった。
が、今は相当の勇気を振り絞って、ユキエを問い詰めようとしている。

「先生は、男子に対して不公平だと思います。何か罰を与えるとき、女子にはお尻を叩いたり、耳を引っ張ったりするだけですが、男子には…その…いつも、急所を攻撃します。それはちょっと、不公平なんじゃないですか?」

井口は叫ぶように、一気にまくしたてた。
それを聞いたユキエは、少しの間きょとんとした顔をしていたが、やがて不思議そうな顔で井口に言った。

「井口君、アナタ、何言ってるの? そんなの当然でしょ。女子には男の急所がないんだから」

ユキエは極めて真面目な調子で井口に言ったが、これを聞いた女子たちは、どっと笑い出した。

「先生、その通り!」

「女子にはタマがないもんねー」

「井口、何言ってんの?」

井口は女子たちの嘲笑を受けても、それを予想していたかのように、なお引き下がらなかった。

「だ、だったら、男子にも女子と同じ罰を与えるべきです。女子と同じ、尻叩きとか。男子だけが重い罰を受けるのは、不公平です!」

ユキエは必死に訴える井口の顔を正面から見つめて、毅然とした表情を崩さなかった。

「わかりました。アナタの意見は理解できるわ。でもね、井口君。私はアナタ達の学力を伸ばすために、最も効果的な方法を常に選択しているつもりです。そこに男女の差別はないわ。男子にとっては、それが急所攻撃だったというだけのことです。女子には女子で、最も痛くて効果的な罰を与えているつもりよ」

「そ、それが、不公平なんです。急所攻撃は、他のところを叩くよりも、ずっと痛いから…」

井口は男の急所の痛みを説明したかったが、それは女性であるユキエには永遠に分かることではなかった。

「それは、個人の痛がり方の問題でしょう。耳を引っ張られるのだって、十分痛いわよ。ねえ?」

ユキエはまだ耳をおさえているサトミにたずねた。
サトミは顔をあげて、井口をにらむ。

「そうだよ! 耳だって、痛いんだからね! 男のキンタマなんか、本当は大したことないんでしょ!」

「そ、そんなこと…」

井口は反論しようとしたが、クラスの大多数を占める女子たちが、一斉に叫び始めた。

「そうだよ! 男子は大げさなんだから」

「潰れてもいないくせに、いつまでも痛がるなって!」

「男だったら、それぐらい耐えてよねー」

井口はその勢いに押されて、何も言えなくなってしまった。

「それにね、井口君。アナタはとてもまじめで責任感の強い生徒なんだけど。このクラスの男子の中には、問題のある生徒もいると思うの」

ユキエは相変わらず淡々とした様子で、井口に言った。

「は、はい…」

井口は力なくうなずいたが、何のことかはわからなかった。

「この際だから、はっきりとさせましょう。その方が、クラスのためだし、アナタ達の将来のためだわ。吉岡君! 立ちなさい!」

突然、ユキエは川田の隣に座っていた吉岡の名前を呼んだ。

「は、はい…」

吉岡は突然のことで驚いたが、返事をするだけで、すぐには立とうとしなかった。

「どうしたの? その場で立ちなさい、吉岡君」

「あ、はい…」

吉岡はおどおどした様子でズボンをいじったりして、なかなか立とうとしない。

「立ちなさい!」

ついにユキエは、雷のような声で吉岡に指示した。
吉岡はビクッと体を震わせて、反射的に背筋を伸ばして立ちあがった。
井口はそんな吉岡の様子を眺めていたが、やがてあることに気がついた。

「みんな、見なさい。これが、男子の問題よ」

クラスの女子たちの間にも、囁き声が徐々に広がっていった。
吉岡はもう諦めたのか、目をつぶって、まっすぐと立っている。

「…ねえ、アレ、そうじゃない?」

「あ! なに、アレ? 勃ってるの?」

「そうだよ。勃ってるよ。授業中にボッキしてるんだ。さいてー!」

女子たちは口々に、吉岡の股間のふくらみを指摘し始めた。
確かに吉岡のズボンの股間はテントのように膨らんでいて、それが勃起によるものだということは、同じ男である井口の目には、一目瞭然だった。

「吉岡君。アナタ、授業中に何を考えているのかしら? いいえ、言わなくてもいいわ。先生には分かってますから」

吉岡は観念したように、黙ってうつむいてる。

「アナタ、さっき先生が川田君に罰を与えているとき、じっと見てたわね。先生のスカートの中を」

吉岡は何も答えなかったが、真っ赤になった顔が、すべてを物語っていた。
さきほど、ユキエが片足をあげて川田の股間を踏んでいるとき、吉岡の席からは、見えてしまっていたのだ。ユキエのタイトスカートの中が。
吉岡も最初はドキッとして目をそらした。しかし、ストッキングに包まれたユキエの太ももの内側と、その奥に見える薄いピンク色のパンティーが、年頃の男子の目をとらえないはずはなかった。
ユキエの足が上下するたびに、パンティーの股間部分のしわが伸び縮みするのを、吉岡はいつしか凝視してしまっていたのである。当然の摂理として、ギンギンに膨らんでしまった自分の股間を吉岡は必死に隠していたが、ユキエはそれを見逃さなかったのである。

「どうなの! 吉岡君!」

ユキエはさらに吉岡を問い詰めた。
吉岡はようやく、囁くような声で、「はい…」とうなずいた。
これにはクラスの女子たちは、猛烈に非難を浴びせた。

「信じらんなーい! スケベ!」

「へんたーい! 先生のスカートのぞくとか、ありえない!」

「先生、こんな変態のキンタマなんか、潰してください!」

「そうそう。潰しちゃえ!」

「ツ・ブ・セ! ツ・ブ・セ!」

期せずして、女子たちの間から「潰せ」コールが巻き起こった。
吉岡はここにきて事態のまずさに気がつき、必死で頭を下げた。

「すいません! すいませんでした!」

もはや井口も、何も弁護することはできない。
先ほどまで金玉を踏まれていた川田も、苦い顔で隣の吉岡を見上げていた。
ユキエは独り教壇に立って、黙って吉岡を見つめていたが、やがてよく通る声で吉岡を呼んだ。

「吉岡君、前に来なさい」

ユキエがそう言うと、女子たちの「潰せ」コールもおさまり、吉岡はおずおずと黒板の前に来た。すでに股間の膨らみはなくなって、本人もまた、背中を丸めて縮こまっている。




「さっき、井口君から指摘があったように、先生は男子に対して少し厳しかったかもしれません。でもそれも、アナタ達の学力が少しでも伸びる事を願ってのことです。それは分かってもらえるわね?」

ユキエは突然、心のこもった様子で語り始めた。
吉岡は意外な言葉に驚いたが、とりあえず、その問いかけには無言でうなずいた。

「先生はアナタ達より年上だから、よく知ってるの。この年頃の男子が勉強に集中できない最大の理由は、ここなのよ」

そう言うと、ユキエは左手で吉岡の肩を掴んで引き寄せ、もう片方の右手で吉岡の股間を下から鷲掴みにした。
吉岡の体が一瞬、ビクッと震えたが、ユキエの手は吉岡の金玉を締めつけるわけではなく、優しく包み込むように握っていた。

「だから今日は、その問題点を解消するお手伝いをしてあげます。あと、普段厳しくしている男子に、ご褒美をあげましょうか」

ユキエは吉岡の股間を掴んだまま、おもむろに片手で自分のシャツの前をはだけさせた。シャツの間からは、ピンク色のブラジャーに包まれた、ユキエの大きな乳房が見える。
吉岡は突然の出来事に目が釘づけになり、クラスの女子たちも、思わず声をあげた。

「さあ、自由に見てもいいのよ。吉岡君の悪い元気を、スッキリさせてあげましょう」

ユキエはそう言って、吉岡の股間を、ズボンの上からさすり始めた。
縮こまっていた吉岡のペニスは、すでにいきり立っていて、ユキエの右手はそれを優しく撫でるように動く。

「あ! うぉ…!」

吉岡は突然の激しい快感に、場所も忘れて声をあげてしまった。
彼は童貞で、ズボン越しとはいえ、女性に股間を触れられたことなど初めての体験だった。

「気持ちいいのね? その調子よ。触ってみる?」

ユキエは、ズボンの上からでもありありと分かる吉岡の肉棒を撫でながら、その手をとって、自分の乳房の上にあてた。
吉岡の手に伝わる、まったく未体験の柔らかい感触と体温は、さらに彼の興奮を促して、ここが教室でクラスメイト全員が注目していることを忘れさせてしまった。
クラスの女子たちは、いつの間にか息をのんで、二人の様子を見守っていた。
半分以上の女子たちがセックスの経験はなく、男のペニスを見たこともなかったため、このような光景を想像することもなかった。

「アレ、気持ちいいのかな…?」

「先生、オッパイ大きいー」

「吉岡、イクのかな?」

女子たちが囁く中で、男子達は一様に、ユキエのはだけた胸とその怪しげな指づかいに目が釘付けになっていた。
男子の全員がもれなくギンギンに勃起していることを、ユキエだけが気づいていた。

「さあ。もうちょっとよ、吉岡君」

ユキエはいったん吉岡の股間から手を離すと、上着のポケットからレースの付いたハンカチを取り出し、それを掌にのせて、吉岡のズボンの中に右手を突っ込んだ。

「あっ!」

吉岡は小さく呻いた。
ユキエの手は、今やトランクスの中に侵入し、ハンカチ越しに、はちきれんばかりに勃起したペニスを握っている。
このままちょっとでも動かされれば、吉岡は一気に射精してしまいそうだった。

「男子は全員、しっかりと見ておきなさい。悪い元気をとって、勉強に集中するのよ」

ユキエはそう言って、自らブラジャーをずらして、片方の乳房を露わにした。
その姿に女子たちからは歓声が上がり、男子達は目を皿のようにして見つめ、鼻息を荒くした。

「吉岡君、イキなさい。イッてもいいのよ」

ユキエはズボンの中で、その肉棒をしごき始めた。
吉岡は身をよじって快感に震えたが、ギリギリのところで射精を踏みとどまっていた。
さすがにクラス中の女子たちが見ている前で射精するのは、わずかに残された理性が抵抗をしたのだ。

「イクのかな?」

「イクよ。もう、出そうじゃない?」

「先生にイカされちゃうの? はずかしーい」

女子たちの囁きが、今度ばかりは吉岡の耳を打った。
唇を噛んで抵抗したが、やはりユキエの右手の動きと乳房の柔らかさには抵抗できず、頭が真っ白になって、何も考えられなくなってしまった。

「あっ! ああっ!」

そしてついに、吉岡はユキエに手コキされ、その右手の中で盛大に射精してしまった。

「そう。出しなさい。悪い元気を全部」

ユキエはさらに、絞りとるように吉岡のペニスを握りしめた。

「あうっ! うう…」

快感に震える吉岡の姿を、クラスの女子たちは好奇心に溢れた目で見ていた。

「ウソー! ホントにイッちゃった!」

「信じらんない! ふつう、出しちゃう?」

「あ、この匂い…!」

やがてユキエが右手をズボンの中から抜き取ると、その手にはべっとりと精液にまみれたハンカチが握られていた。

「これは、あげるわね。返さなくてもいいわ」

ユキエは極めて冷静な様子で、精液のしみ込んだハンカチをたたむと、吉岡の上着のポケットに突っ込んだ。
そして何事もなかったように自分の胸をしまい、服のボタンをとめて、整える。

「はい。これで、勉強に集中できるわね。先生も助かるわ。他の男子たちも、自分でしっかりと処理しとくのよ。ご褒美はこれっきりですからね」

男子達は全員、椅子の上で前かがみになっていた。
中には密かにポケットに手を突っ込んでペニスをしごき、少し射精してしまった者もいたが、教室中に吉岡の精液の匂いが広がっていたため、それと気づかれる様子はなかった。

「ハア…ハア…」

吉岡は溜まっていた精液をすべて出しつくしたように、放心状態だった。
しかし射精した後に訪れる、男の最も冷静な時間が訪れると、自分がクラスメイトの前で射精してしまったことに対して、これ以上ないくらいの恥ずかしさを感じてしまった。

「あ、あと吉岡君。これは、先生のスカートを覗いた罰よ。ご褒美とは別ね」

平然とした様子でそう言うと、ユキエは右ひざを跳ねあげて、吉岡の股間にめり込ませた。

ズン!

