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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


毎年夏になると、この街は祭り一色になる。
男も女も、はっぴを羽織り、ふんどしを締めて、意気揚々と神輿を担ぎに繰り出すのだった。
しかし街の片隅のある地域だけは、少し事情が違っていた。

「よおし! 今年も東地区、神輿とるぞ!」

「おお!」

神社の境内に集まった少年たちが、声を上げた。
祭り本番が目前に迫ったこの日、この場所で、ある重大な儀式が行われることになっていた。
この地域は東と西の二地区に分かれていて、大人が担ぐ神輿はそれぞれにあるのだが、あいにく子供が担ぐための「若神輿」は一つしかなかった。
仲良く交代で担げればいいのだが、一年に一度、街中が最も興奮する祭りとあっては、そうはいかない。
この神社の境内で、東地区と西地区の子供たちが神前相撲をとり、その勝敗で神輿を担ぐ地区を決定するというのが、江戸時代から続く習わしだった。

「じゃあ、行ってくるぜ!」

「頼むぞ!」

「頑張れよ!」

境内の真ん中に張られた幕の中に、東地区の少年たち三人が入っていった。
小、中、高、それぞれの年代から選ばれた子供たちが、外界から遮断された場所で、ただ神様が見ている前で決着をつけるというのが、この神前相撲の決まりだった。
幕の中には土俵が作ってあり、立会人は、審判役を務めるこの神社の宮司しかいない。
あとは西地区の相手三人がいるだけ、のはずだったが。

「え!?」

東地区の主将である高校生のリュウタは、目を疑った。
土俵の向こう側には、女の子が三人、すでに座っていたからである。

「ど、どういうことだよ。お前ら、何でここに…」

「何でって。今年の西地区の代表は、私たちだからに決まってるでしょ。今年こそ、絶対西が神輿とるからね。覚悟してよ」

リュウタと同じ高校に通うユズキが、闘争心をむき出しにして言った。
この神前相撲に出るのは、本来、男でも女でもどちらでもかまわない。しかし、リュウタの記憶にある限り、女の子が出たという話は聞いたことがなかった。
なぜなら、この神前相撲は全裸で行われるからである。
神様の前での勝負に、やましいことが何一つあってはならないという意味だったが、女の子にとっては当然、恥ずかしすぎるしきたりだった。
自然の流れとして、この神前相撲に出場するのは男子だけになってしまい、毎年東と西の選りすぐりの男子たちが集まって、勝負をすることになっていたのだった。

「女子が代表って、聞いたことないよ…」

中学生の代表であるショウマも驚きを隠せなかった。
すると、彼と同じ中学三年生のレイカが声を上げた。

「女子が代表だったら、何か問題でもあるの? 言っとくけど、ウチらは本気で勝つつもりでいるからね。五年連続東が勝つなんて、ありえないんだから」

レイカの言うように、この四年間はずっと東が神前相撲に勝利し、神輿を担ぎ続けていた。
負けた西地区の子供たちは、男女とも神輿に触ることもできず、まるで部外者のように祭りを外から眺めていることしかできなかった。
どうやらその悔しさが、彼女たちを全裸での勝負に駆り立てているようだった。

「今年から、西では予選で代表を決めることにしたって聞いたけどな。お前らが西の男子たちに勝ったってことか?」

「そうよ。よく知ってるわね」

「へー。西には、よっぽど弱い男子しかいないんだな。そういえば、去年も俺たちは西に三戦全勝だったもんな。今年もそうなりそうだな」

リュウタは挑発的に笑った。
地区の威信をかけた戦いとあって、毎年、神前相撲はどうしてもヒートアップしてしまう。

「ふん。そんな挑発には乗らないわよ。すぐに結果が出るんだから。みてなさい」

ユズキは不敵に笑った。

「さあ。そのくらいにして。始めましょう。まずは皆、神前に礼!」

この神社の宮司は、若い女性だった。彼女の声で、皆一斉に祭壇に向かって頭を下げた。
その後、土俵際に向かい合って座るのだが、その座り方も、しきたりによって胡坐と決まっている。
東地区の男の子たちは、男子の胡坐は見慣れていたが、女の子が裸で胡坐をかいているところなど、見たことがなかった。

「よいしょっと」

西地区の予選などですでに慣れてしまっているのか、意外なほど堂々と、女の子たちは胡坐をかいてみせた。
しかしその姿は、小学生のセイヤにはともかく、中学生のショウマや高校生のリュウタにとっては、刺激的すぎる光景だった。

「それではこれより、神前相撲を執り行う。東と西の先鋒は、土俵に上がりなさい」

宮司の呼び声で、東のセイヤと西のルナが立ち上がった。

「ルナちゃん、予選のときみたいにやれば、絶対勝てるからね」

主将のユズキに言われて、ルナはこくんとうなずいた。
セイヤは小学六年生で、身長はそれほど高くなかったが、柔道をやっているため、年齢よりもがっしりとした体格だった。
一方のルナは、まだ小学三年生で、セイヤと比べると、体重は半分ほどしかないようにも見えた。