と、重たい質量を、吉岡は股間に感じる。
先ほどまで人生最大の快感を味わっていた場所に、今度はこれまでにないくらいの痛みが押し寄せてきた。

「ぐえぇっ!!」

吉岡は一瞬、ピンと体を硬直させて、直後に糸が切れた人形のように、横倒しに倒れこんでしまった。
舌をダランと出して、唇のわきから、細かい泡をふきだしている。
半分白目をむいた状態で、両手をしっかりと閉じた足の間に突っ込んでいた。

「あら。ちょっと強かった?」

ユキエは不思議そうに首をかしげる。
吉岡はそれに反応できるわけもなく、ビクビクと痙攣していた。
そして少しズレたズボンの隙間から、白濁した液体が、痙攣の度にビュっとこぼれた。
クラスの女子たちは、最初は何が起きているのか分からなかったが、やがて堰を切ったように爆笑した。

「えー! 蹴られてイッちゃったー!」

「最悪―! 超ヘンタイじゃん、コイツ!」

「ホンット、男子って、バカみたい。気絶しながらイクとか、ありえなくない?」

「どんだけエロいわけ、コイツ。ドMじゃん」

これまで無表情だったユキエも、さすがにこの吉岡の姿には、失笑してしまった。

「もう。吉岡君ったら」

吉岡は男の最大の苦しみと快感を同時に味わい、涙を流しながら、気が遠くなっていくのを感じた。
それを見ていた男子達は、女子たちの笑いの渦に包まれながら、しかし少しも笑うことなく、ただ顔を伏せて、吉岡に同情することしかできなかった。


終わり。


ある寒い冬の朝。大学生の奥田ユウジは、巨体を揺らして自宅マンションの階段を登っていた。
こんな時間に学校へも行かず、自宅に帰ってきたのは、マンガ喫茶で夜を明かしたためで、これからゆっくりと眠りにつくつもりだった。
大学生といってもユウジは留年を繰り返し、年齢はすで25歳になろうとしていた。
授業にはほとんど出席せず、バイトは気が向いたときだけして、親からの仕送りで生活する。絵にかいたような無気力な学生だった。

部屋のドアに鍵を差し込むと、意外にも鍵は空いていた。
うっかり閉め忘れてしまったかと思い、疑う様子もなくドアを開けた。
すると、八畳ワンルームのユウジの部屋には見知らぬ女性の姿があった。

「あれ…?」

ユウジには最初、事態が飲みこめなかった。
うっかり寝ぼけて違う部屋のドアを開けてしまったかと思ったが、ここは確かに見覚えのある自分の部屋である。
泥棒かと思ったが、長身で痩せ型のその女性は、ジャケットにタイトスカート姿で、とても泥棒とは思えなかった。

「奥田さん? お帰りなさい。お邪魔しています」

玄関でユウジが立ちつくしていると、女性の方から声をかけてきた。

「昨日の夜も来たんだけど、今朝もいなかったので、合い鍵を使わせてもらいました。私は、このアパートの管理をしている南沢といいます」

ユウジが尋ねる間もなく、女性は自ら説明し始めた。
きびきびとした様子で胸ポケットから名刺を取り出し、ユウジに渡す。
名刺には、南沢ヒトミという名前が書いてある

「早速ですが、奥田さんには、この部屋を出ていって頂きたいと思います。クリーニングの手配などがありますので、できるだけ早いうちに。今週中にでも」

「え?」

ユウジには、何の話かまったくわからなかった。
突然、自分の部屋に見知らぬ女性が現れて、部屋を出て行けという。
アパートの管理者だか何か知らないが、これを理解しろという方が難しいだろう。

「え…どういうことですか?」

ようやくそれだけ尋ねることができたが、ヒトミはユウジの動揺を予測していたように、淡々と説明を始めた。

「奥田さん、ここは学生専用の建物なんです。大学の学生が住む所なんですよ。奥田さんは今、いくつになりますか? だいぶ長い間、学校に通っているようですけど。ここに入りたいという学生は毎年多いのに、いい加減、出ていってもらわないと、困るんですよ」

「え…いや…それは…。ボクだって、一応、学生ですよ!」

「奥田さんの教授にも、話を聞いてきました。教授は、奥田さんのことなんか、顔も知りませんでしたよ。一度も授業に出ていないそうですね。その調子で、何年留年してるんですか? それで学生と言えるんですか? 真面目に大学に通う気がないなら、辞めればいいと、教授もおっしゃってましたよ」

ユウジは愕然とした。
確かに、自分がどの教授の授業に登録していたか、自分でもすぐには答えられない。
最後に学校に行ったのは2週間ほど前、参加しているアニメサークルの集まりのときだった。

「一番の問題を言います。奥田さんがこの学生寮に出入りしていると、他の学生さんたちが気味悪がるんですよ。ここには、最近女子生徒が多く入居していますから、いっそのこと女性専用にしようかと思っているところなんです。そんな所に奥田さんみたいな人がいたら、困るでしょう?」

極めて侮辱的なことを、ヒトミははっきりと言ってのけた。
確かにユウジの風体は、肥満し、髪の毛はボサボサで、無精ひげを生やし、いつも同じような着古したジャージを着ている。お世辞にも清潔そうには見えなかった。
むしろ、ニートのオタクとはこういう男のことだという、見本のような格好をしていた。

「そ、そんな…そんなこと…!」

とはいえ、あまりにも一方的な言い分に、ユウジは怒りを覚えざるを得なかった。
しかし、普段からほとんど人と接することがなく、まして若い女性と話をすることなど、いつ以来か分からないほどのユウジは、すぐに言葉が出せなかった。
ヒトミはそんなユウジの様子を、冷ややかな目で見つめている。
長い黒髪を軽く掻きあげる動作でさえ、ユウジを小馬鹿にしているように見えた。

「でも、本当にうわさ通りですね。オタクっていうのかしら。この部屋。気持ち悪い…」

遠慮も何もなく、そう言った。
確かにユウジの部屋は、壁一面アニメやゲームの女性キャラクターのポスターで占められており、床には服や雑誌の類が乱雑に散らかっている。その反面、ズラリと並んだフィギュアの棚だけは、キレイに整頓されているのだ。
そのフィギュアも、アニメに出てくる女の子のものばかりで、ほとんどが半裸か全裸に近いようなものだった。
ヒトミのような興味のない人間からすれば、確かに気色の悪い光景だったろう。

「何、これ? こんなものを集めて、何してるんですか?」

ふと、ヒトミはフィギュアの一つを手に取った。
それはユウジが最近手に入れたもので、とあるアニメのキャラクターのフィギュアだった。そのキャラはとても人気があり、ユウジもネットオークションなどを駆使して、ようやく手に入れたものだった。

「あ…! それは…」

「こういうもので、何をしているんですか? こんな子供みたいな女の子に興味があるなんて…。変態…」

さすがに、最後の一言だけはつぶやくように言ったが、ユウジの耳にはしっかりと聞こえていた。
ユウジは、徐々にこみ上げてきた怒りに全身を震わせた。
勝手に人の部屋に上がり込んで、言いたい放題に言い、あまつさえ自分が何より大切にしているフィギュアまで馬鹿にされて、怒らないはずがない。
普段は大人しく、他人と口喧嘩さえしないユウジだったが、ヒトミのあまりの仕打ちに、キレてしまった。

「そ、それに触るなー!!」

ユウジは叫びながら、ヒトミに向かって行った。
ヒトミに危害を加えようというつもりではなかったが、とにかく彼女の手から大事なフィギュアを取り戻したかったのだ。
ヒトミはしかし、驚く様子もなく、その場から動かなかった。
相変わらず蔑むような目で、ユウジが怒り狂うのを見ている。

「返せっ!」

ユウジはヒトミの手首を掴んで、フィギュアを取り返そうとした。
しかし次の瞬間。

「うぐっ!!」

股間に鋭い痛みを感じ、ユウジは息をつまらせた。
ヒトミの細い膝がユウジの金玉にめり込み、恥骨に挟み込んで圧迫したのである。

「あ…か…!」

肥満したユウジの体は、無残にも床に崩れ落ちた。
先ほどまで沸騰しきっていた怒りも、頭から血の気が引くように、一気に冷え込んでしまう。

「言っておきますが、これは正当防衛ですからね。こんなもの。言われなくても返すわ」

汚いものでも投げ捨てるかのように、ヒトミはフィギュアを床に捨てた。
そして、先ほどユウジに掴まれた手首を、忌々しそうにハンカチで拭くのである。

「奥田さん。アナタが女性を襲う危険性のある人物であることが、今のではっきりとわかりました。アナタのような犯罪者予備軍を、これ以上ここに住まわせることはできません」

うずくまって金玉の痛みに打ち震えるユウジの頭上から、言い放った。

「明日中に、荷物をまとめて出ていってもらいます。従わない場合は、法的な措置を取らせてもらいますので、そのつもりでいてください」

冷酷すぎる言い様だった。
痛みで頭が真っ白になっているユウジにも、ことの重大さは理解できた。
奥歯を噛みしめて、痛みに耐えながらふと目を上げると、そこにはスラリと伸びたヒトミの両脚がある。
ストッキングに包まれたその脚は、いかにもしなやかで繊細で、この脚がユウジに絶望的な痛みを与えたものとは、にわかに信じ難かった。
さらにその脚を見上げていくと、ほどよく肉づいた太ももと、官能的な腰回りのラインが見える。
ユウジは痛みに震えながらも、男として、その曲線美に興奮を感じざるを得なかった。

「……?」

ヒトミはそんなユウジの視線に、最初は気がつかなかったが、やがてそれが自分に向けられた性的欲望だと直感すると、みるみる眉を吊り上げた。

「どこ見てるの! この、変態!」

うずくまって股間をおさえているユウジの横に回り込んで、脂肪が折り重なったその脇腹に、つま先で蹴りを入れた。

「ぐえっ!」

「変態! 変態!」

ヒトミはさらに蹴り続け、さらにユウジの頭を踏みつけた。

「あ…うう…!」

ユウジの顔面は床に押し付けられ、無様に変形した。

「明日、また来るわ。そのときに準備ができていなかったら、大学にもこのことを報告しますからね。襲われそうになったといえば、退学は間違いないわよ。いいわね?」

ユウジは踏みつけられた頭を、わずかに縦に動かした。
ヒトミの声は荒々しく興奮してはいなかったが、有無を言わせぬ静かな迫力があった。

「それから、二度と私に触ったり、変な目で見たりしないで。汚らわしい。もしまた変な気を起こしたら、一生後悔させてあげるわ。いいわね?」

ユウジの目には、涙が浮かんでいた。
自分より遥かに小柄な女性から受けた痛みと屈辱に震えながら、うなずくことしかできなかった。
 
「それじゃあ、よろしく」

ようやくユウジの頭から足を下ろすと、何事もなかったかのように、部屋を出ていった。
後に残されたユウジが、起きあがることができたのは、その数十分後のことだった。



金玉の痛みから回復したユウジが始めたことは、引越しのための荷作りではなかった。
この部屋を出ていく気など、さらさらない。というより、彼にはこの部屋を追い出されてしまえば、行くあてがまったくなかったのだった。

「くそ…あの女! くそっ!」

恨みごとをつぶやきながら、パソコンの画面を見つめている。
探しているのは、ヒトミをどうやって黙らせるかという方法だった。
住居や賃貸契約に関する法律でも調べれば、少しは議論の余地がありそうなものだったが、ユウジの頭の中には、ヒトミ個人への怒りが渦巻いていたのだ。
ヒトミを屈服させてやることが、この部屋に住み続ける唯一の方法だと信じて疑わなかった。

「ん…?」

ユウジが注目したのは、

『気が強そうな女は、本当は支配されたがっている。強引でも強気で行けばOK』

という記事だった。
ネット上に蔓延する、何の根拠も責任もない記事だったが、人生経験の浅い人間ほど、こういう見出しにとらわれやすい。
さらにユウジは、

『女の奥底にあるレイプ願望』

とか

『女性は一度関係を持った男に弱い』

などという記事に目を留めていった。

ヒトミが看破したように、彼は現実の女性に興味を持つことが少ない方だった。はっきり言ってしまえば、二次元専門だったのである。もちろん童貞だったが、本人は何とも思っていなかった。
それが、出会いの形は最悪だったにしろ、ヒトミという魅力的な女性と接触したことで、ユウジの中の原始的な男の欲望が目を覚ましつつあった。
それは屈折した形だっただけに、燃え上がり方も激しく、同時に陰湿で、ユウジは自分の発想がすでに犯罪の世界に足を踏み入れていていることも分からないようだった。

「そうか…。そうすればいいんだな…」

暗い目つきでつぶやいている自分の顔が、明らかに犯罪者予備軍のそれであることに、ユウジは気がつかなかった。



翌日の昼すぎ。
再びアパートを訪れたヒトミは、ユウジの部屋に引っ越しの気配がまったくないことを見ても、むしろ予想通りという顔をしていた。
昨日はああ言ったものの、さすがに一日で準備ができるはずがない。
ユウジの抵抗は予想外だったが、昨日の訪問は脅しをかけるつもりだったのである。
かといって、ここで手を緩めれば埒が明かないのも確かなので、今日もこっぴどく脅かしてやるつもりで来たのだった。

「奥田さん! いるんですか?」

玄関のチャイムを押しても反応がないので、ドアをノックしてみた。
それでも反応がないので、ドアノブをまわしてみると、鍵がかかっていない。
ヒトミは不審に思いながらも、勝手知ったる部屋なので、昨日と同じようにドアを開けて中へ入った。

「奥田さん?」

部屋の中はカーテンが閉められているようで、薄暗く、よく見えなかった。
ただ、ユウジの姿はないようで、部屋の中の荷物もまったく整理された様子はなかった。
ヒトミは不審に思いながらも、自分の警告にまったく従わなかったユウジに怒りを感じた。
棚の上には、相変わらず女の子のフィギュアが並んでおり、それらがすべてヒトミの方を見つめ、あざ笑っているかのような気味悪さを覚えた。

「まったく…! あの変態野郎!」

ユウジが部屋にいないと見て、思わず悪態をついた。
すると突然、背後からユウジの巨体が覆いかぶさるようにして抱きついてきた。

「きゃあっ!」

ヒトミは思わず悲鳴を上げた。
ユウジは鼻息を荒くして、ヒトミの両腕を包むように抱き締めようとする。

「し、静かにしろ!」

耳元で、ユウジが囁いた。
ユウジの息遣いがすぐ側に感じられて、背筋に悪寒が走ったが、その力は思いのほか強く、振りほどけなかった。

「何! 何をする気!」

ユウジは無言のまま、ヒトミをベッドに押し倒した。
うつ伏せになったところに肥満したユウジの巨体が覆いかぶさってきたので、一瞬、呼吸ができなくなるほどの圧迫を感じた。

「うっ!」

さらにユウジは、どこにそんな力が隠されていたのか、うつ伏せになったヒトミを軽々とひっくり返して、仰向けにしてみせた。
昨日と同様、スーツ姿にワイシャツを着ていたヒトミの乳房が、重たそうに揺れた。
二次元とは違う、柔らかそうな胸の膨らみを見て、ユウジの心にも火がついたようだった。

「お、お前が悪いんだからな! 俺のものにしてやる!」

準備していたようなセリフを、たどたどしく叫んだ。
ヒトミはしかし、意外なほど静かな表情で、興奮した様子のユウジを見上げていた。
ユウジはそれを見て、自分の計画通りヒトミが観念したものと思った。

『女はセックスをすれば、言うことを聞くようになる』

昨日見た記事が、頭の中に浮かんだ。

ヒトミのワイシャツに手をかけて、不器用な手つきでボタンを外していった。
胸の部分を数個外しただけで、ピンク色のブラジャーに包まれた、豊満な乳房が顔を出した。

「ふうっ…ふうっ!」

ユウジの息遣いはますます荒くなり、その股間は、ジャージを突き破らんばかりに膨張していた。
一瞬のためらいの後、思い切ってヒトミの乳房に両手を当てると、予想を遥かに超える柔らかさがあった。

「ふおおっ!」

柔らかいだけでなく、適度な弾力もあり、ユウジにとってはまったく未体験の感触だった。
もはや理性も何もなく、乱暴に揉み続けると、ヒトミがかすかに声を上げた。

「あ…ん…」

ヒトミは感じている。
ユウジはそう確信した。自分の計画に、まったく誤りがなかったということである。
こうなれば、このままヒトミを犯してしまっても、まったく間違いはない。
そう思ったユウジは、一気にヒトミのスカートをずり下ろして脱がそうとしたが、タイトスカートは引っかかって、なかなか脱がせられない。
女性の服の知識などまったくないユウジには、どうやって脱がすのかも分からなかったのだ。

「……」

そんなユウジに痺れを切らしたのか、ヒトミは自らスカートのホックを外し、ファスナーを下ろしてやった。
それを見て、ユウジはますます、ヒトミは自分に服従していると思った。
いつも冷やかに見ているネットの記事に、今日ほど感謝したことはない。
感動すら覚えながらスカートを下ろすと、パンティストッキングに包まれたヒトミの下半身が目の前に現れた。

扇情的な脚のラインは、ストッキングによってその形を強調され、しおらしく折り曲げられている。
さらにパンストのセンターに入った縫い目は、男にとっては股間の割れ目を連想させ、パンティに食い込んでいる様子が無性にいやらしい。
ユウジは、とてつもなく高価な宝石や美術品を目の当たりにしたように、ヒトミの下半身に見入ってしまった。

「私とやりたいの…?」

突然、時間が止まったかのように動かなくなったユウジに、ヒトミは声をかけた。
ユウジはハッと我に返り、大きくうなずいた。

「そ、そうだ! お前を…俺の…俺の…」

ヒトミを服従させるようなセリフを準備していたはずが、頭の中が真っ白になってしまった。
ヒトミは不思議なほど冷静な表情で、顔を真っ赤にして興奮しているユウジを見ていた。

「いいわ…。アナタも脱いで…」

ユウジはこの言葉に、雷に打たれたように体を震わせた。
無言のままうなずくと、すぐにジャージのズボンに手をかけて一気にずり下ろした。
トランクスの下では、すでにイチモツが限界まで膨張し切っている。

「すごい…。興奮してるのね」

ヒトミは体を起こして、大きくテントを張っている股間に顔を近づけると、そっと、天を突きさす肉棒に手をかけた。

「はあうっ!」

ユウジは思わず声を上げた。
トランクスの布ごしとはいえ、女性に性器を触られたことなど初めてで、今にも射精しそうだった。

「フフフ…」

ヒトミは小さく笑いながら、左手をゆっくりと動かし始めた。
例えようのない快感が、ユウジの下半身を溶かしていく。
ほんの何擦りかしただけで、ユウジの尻の筋肉は、射精を我慢するように緊張し始めた。

「ハア…ハア…」

全身を弓のように反らして、目を閉じ、今にも射精するかと思った時、ヒトミの右手が素早く動いた。

「ふぎゃあぁっ!」

突然、握りしめられた金玉の痛みに、ユウジは思わず叫んだ。
ヒトミの右手はユウジの金玉袋を掴み、爪を立てて、下に向けて引っ張るように握りしめたのである。
射精寸前で、尿道まで上がるかと思われていた精液は急速に戻ってしまった。さらにヒトミは、左手で勃起したイチモツをへし折らんばかりに捻っている。

「ぎゃあぁぁ!!」

快感の絶頂から突然突き落とされた地獄の苦しみに、ユウジは泣き叫ぶしかできなかった。

「うるさい!」

ヒトミの右手には、渾身の力が込められていた。
美しく手入れされた爪が、金玉袋を突き破らんばかりに食い込んでいる。

「この変態野郎っ!!」

ヒトミはあるいは、本気でユウジの金玉を潰すつもりで握りしめているようだった。
やがてユウジの呼吸が小さくなり、口から泡を吹いて痙攣しだすと、限界ぎりぎりまで変形した二つの睾丸を、ようやく解放してやった。

「ひっ…ひ…」

ユウジは無言のまま、ドサリとベッドに倒れ込んだ。両手で金玉をおさえ、昨日と同じような体勢でうずくまってしまう。
ヒトミは、ずり下ろされたスカートを無表情に履き直し、シャツのボタンをとめると、ベッドから立ち上がって洗面所に向かった。
やがて水が流れる音がして、ヒトミが手を洗っている様子が分かった。
その間も、ユウジはただ、とめどなく押し寄せる痛みに体を震わせることしかできないでいる。

「ふう…」

洗面所から出てきたヒトミは、小さくため息をついて、部屋の中を見回した。

「カメラ。しかけてるはずよね? どこにあるの?」

尋ねたが、ユウジは答えるどころではない。
ヒトミもあまり期待していない様子で、部屋の中を勝手に探し回った。
やがて、フィギュアが並んでいる棚の奥に、ビデオカメラのレンズらしいものを見つけた。

「あった」

ガラクタを押しのけるようにしてフィギュアをなぎ倒し、小型のビデオカメラを取り出した。

「私をレイプして、言うことを聞かせる。ビデオを撮って、ばら撒くと脅す。気持ち悪いオタクの考えそうなことだわ」

ヒトミはつぶやきながら、ビデオカメラの映像を確認していた。

「せっかくだから、これは私が使わせもらうわね。これを警察に持ち込めばどうなるか。そういうことまで考えたの? バカね」

ヒトミがビデオカメラを置くと、ユウジもようやく少し回復したようで、汗でびっしょりになった顔を上げた。

「まあでも。このマンションから犯罪者が出たりしたら、こっちも迷惑するのよね。これは最終手段として、やっぱりアナタには自発的に出ていってもらうのがベストかしら」

恐怖と混乱に満ちたユウジの顔を見つめながら、つぶやいた。
その冷静すぎる態度が、さらにユウジの恐怖を煽った。

「あの…す、すいませんでした…。つい、出来心で…」

股間をおさえてうずくまりながら、謝罪した。
こうなってしまえば、圧倒的に不利なのは自分の方だと悟ったのだ。
ユウジが自ら立てたこの計画自体、彼自身を陥れる以外の何者でもなかったのだが、昨日、ヒトミに痛めつけられて以来、怒りでそれに気がつかなかったのだ。
今、金玉の激しい痛みが彼を冷静にさせ、自分の置かれた状況を分からせたのである。




「出来心ね…」

ヒトミはしかし、表情を崩さず、ポケットから白い手袋を取り出して両手につけた。
そしてうずくまっているユウジに歩み寄ると、その鼻面に、思い切りビンタを入れた。

「ひゃっ!」

女の子のような声を上げて、ユウジはのけぞった。
巨体がベッドを揺らし、足を大きく広げて、股間をさらしてしまう。
ヒトミは先ほど痛めつけた金玉を、トランクスの薄い布ごしに再び握りしめた。