「セイヤ! 遠慮するな。速攻で終わらせちまえ!」

二人は土俵の中央で向かい合い、仕切り線に両手をついた。

「それでは、神前相撲、始め!」

起き上がりざま、セイヤは張り手でルナを突こうとした。
去年もこの神前相撲に出場した彼は、勝ち方をよく分かっているようだった。
しかしルナは、まるでそれを読んでいたかのように、さっと身をかわして、セイヤの張り手を避けたのだった。

「あっ!」

意外なほど素早い動きだった。
この神前相撲は、まわしも締めず全裸で行われるため、実際には相撲の技の大部分が使用できなかった。
だから結局、セイヤのように張り手で押し出したり、手を組みあって引きずり倒したりするのが定石の勝ち方だったのだ。

「ルナちゃん! 落ち着いて!」

ルナは距離を取り、組み合おうとしない。出鼻をくじかれたセイヤも警戒して、容易に組み合ってこない。
どうやらここまでは、女の子たちの作戦通りのようだった。

「くそっ!」

このまま拮抗するかに見えたが、セイヤは相手が自分よりもずっと小さな女の子だったことを思いだし、自分から組みにいった。
力比べなら負けるはずがないという自信が、そこにある。
セイヤが両手を広げて、覆いかぶさるように迫ると、ルナもその手を両手で受け止めるかに見えた。
しかし。

「はわっ!」

少しだけかがみこんで、すっとセイヤの懐に入ったルナは、その股間にぶら下がっている金玉袋を両手に掴んだ。
神前相撲で、まさかその部分を掴まれるとは思ってもいなかったセイヤは、思わず声を上げてしまう。

「これでもう終わり。降参した方がいいよ。すごく痛いから」

セイヤの未発達な金玉袋を、両手で包むように掴んだルナは、そう言った。
一応、降参するという勝敗のつけ方もあるが、今まで神前相撲でそんな不名誉なことをした男の子はいなかった。

「な…! 降参なんか、するわけないだろ!」

ルナの手に、まだ力はほとんど込められていない。
しかし、セイヤはルナの手首を掴んではいるが、その手を引きはがせそうにはなかった。
男の絶対の急所を掴まれ、いつ握りしめられるか分からないという恐怖が、そこにあった。

「そう。じゃあ、降参するまで離さないからね。えい!」

と、ルナはその小さい手にグッと力を入れ始めた。
彼女の手の中で、セイヤの二つの睾丸が圧迫され始める。

「うぎゃああっ!!」

セイヤの股間から、強烈な痛みが湧き上がってきた。
その痛みはオスとしての生存が危うくなっているという、本能的な危険信号も含むもので、男はその痛みの前では、完全に無抵抗になってしまう。

「まだ降参しないかな? えい、えーい!」

実際には、あっという間にセイヤの膝から力が抜けて、手を離せば倒れてしまうことは確実だった。
しかしルナはあくまで降参を求めているらしく、掴んだ金玉を上に持ち上げるようにして、セイヤが膝をつくことを許さなかった。

「セ、セイヤ…! が、頑張れ!」

声をかけてみたものの、リュウタにもセイヤの苦しみは十分に伝わってきた。
しかもこの痛みに耐えたところで、この先に勝ち目があるとは思えない。そう思っていたから、中途半端な応援になってしまった。

「うぅ…がぁ…!!」

負けることはいいとしても、セイヤは降参だけはしたくなかった。
せっかく名誉ある神前相撲の代表に選ばれたのに、年下の女の子に降参させられることなど、絶対に避けたかった。

「うーん。まだ降参しないかな。じゃあ、必殺技いくね?」

ルナはそう言って、金玉を持つ手を少し緩めた。
どうやら持ちかえて、何か特別なことをするようだった。
しかしそこで、セイヤの心が折れてしまった。

「あ…! こ、降参! 降参します! は、離して…」

今でもギリギリな状態なのに、これ以上耐えられそうになかった。
ルナの言う必殺技がどんなものか分からなかったが、さらに強烈な痛みが襲うことだけは確実そうだった。
ルナが金玉から手を離してやると、セイヤはその場に膝をつき、両手で金玉をおさえた。

「勝者、西のルナ!」

「やったあ! ルナちゃん、すごい! まず一勝ね!」

ユズキとレイカが手を取るようにして、ルナを迎えた。

「は、反則だ! 金玉握るなんて、反則じゃないのかよ!」

リュウタはたまらず、立ち上がって抗議した。
しかし西の女の子たちは、もうそんな議論はし尽くしたというように、飽き飽きした顔で答えた。

「反則じゃないです。男子はみんなそう言うけどね。自分たちにだけ急所がついてるからって、勝手に反則にしないでほしいわ」

「そ、そんな…。どうなんですか?」

リュウタは審判役である宮司の方を見た。
女性の宮司は、平然とした態度で答えた。

「うん。そうですね。この神前相撲では、神様に対して恥ずかしいものでない限り、ほとんどすべての行為が認められています。男性の急所は、生まれたときからついているものですから、そこを狙うのは、特に恥ずかしい行為とは思えないですね」