「昨日、言ったわね? 一生後悔させてあげるって。聞いてなかったのかしら? それとも、私の言葉が理解できないくらいバカなのかしら? どっちなの?」

「ぎゃあぁ!」

再び男の最大の痛みに襲われたユウジは、身も世もなく叫んだ。

「ねえ、どっちなの?」

答えを要求するかのように、ヒトミはさらに強くユウジの金玉を握りしめた。
ユウジはたまらず、叫ぶようにして答えた。

「バ、バカでした! ボクがバカでした。ごめんなさい! ごめんなさい!」

「そう。バカなの。だったらもう、しょうがないわね。バカには体で分からせないと」

囁くように、ヒトミは言った。
ユウジは背中に冷たい汗が流れるのが分かった。
今、自分の命の次に大切な金玉が、彼女の手の中にしっかりと握られていて、その生殺与奪まで彼女に握られていると思うと、心の底から恐ろしくなってきたのだ。

「立って、奥田さん。ゆっくりでいいから。ほら。少し緩めてあげるから」

言葉通り、少しだけヒトミの手が緩んだが、ユウジの体はまだとても立ち上がれるほどではなかった。
でっぷりと突き出た腹を揺らして深呼吸していると、ヒトミは痺れを切らしたように叫んだ。

「立て! この変態!」

「ぎゃああ!! はいぃ!」

白い手袋が金玉袋に食い込み、それを引っこ抜くようにして持ち上げると、ユウジの巨体がようやく立ち上がった。

「そう。立てるじゃない。まったく、大げさなんだから」

ヒトミは呆れ顔でそう言ったが、ユウジにしてみれば、必死の思いで力を振り絞ったのだった。
男にとって金玉がどういう器官で、それを握られるとどういう痛みがあるのか。まったく理解できないヒトミだからこそ、ここまで乱暴なことができるのだろう。
今、ユウジは膝から力が抜けて崩れ落ちそうになるのを、とめどない痛みの中で必死にこらえているのだった。

「少し、話をしましょうか。ねえ、奥田さん。あなたこの部屋で、いつも何してるの? 学校にも行かないで。アルバイトもしてないんでしょう? 何をしてるのかしら?」

金玉を握る手は決して緩めようとせず、ヒトミは話しかけた。
彼女の手が、マッサージのように金玉を揉みしだくたび、ユウジは呼吸が止まる思いだった。

「いつもは…ゲームとか…テレビとか、見てます…ウッ!」

「そう…。じゃあ、この気持ち悪い人形たちは、何のために置いてあるの? これ全部、アナタが買ったの?」

「こ、これは別に…。気持ち悪くなんか…あうっ!!」

ヒトミは棚に並べてあるフィギュアの一つを手に取った。
改めてよく見てみると、そのフィギュアは全裸の女の子で、細部まで細かく作り込んであるらしかった。

「ヤダ…。この人形、こんなところまで作ってあるの…? ホント、気持ち悪いわね」

そのフィギュアは足を大きく広げた挑発的なポーズをとっており、その豊満な乳房にはピンク色の乳首が、その股間には、女性器の形が緻密に再現してあるようだった。

「これを見て、何してるの? これでオナニーしてるの?」

聞かれたユウジが恥ずかしくなるくらい、ハッキリと尋ねた。

「いや…。は、はい…。その…たまに…ですけど…」

「そうよね。こんなに可愛くて、エッチなポーズしてたら、興奮しちゃうわよねえ。こんなのを毎日見てたら、私の裸なんかじゃ興奮しないんじゃないかしら? ねえ、どうなの?」

いたぶるような口調だった。
ユウジは恐怖と痛みに震えながらも、先ほど目に焼きついたヒトミの下半身を思い出していた。

「あ…いや…それは…ぎゃあぁっ!!」

不意に、ヒトミが強烈な力でユウジの金玉を捻り上げ始めた。
ユウジの体からは痛み以外の感覚がなくなり、膝から崩れ落ちそうになる。

「バカじゃないの? 今、想像したでしょ、私の裸を? 想像してんじゃないわよ! さっき見た私の下着のことも、すぐ忘れなさい。今すぐ!」

ユウジは床に倒れ込みたかったが、ヒトミが金玉袋を放さない限り、それはできなかった。

「わ、忘れます! すいません! 忘れますから!」

ユウジは必死に叫んだ。
事実、痛みで頭が真っ白になってしまっている。
ヒトミは少しだけ、手を緩めてやった。

「まったく。アナタみたいな変態のオナニーのネタにされてるかと思うと、気持ち悪くなるわ。アナタ、セックスしたことあるの?」

「い、いえ…」

「そうよねえ。スカートの脱がし方も知らないんだから、そうだと思った…」

言いながら、ヒトミはさらにユウジの金玉を握る手を緩めてやった。

「ねえ、週にどれくらい、オナニーしてるの? いつもお人形さんを見ながらやってるの? それとも、ビデオとか?」

やがてその手はリズミカルに、金玉袋を揉み始めた。
ユウジの下腹部にはまだ重苦しい痛みが残っていたが、それはそれとして、掌の上で金玉を転がすような指先の動きには、心地よさを感じてしまった。

「え…と…。週に2回くらい…です」

「週に2回? ホントに? アナタみたいな変態は、毎日してるんじゃないの? 学校にも行かない、彼女もいないんじゃ、頭の中でいやらしいこと考えるのだけが楽しみなのよね? そうでしょ?」

「は、は…い…」

いたぶるような言い様だったが、ほとんど事実なので、ユウジには否定することはできなかった。
男としてのプライドよりも今は、睾丸をマッサージされる快感に身を委ねたかった。

「だからね。その奥田さんの唯一の楽しみを…私が奪い取ってあげるわ!」

ヒトミの手に、先ほど以上の圧力がかかり始めた。
今まで快感に身をよじっていたユウジは、突然の激痛に叫び声を上げる間もなく、息を詰まらせてしまう。

「あ…はぁぁっ!!」

もはや立っていることはかなわず、ユウジの意思とは無関係にその膝は折りたたまれてしまった。
しかしヒトミの手は一切緩むことなく、座り込んでしまったユウジの金玉を、ますます強く握りしめている。

「奥田さんはいやらしいことばかりしてるから、この部屋に居座り続けるんでしょ? だったらこの金玉を潰して、二度とオナニーできなくなればいいのよ。アナタみたいな人は、それでちょっとはマトモな人間になれるかもよ?」

ミサトはほほ笑みながら言うが、その手には万力のような力が込められ、本当にユウジの金玉を潰そうとする勢いだった。
ユウジは思わずヒトミの手を掴んだが、全身の感覚は強烈な痛みに支配され、まるで力が入らない。

「あがぁああ…!! は、離して…。離してください…」

絞り出すようにしか、声を出すことができなかった。
股間から発せられる痛みは、すでにユウジの呼吸器官にまで影響し、胃の奥から吐き気さえこみ上げてきているのだ。
涙と鼻水を流しながら懇願するその姿に、ヒトミはさすがに少し笑ってしまった。

「大丈夫よ。もうすぐ終わるから。犬だって、去勢すればおとなしくなるでしょ? 奥田さんも、明日にはさっぱりした気分で引越しができるはずよ」

ヒトミの笑顔は、ユウジにとってこの上ない恐怖だった。
金玉がどれだけ痛いのかさえ分かってもらえれば、手を離してくれるはずだと思ったが、この名状しがたい苦痛をどうやって女性であるヒトミに伝えればいいのか。昏倒する寸前のユウジの頭では分からなかった。

「ひっ…引っ越します…! ここから出ていきますから…。ゆ、許してください!」

ピクリと、ヒトミが反応した。
その手に込められた力が、わずかに緩んだ。

「あ、そう。アナタの方からそう言ってもらえると、助かるわ。でも、いつ引っ越してもらえるのかしら?」

ユウジはここでヒトミの機嫌を損ねてはなるまいと、必死に考えた。

「あ…はぁ…。こ、今週中には…ぎゃあっ!!」

「今週中? 今日はまだ火曜日よ、奥田さん。私は昨日、明日までに出て行けって言ったわよね? アナタはその約束も守ってないのよ。それはちょっとおかしいんじゃないかしら? ねえ?」

「はい。はい…その通りです! あ、明日までに出て行きます。出て行きますから…!」

問いかけるたびに、ユウジの睾丸はヒトミの手の中で無残に変形した。
ユウジは悲鳴を上げながら必死に許しを乞うたが、ヒトミは手を緩めることなく、さらに言った。

「あ、そう。明日? 無理しないでいいのよ。だって、そんなに急に引越しされたら、契約違反っていうことで、敷金と礼金を返せなくなるもの。合わせて20万円くらいかしら。それでもいいの?」

言葉とは裏腹に、ヒトミの手の圧力はじわじわと強くなっていく。
ひとつ答えを間違えれば、本当に金玉を潰されかねないとユウジは感じた。

「い、いいです! それはいいですから…!」

「本当に? 敷金と礼金は返さなくていいの? それじゃ何か悪いわね」

そう言いながら、ヒトミは笑っていた。

「そうだ。敷金の10万円だけ返すから、その代わりに奥田さんのコレを、一つ潰させてもらうっていうのは、どう?」

睾丸の一つに親指の爪を食いませると、ユウジの下半身には火がついたような痛みが走った。
これ以上力をこめれば、すぐにでもユウジの金玉は破裂してしまいそうだった。

「ぎゃあぁっ!! い、いいです! いいですから!! 離してください!」

喉が枯れんばかりの叫び声を上げるユウジを見て、ヒトミは楽しそうに笑う。

「あ、そう? 遠慮しなくていいのよ? ちょっと我慢すれば、10万円も貰えるのに。そうそう。それから、アナタがさっき汚い手で触ったこのスーツね。もう着たくないから、家に帰ったらすぐ捨てるつもりなんだけど…。どうしようかしら?」

「べ、弁償します! 弁償させてください! お願いします!」

「そう? 何か悪いわね。催促したみたいで」

「ああぁっ!!」

ニコニコと笑うヒトミに対して、ユウジの意識は今にも飛んで行ってしまいそうだった。
あるいはその方がユウジにとっては幸せだったかもしれないが、ヒトミは気絶すら許さないとでも言うように、リズミカルに揉みこむようにして、睾丸を握りしめているのだった。

「じゃあ明日、書類を持ってきますから、印鑑とお金を準備しておいてね」

涙を流しながら、必死にうなずいた。
ヒトミはそれを見て満足そうに笑うと、ようやくユウジの股間から手を離してやった。
ユウジはすぐさま股間を両手でおさえて、自分の金玉の無事を確認する。解放されたとはいっても、これから数時間は、この重苦しい痛みと闘わなければいけないのだ。

「奥田さんって、意外といい人だったのね。助かるわ。でももし、明日引越しができなかったら…」

うずくまるユウジの耳元に口を近づけて、囁くように言った。

「今度こそ、本当に潰すからね」

その声は冷たく、有無を言わせぬ迫力があり、すでに抵抗する気力を失っているユウジの脳内に、重く響くものだった。
「はい…」と、ユウジはか細い声で、うなずくことしかできなかった。

「じゃあ、よろしく」

ヒトミは一仕事終えたように揚々と立ち上がると、両手にはめていた白い手袋を外して、ユウジの頭の上に投げ捨てた。
ユウジは何も言うことができず、動くことさえできなかった。
やがてヒトミが部屋を出て行くのを確認すると、床に突っ伏して、シクシクと泣き始めるのだった。


終わり。


ある日の放課後。
高校2年生の久野カズシは、図書室から出てきたところを呼び止められた。
呼び止めたのは、同じクラスにいる女子生徒の原田エリカだった。

「おい久野、ちょっと来てよ」

カズシは彼女と同じクラスとはいえ、ほとんど話したことがなかった。
しかし気の弱いカズシは、クラスでも問題児とみなされているエリカにそう言われると、断ることができなかった。

「な、何? 原田さん?」

歩きながらそう訪ねても、エリカは返事さえしなかった。ただ不機嫌そうな顔をしながら、ガムを噛んでいる。
真面目でおとなしいカズシに比べて、エリカはまさしく問題児だった。
いつもだらしなく制服を着崩して、スカートはこれ以上ないくらい短くしている。その上ルックスは、モデルかと思うほどに整っていて、実際何かのファッション雑誌に出演したこともあるという噂もあった。

エリカの行先は、二人のクラスである2年2組の教室だった。
そこにはすでにクラスメイトの影はなかったが、エリカといつも一緒にいる女子二人が待ち構えていた。

「お待たせー。連れてきたよ」

「遅いし。超待ったから」

「それがさっき話してたヤツ? へー」

エリカと親しげに言葉を交わすのは、川上アイコと野口イズミだった。
二人はクラスは違ったが、いつもエリカと一緒に行動していて、エリカと同じように制服を着崩し、校則違反のピアスやハデなネイルをしていた。
もちろん、普段カズシと接触することは全くと言っていいほどない。
そんな彼女たちに呼び出され、誰もいない教室で取り囲まれると、気の弱いカズシは不安でいっぱいになってしまった。

「は、原田さん…?」

伺うようにしてエリカの顔を見る。カズシは小柄な方で、二人の身長差はほとんどなかった。

「お前さ。今日の授業中、勃起してたろ? 数学の時」

「え?」

カズシは一瞬、何を言われたかと戸惑った。しかし女の子たちは、弁解の暇を与えずに畳みかけてくる。

「アタシさ、コイツの斜め後ろの席だから、ばっちり見えたんだよね。コイツが必死にチンコいじって、隠そうとしてんのが」

「マジで? 授業中に勃起するとか、超ヘンタイじゃん」

「数学っていったらさあ、ユキエちゃんの授業じゃない? うわあ。先生見て興奮しちゃってるんだあ。最悪―」

女の子たちの口の速さに、カズシがついて行けるはずがない。
次々とまくし立てる言葉を否定したかったが、一方でそれらは大部分が事実だった。

「そ、そんな…。そんなことない…! うっ!」

さすがに大きな声を出そうとしたときに、カズシの呼吸が止まった。
エリカが着用している、超ミニのプリーツスカート。それと紺色のハイソックスのちょうど中間にある、白くて細い膝が、カズシの股間に突き刺さったのだ。

「あっ! ぐぅ…」

数瞬遅れてやってきた、下半身からの重苦しい痛みに、カズシは背中を丸めてうめいた。
それは、ほんの軽く叩き上げる程度の膝蹴りだったが、男を黙らせるにはそれで十分だった。

「うざいんだよ。もう、バレてんだって。男なら言い訳すんな!」

エリカは冷たく言い放った。

「あーあ。キンタマ蹴られちゃった。痛そー。キャハハ!」

うつむき、苦悶の表情を見せるカズシの顔を覗き込んで、アイコが面白そうに笑った。
童顔で、コケティッシュな雰囲気のアイコだったが、その口からはためらうことなくキンタマという単語が出てきた。

「さっきも話したんだけどさ、女の先生見て勃起するヘンタイとかがクラスにいたら、女子はみんな迷惑すると思うんだよね。ていうか、気持ち悪い」

エリカが言うと、アイコとイズミは大きくうなずいた。

「そうだねー」

「ユキエちゃん、ネタにされてるんだろうなあ。かわいそー」

「だからさ。お前みたいなイカ臭いヘンタイは、ウチらのクラスにいらないから。今からお前のキンタマぶっ潰してやるよ」

重苦しい痛みにじっと耐えていたカズシだったが、この言葉にはさすがに耳を疑った。

「え!? そ、それは…何言って…」

「はーい。じゃあ、始めましょー」

「痛かったら、言ってくださいねー。キャハハ!」

戸惑うカズシにかまわず、女の子たちは打ち合わせていたかのように、カズシの両腕を掴んだ。
カズシは抵抗しようとしたが、股間の痛みはまだ下半身に強く残っており、思い切った力が入らなかった。
そこへさらに、エリカがカズシの股間を鷲掴みにしたのである。

「うっ! あああ…」

エリカの右手は、遠慮なしにカズシの睾丸を締め付け始めた。
蹴られた時とはまた違った痛みが、ジワリジワリとカズシの下半身を襲い始める。

「キンタマ潰せば、もうチンコいじんなくてすむだろ。ヘンタイ君?」

「あー、エリカ。アタシにもやらせて」

「アタシも。やってみたい」

女の子たちは楽しそうに、それでいて無慈悲に、カズシの最大の急所を潰してしまおうとしていた。
カズシは痛みにと恐怖に震えながら、必死に叫んだ。

「ご、ごめんなさい! もうしませんから! 授業中に…勃起しませんから!」

「はあ? 何それ? キンタマ潰すなってこと?」

「はい! はい! すいません。絶対、もうしませんから。だから…。あうぅ!!」

カズシが必死に謝る間も、エリカは金玉を握る手を緩めなかった。
彼女にとってはまだまだ本気で握っているわけではなかったが、それでもカズシの二つの睾丸にとっては、かなりの圧力だった。

「マジで? …どうしよっか?」

「えー。マジで。信じらんない」

「男子が勃起しないとか、絶対ウソでしょ。ウチの彼氏とか、デートのときはずっと大きくしてるよ。キャハハ!」

エリカは本気で考えているようだった。その間も、カズシは必死に謝り続けている。
すると、エリカは突然、カズシの股間から手を離してやった。

「分かった。じゃあ、お前のことテストしてやるよ。アタシらを見て、勃起しなかったら、許してやる。でももし勃起したら、その時はマジでキンタマ潰すから。それでいいでしょ?」

金玉を締め付ける圧力から解放されたカズシは、肩で息をしていた。
エリカが提示した条件は、正直すぐに理解できなかったが、彼にはそれを断る選択肢はなかった。

「えー? 何それ? テストってどういうこと?」

「だからさ。ユキエちゃんで興奮するのは、まあしょうがないじゃん。ユキエちゃん、超美人だし。スタイルいいし。けど、アタシたちを見ても興奮するっていうなら、それはマジでヘンタイだから。キモイから。それをテストしてやるってこと」

「ふーん。まあ、いいけどね」

アイコとイズミがうなずいたように、カズシにもようやく状況が呑み込めた。

「じゃあ、お前、チンコ出して。見ててやるから」

「え?」

「チンコ出せって言ってんだろ! 勃ってるかどうか、わかんないじゃん。早くしろよ!」

「あ、ああ…はい…」

脅されるようにして、カズシはズボンのチャックに手をかけて、降ろした。
股間をまさぐっていると、再びエリカの怒声が飛んだ。

「めんどくさいな! ズボンとパンツ脱げよ。よく見えないだろ!」

「は、はい…」

力なくうなずいて、カズシはズボンとトランクスを一気にずりおろしてしまった。
クラスメイトに下半身を晒すなど、死ぬほど恥ずかしかったが、それでも金玉を潰されるかもしれないという恐怖には敵わなかった。
トランクスの下から、縮み上がったカズシのペニスと金玉袋が顔を出した。

「わー。チンチンだ、チンチンだ。キャハハ!」

「皮被ってんじゃん。情けなー」

女の子たちは口々に笑い、エリカもそれを見て、鼻で笑った。

「男のチンコって、汚いよなあ。キモイ。よくこんなのぶら下げるよな」

「それで? どうすんの、エリカ?」

「そうだね。とりあえず…」

エリカが言いかけた時、一番はしゃいでいたアイコが、突然カズシの金玉を足の甲で蹴り上げた。

「えい!」

「うえっ!」

無防備に突っ立っていたカズシは、もろに金蹴りをくらってしまう。
幸い、小柄なアイコの蹴りはそれほど強いものではなかったが、それでもカズシが背中を丸めるには十分だった。

「あーん。キンタマ、痛い、痛い。キャハハ!」

両手で股間をおさえるカズシの真似をして、アイコも自分のスカートの股間をおさえてみせた。

「ちょっと、アイコ。何やってんの?」

「え? あ、ゴメンゴメン。なんかブラブラして、蹴りやすそうだったから、つい。ごめんねー?」

はしゃぐアイコとは逆に、カズシの下半身には痺れるような鈍痛が広がって、今すぐにでも座りこんでしまいたかった。
しかし、それはエリカが許してくれそうにもないので、脂汗を流しながら、必死に耐えている。

「ったく。…まあでも、それいいかもね。コイツが勃起したら、キンタマ蹴り上げてやればいいんじゃない?」

「あー、いいね、それ。面白そう。やろうやろう」

カズシにとっての地獄は、どうやらこれからだった。




エリカの言う「テスト」が始まって数分。
カズシは自分の男としての本能をおさえるのに、精いっぱい神経を集中していた。エリカたちはただ、机に座ってカズシの様子を眺めているだけである。
しかし、女の子たちの視線が自分の下半身に集まっているという感覚が、これほど厄介なものだとは思わなかった。
しかも相手は、問題児ではあるがクラスでも飛び切りの美人で、スタイルも良く、机の上で足を組み換えるたびに、その短すぎるスカートから下着が見えてしまいそうだったのだ。

「おい、なに目瞑ってんだよ。開けろよ」

ちょっとでも目をそらしたり瞑ろうとしたりすると、注意される。
エリカが決めた「テスト」の制限時間は15分だった。
その間、カズシは真面目なことだけを考え続けていようと誓った。

「数学のユキエちゃんさあ。超美人じゃん。アンタ、年上が好きなの?」

女の子たちは、どうやらじわじわとカズシをいたぶるつもりらしかった。
男の性欲の象徴であり、最大の急所でもある性器を支配することは、男そのものを支配するような感覚があるのかもしれない。

「あ…いや…そういうわけじゃ…」

数学教師の村田ユキエは、教師になってまだ2年目という新人だったが、その大人の色気に溢れた外見が男子生徒たちに人気だった。
単なるタイトスカートやパンツスーツでも、着る人が着ればこんなにいやらしくなるという見本のようだった。

「ユキエちゃん、キレイだもんねー。ていうか、エロい?」

「そうそう。胸も大きいしねー。いつもユキエちゃんでシコシコしてるんだ?」

「そ、そんなことは…」

図星を指されたようで、カズシは焦った。
いつもというわけではないが、ユキエでオナニーしたことは一度や二度ではない。しかしそれを思い出すと、カズシのペニスは反応してしまいそうになるのだった。

「あれ? チンコ勃ってない?」

「ん? そうかな。小っちゃくてわかんないね。でも、とりあえず蹴っとこう。軽くね。えい!」

カズシのペニスが、少し膨らんだように見えた。
ちょっとでも勃起すれば、金玉を蹴られるというルールになっていたので、アイコは有無を言わせずカズシの股間を蹴り上げた。

「はうっ!」

ほんの軽い蹴りだったが、カズシは手で股間をおさえてしまう。

「おい、隠すなよな。見えないだろ」

「言っとくけど、お前が倒れたら、それでテストは終了だからね。その時はキンタマ潰すから」

あまりにも無慈悲な女の子たちの言葉に、カズシは戦慄する思いだったが、とにかく痛みに歯を食いしばって、体を起こすしかなかった。

「そうそう。頑張って。キャハハ!」

アイコの無邪気そうな笑いが、何よりも恨めしかった。

「お前さ、女の子のパンチラとか好きなの? さっきからアタシのスカートの中覗いてるけど」

エリカの言葉に、カズシはギクッとした。
見ないようにはしていたが、目をそらすと怒られてしまう。
視界の中に、あんなにも短い女子高生のスカートがあれば、目が行ってしまうのが男の本能だった。

「あー、男子って好きだよねー。パンチラ」

「なんでパンツなんかで興奮するんだろうね」

すると、イズミが立ち上がって、カズシの目の前にきた。

「興奮すんの? 女子のパンチラ見て?」

カズシは必死に首を横に振った。
イズミもエリカに負けず、なかなかの美人だった。エリカよりも長身で、キレイ系が好みの男子なら、むしろエリカより評価は高いかもしれない。
普段、短いスカートで長い脚を晒して歩いている姿に、多くの男子生徒たちは密かに興奮してるのだ。それを思い出すと、カズシのペニスは反応してしまいそうだった。