宮司は、伝統ある儀式を守る立場として、毅然とした態度をとっているつもりだった。

「そういうことなんで。気を付けてねー」

中学生のレイカが、おちょくるようにして笑った。
東地区の男子たちは、今初めて、西地区の男子たちが代表になれなかった理由を悟った。
そういえば2,3日前、西地区の同級生の男子たちが、登校するときに歩きづらそうにしていたような気がする。彼らは自分たちの勝利のために何も言わなかったが、おそらくこうやって、金玉を女の子たちに痛めつけられたのだろう。



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「それでは、次。中堅の選手は土俵に上がりなさい」

中学生のショウマとレイカが、土俵に上がった。
二人は同級生で、よく知っている同士だったが、まさかこの土俵上で会うことになるとは、ショウマは夢にも思わなかった。

「アンタたち、ウチらのことなめてたでしょ? 西の男子もそうだったよ。女なんかに負けるわけないって言ってた。でも、結果はウチらの余裕勝ちだったんだよね。何でもありの試合だったら、女子が男子に負けるわけないじゃん」

「な、なんだと?」

「今まで女子が出なかったのは、ただ単に裸になるのがイヤだっただけなんだよね。でも今年こそ絶対、神輿は西に持って帰るからね」

レイカは自信ありげに胸を張っていた。すでに予選で西地区の男子たちを負かしている以上、その自信も根拠のないものではなかった。
しかしその態度以上にショウマが気になったのは、レイカの胸であった。
制服の上からでは気づかなかったが、レイカの胸は、中学生とは思えないほど大きかった。
しかも下にチラリと目をやれば、そこには薄目のヘアーに包まれた、レイカの秘部がある。
同年代の女の子の裸を生で見たことのなかったショウマは、土俵際に座っているときから、すでに興奮してしまっていたのだ。

「あ…ちょ、ちょっと待って…」

座っている時には何とかこらえていたが、改めてレイカの裸を目の前にして、ショウマの股間はオスの反応を示し始めてしまった。
堅くそそり立ってきたその肉棒を手で隠し、腰を引いて興奮を抑えようとする。

「どうしたの? 早くしなさい」

宮司がいぶかしそうに声をかけた。

「あー、コイツ、勃起しちゃったんでしょ。サイテー。西の男子もみんなそうだったけどね。ったく、男ってこれだからさ。どこ見てんの?」

「まあ、そうなの? 神聖な神前相撲の最中なんですよ。変なことを考えないようにしなさい」

「は、はい…」

そう言われても、これは生理現象のようなものだと、ショウマは思っていた。
土俵際で座っているリュウタでさえ、向かい側のユズキの裸をできるだけ見ないようにして、平静を保つのが精いっぱいだったのだ。
それが女の子たちの作戦なのか、男の子たちは、相撲を取る前から精神的に消耗させられてしまっていた。

「もう始めますよ。位置について」

宮司にうながされて、やむなくショウマは仕切り線に手をついた。

「プッ。ビンビンじゃん。サイテー」

同じく手をついたレイカの目には、ショウマの股間で彼の肉棒が反り返っているのがよく見えた。

「始め!」

宮司の掛け声とほぼ同時に、二人は立ち上がった。
先程のセイヤの反省からか、ショウマはすぐにレイカの両手を掴みにいった。
金玉を掴まれてしまえば、絶対に逃げることはできないと思ったからだった。

「くっ!」

「んっ!」

実際、レイカはすぐさまショウマの股間に手を伸ばそうとしたのだが、その手をガッチリと掴まれてしまった。
二人は両手を頭上に挙げて、押し合いのような状態になる。
こうなると、力の強いショウマが有利に思えた。
ショウマもまたそう思い、一気に押し倒そうとしたその時、

「くらえ!」

レイカの蹴りが、ショウマの股間を狙って飛んできた。

「うわっ!」

かろうじて後ろに下がり、直撃を避けた。
しかしレイカのつま先のわずかな部分、親指の爪あたりが、ショウマの金玉をかすめたようだった。

「あっ、くそっ!」

かわされたと思ったレイカは、悔しそうな顔をした。
実際、彼女自身は何の手応えもなかったのだが、やがてショウマの顔がゆっくりと歪んでいき、徐々に力が抜けて、両手を離してしまった。

「うぅ…」

むき出しの股間を、両手でおさえて前かがみになる。
何が起こったのか、金玉を蹴ったレイカでさえも一瞬、よく分からなかった。

「え? 今の、当たってたの?」

「くぅ…ぐぐ…!」

じんわりとした痛みが、ショウマの下半身全体に広がっていた。
かろうじて後ずさりし、レイカと距離を保つことができたが、そこから動くことはできなかった。

「ウソー! 今のって、当たった? ちょっとかすったくらいじゃん。それでそんなに痛いの? ウケる!」

予選でも何度か経験していたが、やはり男の金玉は、彼女にとって不思議な急所に他ならなかった。

「ホント、男子ってウケるよね。ちょっと足がかすったくらいで、そんなに痛がるなんてさ。金玉ってバカなんじゃないの? なんでそんなに弱いの?」

神前相撲の真っ最中であることも忘れて、レイカは笑っていた。

「かわいそうだから、ちょっと待ってあげるね。こんなんじゃ、ウチも勝った気がしないからさ」

馬鹿にしきったレイカの態度に、ショウマは怒りを覚えながらも、どうすることもできなかった。

「金玉ガンバ! 金玉ガンバ! ハハハ!」

重苦しい痛みを発する睾丸を抑えながら、レイカの股間をチラリと見る。
そこはうっすらとした陰毛に覆われて、ショウマやセイヤのように、余計なものは何一つ付いていなかった。
ショウマは男に生まれて初めて、女の子をうらやましいと思った。

「ん? また、どこ見てんの? 言っとくけど、ウチのアソコを蹴っても、痛くもなんともないからね」

レイカの言うとおり、彼女のその部分は完璧で、男のように見るからに脆そうな要素は少しもなさそうだった。
それに気づいたとき、ショウマはレイカに対して、どうしようもない敗北感を感じてしまう。

「レイカ! 遊んでないで、さっさと決めちゃいなさい!」

土俵際のユズキが声を飛ばすと、レイカもうなずいた。

「はーい。じゃあ、そろそろ行こうかな」

と、ショウマに近づこうとしたとき、ショウマが前傾姿勢のまま、勢いよくタックルをしてきた。

「あっ!」

不意を突かれたレイカは、そのまま土俵際まで押し込まれてしまう。
足を上げて金玉を蹴ろうとしても、腰を引いた体勢のショウマの股間には届かなかった。
追い詰められたショウマの作戦と、レイカの油断が招いたピンチだった。

「うおお!」

ショウマもまだ下半身に痛みを抱えていたが、懸命に踏ん張って、レイカを押し出そうとした。

「こ、この! いい加減にしてよ!」

大きく踏ん張って、突き上げられたショウマの尻が、レイカの眼下にあった。
レイカはその尻の間に手を突っ込んで、そこにぶら下がっているはずの金玉袋を探り当てると、思い切り掴んだ。

「ぐぎゃあっ!!」

ショウマの悲鳴が響いた。
レイカの手は、ショウマの尻の間から金玉を引っ張り出すようにして捻り上げていた。
そこには一切の手加減はなく、先程とは比べ物にならない、恐ろしい痛みがショウマを襲うことになる。

「降参しないと、潰しちゃうよ!」

「うう…ぐぐぐ…!」

「いいんだね? 潰れろー!」

「ぐえぇっ!!」

レイカが思い切り握りしめると、ショウマの体から力が抜けて、ガックリと土俵に崩れ落ちた。

「それまで。勝者、東のショウマ!」

え? と、レイカは宮司を見た。

「レイカ! 足が!」

ユズキの声にハッとして下を見ると、レイカの足はわずかに一歩、土俵から出てしまっていた。
ショウマの金玉を握りしめた拍子に、踏み外してしまったようだった。

「ウソ―! ウチの負け? もう、このバカ金玉! 潰れろ!」

泣き出しそうになったレイカが、ぐったりと倒れているショウマの金玉を、再び握ろうとした。
慌てて、リュウタがそれを止める。

「お、おい! やめろよ!」

「レイカ! やめなさい!」

リュウタとユズキに止められて、レイカは我に返った。
神前相撲には勝ったものの、ショウマにはすでに意識がないようだった。






「ゴメン…。負けちゃった…」

土俵を降りたレイカは、さすがに申し訳なさそうにうつむいていた。

「まったく。すぐ調子に乗るんだから。気を付けなさいっていったでしょ」

「ごめんなさい…」

「だ、大丈夫だよ。次、ユズキちゃんが絶対勝ってくれるから。二勝一敗で、神輿をとれるよ」

落ち込むレイカを、小学生のルナがなぐさめた。
確かに現在のところ一勝一敗になり、神輿の行方は、次のユズキとリュウタの相撲にかかっていた。

「ちょっと、そんなこと言われても…。まあ、勝つことは勝つんだけどね。よし! やってみるか!」

「それでは、最後に東と西の大将は、土俵にあがりなさい」

ユズキは気合に満ちた表情で、土俵に上がった。
一方のリュウタは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
見れば、東地区の代表であるセイヤとショウマは、二人ともぐったりとして動くこともできない。
セイヤは言うまでもなく、ショウマは運よく相手のミスで勝利することができたが、実際は完全にレイカに圧倒されていた。
油断すれば、自分もやられてしまう。
もう負けることは許されないと思うと、自然と顔が強張ってしまった。