「じゃあ、パンチラとオッパイと、どっちが好きなの?」

答えようがない質問だったが、答えないわけにもいかなかった。

「その…オッパイの方が…」

「ふうん。じゃあ、見てみる? アタシのオッパイ」

イズミはおもむろに、上着のカーディガンとブラウスの襟を広げた。
ちょうどカズシの鼻先に、ツンと盛り上がった形の良い胸の谷間が見えそうになった。

「あ…」

思わず覗き込もうとすると、ズン、と重たい衝撃が股間に走った。

「ぐえっ!」

イズミの膝が、カズシの股間を打ち抜いたのである。

「見てんじゃねえよ、ヘンタイ!」

さっと胸を隠して、イズミは背を向けた。

「うぐぐ…」

金玉の痛みは、小さなものでも長く下半身にとどまり続ける。
先程からいたぶられ続けているカズシの金玉には、相当な量のダメージが残っており、それがジンジンと腰に響いていた。そこへまた、強烈な膝蹴りをくらったのである。
倒れてしまわないように、カズシは近くにあった机に手をつくしかなかった。

「あー。痛そー。チンチンもしぼんじゃったねー」

「今のは、半勃ちくらいまでいってたね。もう潰しちゃっていいんじゃない?」

「うーん。まあ、ガチガチに勃起したら、潰すって言っちゃったから。とりあえず、様子見ようかなあ」

女の子たちは、明らかに楽しんでいた。
そもそもカズシが授業中に勃起したことも、恥ずかしいことだが、彼女たちに責められる筋合いはないはずだった。
それがなぜ、こんなことになってしまっているのか。カズシにはいくら考えても分からなかった。

「そっかあ。オッパイは好きだけど、パンチラはあんまりなんだあ。じゃあ、こういうのもダメかな?」

アイコが立ち上がって、クルリと振り向いた。
そしてそのまま前屈するように前かがみになると、アイコの短いスカートの中は丸見えになってしまう。

「あ…」

アイコは学校指定の黒いタイツを履いていたのだが、タイツの奥に透ける白いパンティーは、むしろ生のパンティーよりもエロティックだった。

「お、勃ってきた!」

「え? ホント? なんだ。パンチラも好きなんじゃん。ほらほら。女子高生のパンティーだよー。触ってみるー?」

アイコは後ろ向きのまま、おどけるように腰を振って、カズシに近づいてきた。
カズシの股間はまだ痛み、まっすぐには立てない状況だったが、それはそれとして、アイコのお尻からは目が離せない。

「えい!」

本当に手が届きそうなところまで迫ってきたとき、アイコの右足が後ろに跳ね上げられた。
堅い踵が、カズシの股間をひしゃげさせる。

「うぐっ!!」

カズシが最初に感じたのは、痛みではなくアイコの黒タイツのザラッとした感触だった。
その後で、大きな波紋が広がるようにして、痛みが体中に伝わってくるのである。

「あぁうう…!!」

ハンマーで腰骨を叩かれるような鈍痛。しかしカズシは股間をおさえることも、座り込むこともできず、机を抱えるようにして、足踏みを繰り返した。

「後ろ回し蹴り! 決まったぁ! カッコいい? キャハハ!」

アイコがはしゃぐ間も、カズシの鈍痛はますます彼の体力を奪っていった。
もはや立っていることさえ辛く、体中から冷たい汗が流れ始めていた。

「今のも、半勃ちくらいだったね。やっぱりヘンタイだよ、コイツ」

「そうだね。これはもう、確定だね」

真打登場というように、いよいよエリカが立ち上がった。

「ハア…ハア…。あの…もう、ホントに…」

憐れみを乞うように、カズシはエリカの顔を見上げた。
しかしエリカは、そんなカズシの顔を見ると、むしろますます苛めてやりたくなるようだった。

「何? もうやめてくださいって? どうしようかなあ。ほら!」

言いながら、カズシの股間を軽く蹴り上げた。
ほんのかする程度の蹴りだったが、すでにカズシの睾丸は、ちょっとしたダメージすら許容できなくなってしまっている。

「はうっ!」

思わず、股間を両手でおさえて丸まってしまう。
強烈な痛みに、脂汗を流し、歯を食いしばって痛みに耐えるしかない。
ふと見上げると、そんな自分の姿を、女の子たちが面白そうに見つめていた。

「あーん。キンタマ、いたーい! アハハハ!」

女の子たちは、カズシと同じように股間を両手でおさえ、内股になり、声をそろえて笑った。
それは、急所である金玉を持たない女の子たちが、男に対して最も優越感を感じる瞬間だったかもしれない。
逆にカズシの方は、自分が今味わっている痛みや苦しみを決して味わうことのない女の子という存在に、心から羨望を感じざるを得なかった。

「ったく、男ってホントに情けないね。ちょっとキンタマ蹴られたくらいでさ」

「そうだねー。アタシ、女に生まれて良かった―。絶対ヤダもん、キンタマとか。邪魔じゃない?」

笑い転げた女の子たちは、目に涙さえ浮かべていた。

「アハハハ! あー、ウケた。面白かったあ」

エリカも、先程までの冷たい表情が消えて、若干顔が明るくなったように見えた。

「スッキリしたんじゃない? 良かったね」

「ホント。まあ、なんかありがとね。実はさ、昨日彼氏と別れて。なんかイライラしてたんだよね。浮気されたからさ。男とか、マジでありえないと思ってたから」

「そんな時にエロい男見たら、そりゃあイラつくよねえ」

「そうそう。でもなんか、コイツの情けないトコ見て、スッキリしたかも。男ってバカだね。みんな、エロくてバカ。ハハハ」

エリカたちは、何やら納得したように話していたが、それがもし事実だとしたら、カズシにとってはとんだとばっちりだった。
そんなことで、自分は金玉を潰すと脅され、弄ばれるようなテストをさせられて、トラウマになりそうな痛みを与えらえているのだ。
それを思うと、カズシにも怒りが込み上げてきたが、ここで終わってもらえれば、それに越したことはない。ヘタな抵抗はしない方がいいと、カズシは思った。

「じゃあ、もうそろそろ時間だね。最後にアタシがやってあげるよ」

そう言うと、エリカはおもむろにカーディガンのボタンを外し、さらにブラウスのボタンまで外し始めた。
ベージュのブラジャーに包まれた、豊満な乳房が露わになる。

「おー。エリカ、やっぱ胸大きいねー」

「マジで? ユキエちゃんほどじゃないけどね。ほら。大好きなオッパイだよ? 触りたい? 触ってみる?」

エリカ自らの手で下から持ち上げると、乳房は柔らかそうに揺れた。
痛みに喘いでいたカズシだったが、その様子から目をそらすことはできなかった。

「あ、勃ってきた。早いなあ。もう半勃ちくらい」

アイコがしゃがみこんで、カズシのペニスを指さす。

「ふーん。でもまだ半勃ちか。じゃあ、こういうのはどう?」

エリカは胸をしまうことなく、スカートの中の下着に両手をかけた。
何をするかとカズシが見ていると、なんとそのまま、下着を降ろし始めてしまった。

「ほら。アタシのパンティー。欲しい? 匂い嗅いでみる?」

たった今脱いだばかりのベージュ色の下着を、カズシの目の前でブラブラと振って見せた。

「やだあ。匂い嗅ぐとか、ヘンタイじゃん」

「いいじゃん、コイツ、ヘンタイなんだから。嗅ぎたいでしょ?」

「あ…いや…その…」

さすがにためらいがちに目を伏せると、なんとエリカが自ら、カズシの頭に自分の下着を被せてしまった。

「あっ! ん…」

鼻を突き抜ける、ほのかな汗の匂い。額にはかすかな温かみを感じた。

「はーい。ヘンタイの出来上がりー! アハハハ!」

下半身を露出して、女子高生の下着を頭にかぶったその状態は、言い逃れようのない変態の姿だった。

「キャハハハ! マジでヘンタイだね。写メろう、写メろう」

「あ、アタシも」

女の子たちが携帯を構えだすと、カズシはハッと我に返って、下着を頭からとろうとしたが、エリカの手がそれを制した。
さらにエリカは、カズシの耳元で囁く。

「アタシ、今ノーパンだよ。お前のガチガチのチンコ見て、濡れちゃってるかも。それも見せてあげようか?」

気がつくと、カズシのペニスは天を突き刺すように勃起していた。
カズシはそれが何を意味するか理解したが、目の前にぶらさげられた餌を見逃すことはできなかった。

「は、はい…」

とめどない痛みと激しい興奮を同時に味わい、カズシの頭はもうパニック状態だった。
エリカは小さく笑うと、そのスカートにそっと手をかけた。

「あ…」

いつも目で追っていた、超ミニのスカートの奥、白い太ももの付け根に、ささやかな茂みが見えたかと思った瞬間、カズシの意識は飛んだ。
紺のハイソックスに包まれたエリカの脚が、しなる鞭のようにカズシの股間に突き刺さったのである。

ズゴッと、骨と骨がぶつかるような音がして、カズシの体は一瞬、宙に浮いた。
ザワッとした感覚が背中を突き抜け、それは脳天にまで達する。
痛みと呼ぶにはあまりに大きな苦痛の波が、カズシの全身にくまなく広がってくのが分かった。

「ぎゃうんっ!!」

得体のしれない叫び声を上げて、カズシはそのまま仰向けに倒れてしまった。
もはや股間をおさえようとする意識もなく、カエルがひっくり返ったように股を開いて、ビクビクと痙攣している。
その目は虚ろで、半分白目をむいているようだった。

「おおー! なんか、すごかったね」

「白目むいちゃってるよ。キャハハ!」

「うーん。なんか、手応えあったかも。潰れたかな?」

女の子たちは興味深そうに、しかしどこか面白そうに、痙攣するカズシを見下ろしていた。

「でも、まだ勃ってるよ。これ、気持ちいいってこと?」

「マジで? うわあ。コイツ、ヘンタイだな」

「相当溜まってんのかな。やっぱり、ちょっと懲らしめといて良かったね」

カズシのペニスは、確かにまだ上を向いて、その膨張が静まる気配は無かった。それは興奮によるものではなかっただろうが、どうして勃起し続けているのか、カズシ自身にも理由は分からないだろう。
その時、エリカのポケットで携帯電話が鳴った。

「あ、彼氏だ…」

昨日、別れたという彼氏からの電話をとった。
その様子を、アイコとイズミも興味深そうに見ている。

「もしもし? …うん。今? 学校。…うん、うん。今から? …いいよ。行くよ。…はい。じゃあね」

拗ねたような顔をして、エリカは電話を切った。

「どうしたの? 彼氏? ていうか、元彼?」

小さく笑いながら、アイコが尋ねた。

「うん…。今から、会いたいって。アイツの家で」

「へー。良かったじゃん。より戻すんだ?」

そう言われても、エリカの表情は曇っていた。

「うん…。いや、決めた。今から行って、アイツのキンタマ蹴っ飛ばしてくる」

「え? 彼氏の? いいの?」

「いいよ。今さら呼び出しとか、アタシのことなめすぎでしょ。今のでコツ掴んだから、マジで潰してくるわ」

エリカが決意に満ちた表情をしているので、アイコとイズミは口出しようがなかった。
その間も、カズシは痙攣しながら苦しみ続け、口の端から泡のようなものさえ吐き出してきた。

「じゃあ、アタシたちも帰ろうか。途中まで一緒に行くよ」

「うん。ていうか、見てみたいなあ。キンタマ潰されるところ。家の前まで行っていいでしょ?」

「まあ、それは別にいいけど。じゃあね、久野。お前、もう授業中に勃起とかすんなよ!」

「あ、そうだった。じゃあねー。バイバイ!」

「エリカ、アンタ、パンツいいの?」

「あ、うん。久野にあげるわ。なんか、ちょっと勉強になったし。お礼に」

「それ、いいかもね。匂い嗅いで、いっぱいシコシコしな。じゃあね」

女の子たちは、楽しそうに話しながら教室を出て行った。
カズシが意識を取り戻したのは、下半身丸出しで寝ているところを、戸締りにきた用務員に発見される数時間後のことだった。