「リュウタ。去年は兄さんが世話になったみたいね。まだ悔しがってたよ」

そう言われて、リュウタは去年の神前相撲を思い出した。
去年、まだ高校二年生だったリュウタは、大将戦で当時三年生だったユズキの兄に勝利していた。
それを思い出すと、兄に勝てたんだから、その妹に負けるはずはないと思えてくる。

「仇を討つってわけじゃないけど、勝たせてもらうからね」

「望むところだ!」

二人は気合に満ちた顔で、仕切り線についた。

「それでは神前相撲、始め!」

開始と同時に、リュウタは後ろに下がって、距離を取った。
最初から組み合うつもりでいたユズキは、肩透かしをくってしまう。
実はリュウタは空手の有段者であり、幼いころから道場に通っていたのだ。
その空手を生かした打撃戦が、もともとリュウタの得意とするところで、その作戦で去年もユズキの兄に勝っているのだった。

「やっぱり、そうくるか…」

神前相撲は完全に非公開で行われるが、兄の口から聞いているのか、ユズキにとっては想定内の動きだったらしい。
実際、リュウタは手ごわい。
彼が東の代表に選ばれるようになってからのこの数年間、西地区では誰一人、勝った者がいないのである。
くっきりと割れた腹筋はもちろん、体のあらゆる部分に、練り上げられたようなしなやかな筋肉をまとっている。とても、女の子の力で押し倒せる相手には思えなかった。
しかし。

「プッ…。まあ、どうでもいいんだけどさ。それはどうにかなんないの? 動きづらそうなんだけど」

神聖な相撲の最中だったが、ユズキは思わず笑ってしまった。
それもそのはずで、真剣な表情で自分を見つめるリュウタの股間のイチモツは、土俵に上がった時からずっと、勢いよく反り立っているのである。

「あ、いや…これは…」

リュウタ自身、呼吸を整え、邪心を振り払おうと必死だったが、女子高生の裸を目の前にしては、とてものこと、勃起がおさまりそうもない。
まして、先程のショウマもそうだったはずだが、彼らは神聖な神前相撲の前とあって、この数日間は性行為を自ら禁止しているのである。
溜まりきった若い欲望は、抑えようとしてもおさまるものではなかった。

「無理だよねー。男子って、そんなもんだもんねー。ま、こっちは別にいいんだけど。よっと!」

ユズキは不意に間合いをつめて、足を振り上げた。
足の裏でリュウタの鳩尾あたりを押そうとする。
一応は相撲というルールでやっているから、いくらなんでも空手のように蹴るわけにはいかない。これがこの神前相撲での定石の蹴り方だった。

「おっと…。あ…!」

ユズキは高校では、陸上部に所属しており、武道の経験はないはずだった。
女の子の素人の蹴りなど、リュウタにとって防ぐことは造作もなかった。
しかし。
足を大きく振り上げたユズキの股間に、リュウタは目を見張った。

「ほら、ほら!」

ユズキが連続して足を上げるたび、その股間の秘所が見え隠れする。
まだモザイクがかかったビデオなどでしか、その場所を見たことがないリュウタにとっては、それはまさしく目が釘付けになってしまうものだった。

「どこ見てんの? ほら!」

これもユズキの作戦だったのだろう。神聖な土俵上で、あからさまに誘惑をすることはできないが、あえて蹴りを繰り出すことで、攻撃と誘惑を同時に行っているのである。あまりにも大胆で、男にとっては逃れられない作戦だった。
リュウタの目線はユズキの股間に集中してしまい、蹴りをかわす動きが鈍くなってしまう。
あっという間に、リュウタは土俵際に追い詰められてしまった。

「あっ! く、くそっ!」

足が土俵を囲む俵に触れたとき、リュウタはやっと我に返った。
ギンギンにそそり立ったペニスを抱えて、ユズキの蹴りをかわし、回り込んだ。
すかさず張り手を繰り出して、ユズキを押し出そうとする。

ビュン

と、空手の正拳突きのようなリュウタの張り手が、空を切った。
去年はこの技でユズキの兄を押し出したのだが、どうやらこれも読まれていたようだった。

「ここだ!」

女の子の裸に興奮して、平静さを失った。追い詰められて、焦る気持ち。そこに突然舞い込んできた、逆転のチャンス。
様々な要因が重なり合って、リュウタの突きは、いつもよりもずっと大振りで、隙の多いものになってしまった。ユズキは大きくしゃがんでそれをかわすと、迷わず右手を振り上げた。
すべてはユズキの作戦通りだったのかもしれない。
この一瞬をとらえるために、彼女たちは一年間、研究を重ねてきたのかもしれない。
なんとしても神輿を担ぎたいという気持ちが込められた必殺のアッパーカットが、リュウタの股間に襲いかかった。

「うわあっ!」

しかし、リュウタの優れた運動神経は、ユズキの予想を少しだけ上回っていた。
とっさに腰を捻ると、ユズキの拳はリュウタの金玉をわずかにかすめて、反り返っていたペニスを跳ね上げただけだった。