終わり。




ある日の夕暮時。
商店街の路地裏で、1人の少女が男と向かい合って、話をしていた。
少女が着ているのは、このあたりでは有名な私立の名門校の制服で、高校生らしかった。
男の方はというと、その服装や過剰なほどに身に着けたシルバーのアクセサリーなどからして、一見してガラの悪い種類の人間だと分かった。

「ねえ、いいじゃん。ちょっと付き合ってくれてもさあ」

「あの、いえ…困ります。私、もう帰らないと…」

少女は長い黒髪を揺らして、しきりに首を横に振っていた。
男は少女が店から出てきたところを待ち構えて、この路地裏に無理矢理誘い込んだのである。

「ねえねえ、名前は? なんていうの?」

男はクチャクチャとガムを噛みながら、まとわりつくようなしゃべり方で尋ねる。
少女はもとより男と話したくなかったが、真面目な性格なのか、つい反射的に答えてしまう。

「あ、本間リコ…です」

「リコちゃんかあ。へー。カワイイ名前だね。俺の名前はね…」

「あの…すいません。私、ホントに帰らないと…」

「えー。いいじゃん。そこで、ちょっとお茶してくだけだからさ。俺、おごるよ。行こうよ」

先程から何度も断っているようだったが、男は聞き入れようとせず、壁際にリコを追い詰めて帰さないのだった。
リコがあたりを見回しても、ここは商店街の片隅で、人通りが少なく、助けを呼べそうもない。

「すいません。また今度…あっ!」

男を押しのけていこうとすると、ガクッと引き戻された。
男はリコの白くて細い手首を、その手に掴んでいたのである。

「もー。リコちゃん。ちょっと話聞いてくれても良くない? あんまり冷たくされると、ショックだなあ。怒ると怖いんだよ、俺?」

男はニヤニヤと笑っていたが、その目の奥には、蛇のようにヌメヌメとした光があった。
リコは改めて男に危険を感じた様子だったが、掴まれた手を振りほどこうとはしなかった。

「あの…じゃあ、もうホントに…しょうがないから…」

「え? 何?」

「あの、携帯電話とか、持ってますか?」

突然、そんなことを尋ねた。上目づかいのその大きな瞳には、何か決意めいたものが感じられる。

「携帯? 当たり前じゃん。なんで? 番号交換しちゃう?」

男は急な展開に顔をほころばせたが、リコの様子はとてもそんな雰囲気には見えなかった。

「じゃあ、あんまりアレだったら、救急車とか呼んでください。…ホントにごめんなさい」

スッと、リコは掴まれていない方の腕で、男の手を掴んだ。二人は両手を取って向かい合う形になる。

「え?」

男が戸惑っていると、次の瞬間。
ズゴッ!
と、鈍い音が下半身から響いてきた。
黒いタイツに包まれたリコの膝が、男の股間に吸い込まれ、その間にある二つの睾丸を跳ね上げ、恥骨に叩きつけたのである。

「はがっ!」

思わず、男は口からガムを吐き出してしまった。
両足の踵が浮いてしまうほどの衝撃の後、リコがその細い脚を股間から抜くと、途端に猛烈な痛みが男を襲った。

「うがぁっ!!」

目の前が真っ暗になり、男は前のめりに崩れ落ちた。
下腹のあたりに、普段の腹痛の何百倍もの痛みが湧いてきた。しかもその痛みは、胃を突き上げるようにして上半身まで広がり、男の呼吸さえ止めてしまうのである。

「あ…はぁっ…!」

軽い呼吸困難になってしまったように、男は咳き込んだ。
口から涎が流れ落ちるが、そんなことを気にする余裕はない。男にできることは、せめて痛みが少しでもまぎれるように、体を細かく震えさせることくらいだった。

「あ…あの、すいません。キレイに入っちゃいました。ごめんなさい」

男がスローモーションのように崩れ落ちる様子を、リコはじっと眺めていたが、やがて申し訳なさそうに頭を下げた。

「あの、痛いですよね? 男の人は、そこはすごく痛いって、私、知ってます…。でも、今日はホントに帰らなくちゃいけなくて。ごめんなさい」

自らの蹴りで、地獄のような苦しみを与えている男に、リコは懸命に謝っていた。

「あ…く、くそったれ…!」

男は苦悶の表情を浮かべながら、悪態をつくことしかできない。

「あ…そうですよね。すごく痛いし、嫌ですよね。じゃあもう…ホントにごめんなさい」

するとリコは、男のそばにしゃがみこんだ。
何をするつもりなのかと、男はリコを目で追う。

「男の人は、そこをやられるとすごく悔しいから、中途半端はダメなんですよね。だから、その…。すいません」

スッと、うずくまっている男の股間の尻の方から、リコはその小さな手を差し入れた。
いまだに猛烈な痛みを発し続けている男の睾丸がそこにはあり、柔らかい膨らみを感じると、リコはそれをいきなり握りしめたのだ。

「あぁぁ!! ぐえぇ!!」

蹴られたばかりの金玉を掴まれた男は、豚のような悲鳴を上げた。

「あ、すいません。でもこれ、ちゃんとしとかないと、後から追いかけられても困っちゃうから…。ごめんなさい。気絶してください」

「ぎゃあぁぁっっ!!」

黒髪のかわいらしい女子高生が、男の金玉を捻り上げて、気絶させようとしている。
それは奇妙で滑稽すぎる光景だったが、当の男にはそんなことを気にする余裕はなかった。
リコの手は正確に、睾丸の一つを握りしめ、ギリギリと押し潰し続けているのである。このままでは去勢されてしまうと、男は本気で思った。

「は、離してくだざい! すいませんでしたっ!! 離じで…ああぁっ!!」

その目からは大粒の涙がこぼれて始めた。苦しみのあまり天を仰ぎ、叫ぶように許しを乞うた。

「え? 離してって言われても…」

リコは少し戸惑ってしまったが、その手は決して緩めなかった。

「潰れちゃう! 潰れちゃうから…ぐあぁっ!」

「あ、潰れると、もっと痛いんですよね? 大丈夫です。潰さないように気をつけますから。ごめんなさい。もうちょっと我慢してください。えい。えい!」

リコは本気で申し訳なさそうに言うと、その手に一層の力を込めた。

「ぎゃあっっ……!!」

断末魔の悲鳴を上げて、男は全身を硬直させた。
そして不意に、男の首がガクッと落ちた。その目は白目をむき、口からは泡のようなものが吹き出しているようだった。

「あ…終わったかな…?」

リコが手を離しても、男はまったく反応しなかった。
どうやら本当に気絶してしまったようで、その体はビクビクと細かく痙攣していた。
リコはそれを見て、ほっとしたように立ち上がった。

「あの…ごめんなさい。私、こういうのが苦手で…どうしていいか分からなくて…。また会っても、もう声はかけないでください。お願いします。それじゃ」

うずくまったまま、白目をむいている男に、深々と頭を下げた。
そしてリコは路地裏を出ると、何事もなかったかのように家路につくのだった。


終わり。




ナオトは小学生のころから水泳をやっていて、高校生になってからは地元のスイミングクラブのエース的存在になっていた。専門はバタフライで、高い身長を生かしたダイナミックな泳ぎが特徴だった。
そんな彼が、今日は自分の練習以外の目的で、通いなれたスイミングクラブに来ていた。

「はーい。じゃあ、こっちに集まってください。まずは、準備運動をしまーす」

プールサイドに集まっているのは、まだ幼い幼稚園児たちだった。その数は、男女合わせて15人ほど。
普段、教えているインストラクターが急病で来られなくなったため、急きょ、ナオトが彼らにレッスンをすることになったのだ。

「はい、いーち、にー、さーん、しー…」

幼稚園児たちはみな、かわいらしい水着に身を包んで、短い手足を懸命に動かしていた。
水泳のレッスンとはいっても、幼稚園児のことなので、水に潜ってみたり、ビート板を使ってバタ足をするくらいがせいぜいだとナオトは聞いている。
泳ぎは上手くても、それを人に教えた経験の無いナオトだったが、その点は安心できた。
それに、ナオトの他にもインストラクター役を頼まれた人間がいたのだ。

「じゃあ、準備運動が終わったら、順番に水に入りましょうね。ナオト、私が女の子たちを見るから」

「ああ。じゃあ、男の子たちはこっちだな」

ナオトの同級生のカオリだった。
カオリもまた、ナオトと同じ時期にこのスイミングクラブに入り、今では県大会で好成績をおさめるほどに成長している。
ナオトはこの急なレッスンの依頼を聞いたとき、最初は断ろうかと思ったのだが、カオリが一緒ならということで、引き受けたのだった。

「はい。女の子たちは、こっちに並んで。最初、私が水に入るから、1人ずつ順番に降りてきてください」

「はーい」

カオリは意外なほど、インストラクター役が板についているようだった。
もともと子供が好きということは聞いていたが、普段からは想像できない面倒見の良さに、ナオトは頼もしさを感じていた。

「せんせーい。ボクたちも?」

「え? あ、ああ。そうだね。入ろうか。じゃあ、順番に…」

カオリの姿に見とれていたナオトに、男の子が声をかけた。
言葉には出さなかったが、そんなナオトの視線を、カオリは背中でしっかりと感じていた。
実際のところ、ナオトが見とれてしまうのも無理はなかった。
カオリは背が高く、水泳選手らしい引き締まったスタイルをしている。さらに今日は、いつも見慣れた競泳水着姿ではなく、明らかにプライベート用の白いビキニタイプの水着を身に着けているのだった。

「え…! お前、なんだよ、その水着…?」

更衣室を出た後、初めて目にするカオリのビキニ姿に、ナオトは目を丸くした。
カオリ自身も恥ずかしそうにしている。

「しょうがないでしょ。いつもの水着、背中のひもが切れちゃって、今日、買いに行く予定だったんだから。家にあるの、これしかなかったの」

「それは…でも…」

カオリとは小学生からの付き合いだったが、二人は学校が違ったので、競泳水着以外の姿を見たのは初めてだった。
改めて見てみると、カオリは女性としては抜群のプロポーションを持っていることが分かる。しかも、普段はピッチリとした競泳水着に圧迫されて分からなかったが、その胸はビキニの水着からこぼれ落ちそうなほどに大きい。
ナオトは思わず、その胸の谷間に見入ってしまった。

「ちょっと! 何見てんのよ!」

「あ! い、いや…別に…」

無意識に、腰を引いてしまう。
ナオトのスパッツタイプの競泳水着の股間が、わずかに反応していたのを、カオリも気づいていた。

「スケベ!」

カオリの右足がピクリと上がりかけたが、思い返したように止まった。
ナオトも思わず腰を引いて、両手で股間を守るそぶりを見せた。

「……」

カオリの得意技は金蹴りで、ナオトは小学生のころから、事あるごとにカオリに急所を蹴られ続けていた。
しかし今日のカオリは、いつもの競泳水着ではないということで、下着姿で歩いているような恥ずかしさがあったらしい。
いつものように足を上げてナオトの股間を蹴り上げるのを、思いとどまったようだった。

「…ジロジロ見ないでよね!」

フン、と口惜しそうに鼻を鳴らして、カオリはプールの方に歩いて行った。
小さなお尻を左右に揺らして歩くその後ろ姿にも、ナオトは見入ってしまったのだった。

レッスンが始まっても、ナオトは隣で教えているカオリの姿が気になって仕方なかった。
集中しなければと思っても、やはりチラチラと目で追ってしまう。
冷たいプールに入っているので、股間は反応しづらくなっていたが、そうでなければ、とっくにナオトの股間は勃起しているはずだった。

「わー、上手にできたねー。その調子。じゃあ、次はね。先生と一緒に潜ってみようか?」

「はーい!」

一方のカオリは、依頼されたレッスンを期待以上にこなしている様子だった。幼稚園児たちの手を取って、一緒に水に顔をつけたり、頭まで潜ってみたりしている。
そのリラックスした笑顔は、ナオトが普段の練習では見たことのないものだった。