「痛てっ!」

パチーンと音がして、リュウタの肉棒はその腹に叩きつけられた。
しかしそれは、決して耐えられない痛みではない。

「ああっ! そんな…」

土俵際で見ていたレイカから、思わずため息が漏れた。
どうやら彼女たち全員で、試行錯誤した結果の作戦らしかった。

「あっ! もう!」

ユズキの拳にも、狙ったような手ごたえはなかった。
もしあのまま彼女の拳が金玉に当たっていれば、痛いどころの騒ぎではなかっただろう。
女の子が、必死に自分のむき出しの急所を狙いにきたという現実に、リュウタは空手の試合でも感じたことのない寒気を覚えていた。

「ざ、残念だったな…ハハ…。次はもう、ないぜ」

強がって見せたが、背中には冷たい汗が流れていた。
やはりユズキの拳がわずかに金玉をかすめていたようで、ジワッとした痛みが、下半身に疼くように広がり始めている。
それを悟られないように、リュウタは必死で痛みをこらえていた。

「ユズキちゃん、落ち着いて! 金玉狙えば勝てるよ!」

「金玉、握り潰しちゃえ!」

ルナとレイカが声援を送る。
ユズキもそれで落ち着いたようだった。
普通なら、相手の攻撃が読めれば、試合を有利に運べるはずである。
しかし金玉の場合、そこを狙われること自体が恐怖で、男にとっては絶対に防ぎたい攻撃だった。しかも今のリュウタは全裸の状態なのだから、そのプレッシャーは半端なものではない。
目の前にいる女の子は、どのような状況からでも自分の金玉を潰しに来るのかもしれないのだ。
そう考えたとき、いくら距離を取っても、この土俵上に安全な場所などないような気がした。

「よおし。じゃあ、もう一回いってみようかな…」

また、ユズキのあの蹴りが始まるかと思った時、リュウタの体は反射的に動いていた。

「うおおっ!」

一気に間合いを詰めて、足を上げかけたユズキの体を、両手で締め上げたのである。
そしてそのまま、ユズキを持ち上げてしまった。

「ちょ…ちょっと!」

それはプロレスのベアハッグのような状態で、両腕をガッチリとロックされたユズキは身動きがとれず、必死に逃れようともがいた。
一方のリュウタは、このまま彼女を土俵外へ運んでしまおうと、痛む股間をこらえながら、ゆっくりと歩を進めた。

「ああっ! ウソ! こんなことで…」

ユズキは懸命にもがいたが、締めつけるリュウタの力はすさまじく、腕を抜くことすらできない。

「ハア…ハア…」

リュウタもまた、このチャンスを逃すまいと、全力でユズキを締め上げていた。
しかし、締め上げれば締め上げるほど、リュウタの顔面はユズキの乳房に埋もれてしまう。
初めて経験するその柔らかさと温かさに、理性が吹き飛んでしまいそうになるのを、リュウタは懸命にこらえているのだった。

「あ…クソ…マジでヤバイ…!」

一歩一歩、確実に、リュウタは土俵際へ近づいていった。
このまま外に出されれば、ユズキの負けとなる。
せめてこの腕さえ抜ければ、なんとか抵抗することもできるかもしれないのにと、ユズキは必死に腕を動かした。
すると、その指先に、何か堅いものが当たっているのに気がついた。

「あっ!」

確信はなかったが、これが最後のチャンスと思い、思いきって腕をねじ込んだ。
外に出そうとしてもビクともしなかったが、内に入れる分にはたやすい。
右手が堅いもののもっと下、柔らかい袋のようなものを探り当てたとき、ユズキはそれを思いっきり握りしめた。

「う…ぐあああっ!!」

あっという間にリュウタの体から力が抜け、締め上げていた両腕をほどいてしまった。
ストン、と土俵際ギリギリに落とされたユズキは、ホッと息をついた。

「あー、危なかった、ギリギリで気づいてよかった」

その手には、リュウタの金玉がしっかりと握られている。

「う…ぐあ…!」

「惜しかったね。もうちょっとだったのに。これでもう、アンタの勝ちはないよ」

男の最大の急所を握りしめて、ユズキは勝ち誇って見せた。
実際、リュウタはすでに立っているだけで精いっぱいの状態だった。
ユズキがまだ、その手にあまり力を込めていないにも関わらず、だ。

「このまま金玉を引っ張って外に出せば勝ちだけど…。ねえリュウタ、アンタさっき、私の胸に顔つけてなかった?」

グリッと、手の中でわずかに金玉を転がしてみせた。
それだけで、リュウタの体には激しい痛みが走る。リュウタも正直にならざるを得ない。

「あっ! は…いや、それは…はい…」

「やっぱりね。まったく、相撲の最中にチンポおっ勃てたり、胸に顔うずめたり、アンタ変態だね。そんな変態を、ただ降参させるわけにはいかないなー。あ、そうだ…」

ユズキは何か思いついたようで、ぐいっと金玉を引っ張って、審判役の宮司から手元が見えないようにした。

「こういうの、どう?」

不敵そうに笑うと、ユズキは金玉を掴む手とは逆の手で、リュウタのペニスを掴んだ。
そして、すでに堅くなっていたその肉棒を、優しく揉み始めたのである。

「あっ! ああ…! や、やめ…て…」

リュウタの口から、思わずため息が漏れた。
今まで耐えに耐えてきた男としての欲望のスイッチを、一気に全開にされた気分だった。

「ん? どうしたの? 私はただちょっと、掴んでるだけなんだけど」

クスクスと笑いながら、リュウタのペニスを揉み続ける。
それは不器用で、とても褒められるような性器のしごき方ではなかったが、数日間オナニーを我慢し、さっきまで女子高生の柔らかいオッパイに顔をうずめていたリュウタには、関係なかった。