「ハァーッ! すごーい。10秒も潜れたね? 目は開けてた?」

「うん、ちょっと…」

「そっかぁ。じゃあ次は、もうちょっとだけ長く開けてみようか?」

「うん!」

幼稚園児たちは、カオリの優しい指導に、すっかりなついているようだった。
ふと振り向くと、そこにはぼうっと立ち尽くしているナオトと、めいめいに水で遊んでいる男の子たちがいる。

「ちょっと、ナオト。何してんの? ちゃんと教えてあげなさいよ」

「あ! ああ…。そうだな。えっと…。何をすればいいんだっけ?」

カオリはナオトの視線がずっと自分を向いていたことに気づいていたが、それについては何も言わなかった。

「もう! 潜る練習をしてって言われたでしょ? ちゃんとしてよ。…いいわ。私が男の子たちを見るから、ちょっと交代しよ?」

「あ、ああ…」

言われるままに、ナオトはうなずいた。

「せんせい、あっちに行っちゃうの?」

今までカオリと一緒に潜る練習をしていた女の子が、残念そうな目で見上げた。

「うん。ちょっとだけね。すぐ戻ってくるから。…そうだ。ミユちゃん、ちょっと耳貸して」

カオリはチラリとナオトの方を見ると、何か思いついたような顔をして、幼稚園児のミユの耳元に口を寄せた。
そして何事か囁くと、ミユは「うん、わかった」と、大きくうなずいたのだ。

「じゃあ、頑張ってね、ミユちゃん」

「…? なんだよ?」

カオリとすれ違いざま、ナオトは不審そうに尋ねた。

「別に。いいから、ちゃんと教えてあげてね。潜る練習だから。さあ、男の子たちも、練習しましょう!」

カオリは意味ありげに笑うと、男の子たちに声をかけて集めた。
ナオトは腑に落ちない様子だったが、そんなことを気にするまもなく、周りには幼稚園児の女の子たちが群がってきた。

「せんせい、ミユ、潜る練習するねー」

「あ、うん。そうだね。一緒にしようか」

「ううん。せんせいは見てて。ミユが潜るから」

「え? ああ、うん」

ミユがそう言ったから、ナオトはうなずくしかなかった。
潜るといっても、子供用の浅いプールだったから、溺れるような心配はない。
しかし万が一のために、ナオトは先程カオリがそうしていたのと同じように、中腰になってミユの体を支えるつもりだった。
その様子を、カオリが横目で見つめていた。




「いくよー。せーの!」

口いっぱいに息を吸い込んで、ミユは水の中にしゃがみこんだ。
その小さな頭が、水面にすっぽりと隠れてしまう。

「おー、すごいねー、ミユちゃん」

自分も水泳を始めたころは、こんな風に無邪気だったかと思い、ナオトは少し感動していた。
しかしミユが水に潜ってから数秒後、水面からはさざ波に邪魔されて見えなかったが、ミユの小さな手が、ナオトの股間に伸びた。

「ん? …あ!」

突然、股間を掴まれて、ナオトは思わず声を上げた。

「ミ、ミユちゃん…?」

腰を引いてその手を振りほどきたかったが、下手に動けば、ミユが水中で体勢を崩してしまいそうで、ナオトは動けなかった。
ミユの手は、最初はペニスの部分を掴んでいたが、徐々に下に移動して、今ではナオトの睾丸の一つを握りしめている。

「あ…! ちょ…待って…!」

それは決して強い握力ではなかったが、小さな手がマッサージのように睾丸を揉みしだくと、思わず声が出てしまう。
痛みと快感のきわどいライン上だった。
そのうち、ミユが水面から顔を出した。

「プハァ! ハァ…。やったあ。ちゃんと掴めたよ、せんせい!」

ミユは嬉しそうな顔で、カオリに声をかけた。

「え? あ、ホントだあ。ちゃんと目を開けられたんだね、ミユちゃん」

「うん。ずっと開けてた。ナオトせんせいのもっこりが、ちゃんと見えたよ。カオリせんせいの言うとおりだった」

「そう。良かったね」

カオリとミユは、ニコニコしながら話していた。
その間も、ナオトの睾丸からミユの手は離れない。

「え…? お、おい。なんだよ、これ…あ!」

ミユの右手はナオトの左の睾丸を掴み、ミユはまるで握手でもするかのように、それを無意識に揉み続けている。

「あ、ゴメンねー。ミユちゃんが水の中で目を開けられるように、目標があった方がいいと思ってさ。水の中で、ナオトの水着がもっこりしてるのが見えたら、それを掴んでみなさいって言ったの。ほら、プールの底の石を拾うみたいなもんよ。私たちもよくやったでしょ?」

カオリは笑いをこらえているような表情だった。
ナオトは、どうやら先程耳打ちしたのは、これのことだったらしいと気がついた。

「お前、そんなこと…あ! ちょっと、ミユちゃん…!」

「これって、ナオトせんせいのタマタマなのー? コロコロしてるー」

ナオトの股間を、ミユは興味深そうに見つめていた。
ミユの小さな手の中で、ナオトの睾丸が転がされる度、痺れるような痛みが走った。
それは、いつもカオリに股間を蹴られることに比べれば、ごくごく小さな痛みだったが、それでもナオトの下半身には、だんだんと痛みが蓄積していくようだった。

「そうそう。チンチンじゃなくて、タマタマを握りなさいって言ったから。ちゃんと、水の中でも見えてたみたいね。偉いねー、ミユちゃん」

「うん。ちゃんと見えてたよ。最初、ちょっと堅くて棒みたいなのを握っちゃったから、その後でタマタマを探したの。そしたら、下の方にあった」

ミユは無邪気な笑顔で、きわどいことを言った。

「あ、そうなの? へー。ちょっと堅かったんだあ」

カオリは、口の端で少し笑うと、ゆっくりとナオトの方に近づいてきた。

「あ、いや…そんなこと…。ミ、ミユちゃん、もうおしまいにしようか…?」

「あ、うん」

ミユがナオトの股間から手を離しかけると、それを包み込むようにして、カオリの手が伸びた。

「あ!」

思わず、ナオトが声を上げる。
ナオトの左の睾丸が、ミユの手を間に挟んで、カオリに掴まれた形になった。

「ミユちゃん、タマタマを掴んだのは良かったけど、ちょっと力が足りなかったみたいね。これじゃ、ナオト先生も気がつかなかったんじゃない?」

「え? そうなの? もっと強く掴んだ方がいいの?」

「そうだよ。遠慮しないで。こうやって、ほら。ギューって」

カオリの手に、ゆっくりと力が入り始めた。
ナオトの睾丸は、先程とは比べ物にならない圧迫を受け、変形し始める。

「あ! か…は…!」

カオリの手に包まれたミユの小さな指が、食い込むようにしてナオトの睾丸を圧迫する。
ナオトは腰を引いて手を引き離そうとするが、根元からしっかりと掴まれていては、容易にできるものではない。
やがて膝から力が抜けて、プールの壁に寄り掛かるように倒れてしまった。

「すごーい。タマタマ、ぐにぐにしてるー。せんせい、痛いのー?」

ミユは初めて経験する感触に、声を上げて喜んだ。
ナオトの呼吸はすでに荒くなっており、冷たいプールにつかりながら、脂汗をびっしょりとかいていた。

「あ…あ…! い、いた…い…から…。はなし…て…」

「大丈夫よ、これくらい。だからほら、両手で握ってみようか。ね。ギュー!」

か細いナオトの声を、カオリがさえぎった。
そしてミユの左手を取ると、それをナオトの右の睾丸にあてて、両手で包み込むようにして握りしめ始めた。

「あぁっ!! はあっ!」

思わず天を仰いで、声にならない叫びをあげた。
その周りでは、幼稚園児の女の子たちが不思議そうに、同時に興味深そうにナオトの様子を見つめ、男の子たちは眉をひそめながら、無意識に自分たちの股間に手を当ててしまっていた。

「うわあ。大丈夫、せんせい?」

鍛えぬかれ、美しく割れたナオトの腹筋が、目の前でピクピクと痙攣していた。
ミユはさすがに心配になったらしく、その大きな瞳で、歯を食いしばって痛みに耐えているナオトを見上げた。

「フフフ…。まあ、このくらいにしとこうか。おーしまい!」

最後にグッと力を入れて、カオリはナオトの睾丸を解放してやった。

「あっ!」

ナオトはミユたちの手が離れると、すぐさま両手で自らの股間をおさえ、そのままプールの底に両ひざをついてしまった。

「うう…」

ここがプールでなければ、いますぐ倒れこみたいほどの苦痛だった。
しかしプールサイドに上がろうにも、ナオトの体は、しばらく言うことを聞きそうもない。下半身には重苦しい痛みが残り、足にまったく力が入らないのだった。
ふと見上げると、そこにはビキニ姿のカオリが、まぶしいばかりの笑顔を浮かべて立っている。

「ん? 何見てんのよ、スケベ」

笑いながら言うと、ナオトは慌ててうつむいた。
もう、その魅力的な体を見ても、興奮するどころではなかった。

「ナオトせんせい、やっぱり痛かったんだあ。ごめんなさい」

「いいのよ、ミユちゃん。ナオト先生は、ミユちゃんの練習のためにやってくれたんだから。また今度、やらせてもらおう。ね?」

そう言われても、ナオトはあいまいにうなずくことしかできなかった。

「でも、ホントにいい練習になったね。石を拾うのもいいけど、男の子のもっこりを握るのも、けっこうアリなのかなあ」

カオリがそう言うと、周りで聞いていた女の子たちが、口々に「わたしもやってみたい」と言い始めた。

「そっかあ。じゃあ、ちょっとやってみようかなあ」

カオリが意地悪そうな笑顔を向けた先には、女の子とちょうど同じ人数だけ、男の子たちがいる。
男の子たちは、カオリの笑顔の意味を本能的に悟り、思わず内股になって、両手で股間をおさえてしまった。


終わり。



当ブログを見て頂いて、ありがとうございます。
管理人の McQueen です。


今までいくつかのBB小説をこのブログ上に載せてきましたが、思いがけずたくさんの方から支持を頂いているようで、大変嬉しく思っております。
また、作品の感想やコメント、拍手などを残して下さる方も多く入らっしゃるようで、重ねてお礼を申し上げたいと思います。


しかし、コメントやご意見をくださった方に、個別にお返事を返していないことは、お詫びしなければなりません。
これは、私の筆不精ということもありますが、当ブログの方針の維持のためでもあります。


BB小説というジャンルが、マイナーなだけに、各人のこだわりが非常に強いものであることはお伝えしました。
私が知る限り、この性癖はとてもピンポイントで、攻め手や受け手の言動ひとつ、リアクションひとつでも、それを見る人によって、興奮の度合いは全く違ってくるものだと思っています。


私の書くBB小説が、このブログを訪れるすべての方の嗜好を満たすことは不可能ですので、私は完全な私の趣味で、BB小説を書いていく他ないと思っています。
よって、作品のリクエスト等を頂いても、お応えできるものとお応えできないものがあり、それをご説明するのも忍びなく、作品という結果でお伝えすることしかできないと思います。
元来が私の趣味で始めたブログですので、趣味に合わない方に見て頂けないのは、致し方ないと思っています。


そして同様の理由で、一般的なアダルトサイト等との相互リンクなども、遠慮させて頂きたいと思います。
私は私の性癖がマイナーで、特殊なものであることを理解していますので、それを無暗にさらしてみたいと思っていません。
同じ趣味の仲間を見つけたり、ブログの訪問者数を増やしたりするよりも、無用な中傷や炎上を受けることを恐れるからです。
リンクを申込みしていただいた方には、誠に申し訳ありません。


甚だ勝手な言い分ばかりになりましたが、訪問者の方より頂戴する感想やご意見などは、私にとって非常に励みになるものばかりです。
今後も、忌憚のないご意見やアイデアなどをお聞かせいただければ、幸いです。


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