「あ…ホントに…ホントにヤバイ…!」

身を捻って逃れようとしても、金玉袋をガッチリと掴まれているので、身動きできない。
その間も肉棒はガチガチに膨張し続けて、今にも破裂してしまいそうだった。

「ヤバイって? 何がヤバイの? もしかして、出ちゃうの? ウソー。こんなところで? 女の子にいじられて? ホントに?」

宮司にまでは聞こえないように、リュウタの耳元で囁いた。

「神聖な神前相撲の土俵上で射精なんかしたら、どうなるんだろうね。さすがに負けになるんじゃないの?」

大相撲でも、まわしがとれて不浄負けになるということがある。
そう思うと、リュウタは最後に残ったわずかな理性で、必死に射精を耐えるしかなかった。
しかしそんな必死そうなリュウタの顔を、ユズキはうす笑いさえ浮かべながら、見つめている。

「痛かったり、気持ちよくなっちゃったり。男ってホントに大変だよね。でももう、我慢しなくていいんじゃないの? 金玉を握られてる限り、リュウタに勝ちはないんだからさ。せっかくなら、気持ちよくなっちゃおうよ。ほら」

ペニスを揉みながら、そっと胸を近づけてきた。
先程も感じていた柔らかい感触が、再びリュウタの理性を吹き飛ばそうとする。

「神輿は私たちが担ぐからさ。今年はゆっくり休みなよ。ほら、出して。もう出していいんだよ?」

「あ…ああ…ああーっ!!」

リュウタの我慢の糸が、ついに切れた。
絶叫と共に、そのペニスからは大量の白い液体が、噴水のようにほとばしる。

「あ! こ、これは…」

宮司はリュウタの背中側から見ていたが、そこからでも確認できるほど、大量の精液だった。
鼻を突く匂いに、宮司は叫ぶようにして宣言する。

「勝者、西のユズキ! どういうことですか! 神聖な土俵の上で、なんてことをしてるんですか!」

そう言われても、リュウタは恍惚とした表情で、聞こえていない様子だった。

「だってさ。はい、とどめ!」

にっこりと笑うと、ユズキは握りしめていたリュウタの金玉を引っ張って、そこに膝蹴りをぶつけた。
堅い膝小僧に、柔らかい睾丸がグシャリと変形する感触が伝わってくる。

「はがあっ!!」

直前まで快感の絶頂にいたリュウタの体に、電気が走るような衝撃と、絶望的に巨大な痛みが湧き上がってきた。
その痛みに耐えるだけの気力は、もはやリュウタには残っていなかった。
女の子に金玉を掴まれて負けてしまったという屈辱と、人前で強制的に射精させられてしまったという恥辱が、痛みと共に彼の精神を包み込んでしまった。

「今年の神輿は、西地区がもらったってことで。いいよね?」

「やったあ! ユズキちゃん、さすが!」

おそらくこの結末は、ユズキたちの口から、あっという間に西地区に広がるだろう。
神聖な土俵の上で射精し、不浄負けして、さらに金玉を蹴られて気絶してしまったという汚名を、あと何年かかれば晴らすことができるだろう。
そんなことを考えながら、リュウタの意識は土俵の上で途切れてしまった。

「二勝一敗で、西地区の勝利! 今年の若神輿は、西地区が担ぎなさい」

宮司がそう宣言すると、女の子たちはお互いに喜び合い、はしゃいだ。
東地区の男の子たちはというと、セイヤはまだ疼く金玉をさすり、ショウマはかろうじて意識を回復したがぐったりとしており、リュウタにいたっては、自分が精子をぶちまけた土俵の上で、介抱すらされずに気絶していた。

「まったく、土俵の上でこんなことをするなんて、前代未聞ですよ。きちんと清めてから帰りなさい! さもないと、東地区は来年は神前相撲に参加させませんからね!」

宮司はそう言っていたが、セイヤもショウマも、来年はこの神前相撲に参加する気はなかった。
この年を境に、この地区の神前相撲は女の子たちだけが行われるようになり、神輿を担ぐのも、女の子が中心になったとかならなかったとか。




終わり。






祭りも無事に終わったある日、ルナは学校の帰り道で声をかけられた。

「おい、ルナ。お前、神前相撲でセイヤ君に勝ったんだって?」

声をかけてきたヨウタロウは、ルナと同じクラスの男子生徒だったが、普段は特に話したことなどなかった。
ただ、セイヤと同じ柔道クラブに通っているということだけは、ルナも知っている。

「うん。勝ったよ」

「ホントかよ。どうやって勝ったんだ?」

「どうやってっていうか…。ダメだよ。神前相撲のことは、あんまり話しちゃいけないって言われてるから」

毎年の公平な勝負を行うために、神前相撲の情報は、できる限り外部には漏らさないようにと言われている。
それは、東地区に所属するヨウタロウも、もちろん知っていた。

「ふうん。まあ、どうせ何かのインチキして、勝ったんだろ。お前なんかが、セイヤ君に勝てるわけねえよ。俺だって、一度も勝ったことないんだぜ」

ヨウタロウは小学三年生にしては大きな体格をしており、ルナが神前相撲で対戦したセイヤとさほど変わらなそうだった。
ルナは女子でも小柄な方で、ヨウタロウから見れば、こんな女の子がセイヤに勝ったなどと、とても信じられなかった。

「インチキじゃないよ。ちゃんと相撲して、勝ったんだもん。必殺技だってあるし。ユズキちゃんに教えてもらったんだから」

普段はごく大人しいルナも、さすがにむっとしていた。
しかしヨウタロウは、小馬鹿にしたような笑いを浮かべ続けている。

「へー。必殺技って? どんなんだよ?」

「えっと…。こう掴んで、グッと爪を立てて、ガリガリってひっかくの。すごく痛いんだって」

ルナが右手で実演してみせても、ヨウタロウには通じなかった。
なんだ、ただ爪でひっかくだけのことか、という思いがある。

「へっ。そんなことかよ。そんなんで必殺技とか言うなよな。そんなもん、俺には通用しないぜ」

「ウソ。すっごい痛いはずだよ。セイヤ君には使わなかったけど」

「へー。じゃあ、試しにやってみろよ。俺はぜんぜん痛くないと思うけどな」

「ホントに? じゃあ、やってみるよ?」

「ああ、いいぜ」

ヨウタロウがそう言うと、ルナはすぐさま、彼のジャージの中に手を突っ込んだ。

「え?」

よほど練習を繰り返したのだろう。
ヨウタロウが反応する間もなく、ルナの手は、ブリーフ越しにヨウタロウの睾丸を掴んでしまった。

「じゃあ、いくね?」

グッと、ルナの手に力が込められた。

「うっ! うあぁぁっ!!」

突然、訪れた男の最大の痛みに、ヨウタロウは叫び声を上げた。
ルナの握力は、その小さい体からは想像もできないほど強力で、苦しさのあまり腕を掴んでみても、ビクともしない。
ヨウタロウは知らなかったが、ルナは3歳のころからピアノを習っており、その指先のしなやかさと力強さは、同年代の女の子の平均をはるかに上回るものだったのだ。

「ぐえぇっ!! や、やめろ…」

「えっと、じゃあ、今から必殺技するからね。痛いと思うんだけどなあ。えい!」

ヨウタロウの苦しみの声は届かず、ルナはジャージの中で、少しだけ睾丸を握る手をかえた。
そしてブリーフの布地に向かって親指の爪を立てると、そこにある卵状の物体に思い切り押し込むのであった。

「ぎゃあぁぁっ!! あ…あ…!! 」

ヨウタロウの痛みは、想像以上だった。
最初こそ叫び声をあげたものの、その後は呼吸もままならなくなったようで、目をカッと見開きながら、口をパクパクとさせている。

「あ、うまくできた。あと、裏側の方をガリガリって…」

練習したことを確かめるように、ルナは指を動かす。
親指を突き立てたまま、人差し指と中指の爪で、金玉袋の裏側をひっかくようにしてえぐった。

「あっ!! はっ!! はぁっ!!」

ルナの指が動くたび、ヨウタロウの体がビクビクと震えた。
大きな体を前かがみにして、ついにその膝がガクガクと震えだした時、ようやくルナは相手の苦しみに気がついたようだった。

「あ、ごめん!」

パッと手を離すと、ヨウタロウはがっくりと膝をつき、そのまま両手で股間をおさえて、うずくまってしまった。

「ご、ごめんなさい。やっぱり、痛かったでしょ? 大丈夫?」

ヨウタロウの顔を覗き込むと、本人も気づかぬうちに、涙と鼻水で濡れてしまっているようだった。

「神前相撲以外では使っちゃダメって言われてたんだけど…ヨウタロウ君が平気だっていうから…。ホントにごめんなさい。学校の保健室に行く?」

ヨウタロウは、いまだにジンジンと痛む股間をおさえながら、かろうじて首を横に振った。
立ち上がることさえ無理なのに、今はまだ、この場から一歩も動くことはできない。

「そう…。じゃあ、わたし、もう帰るね。あ、今の必殺技のことは、秘密にしといてね。来年の神前相撲で使いたいから。じゃあね」

ルナは長い黒髪を揺らして振り返ると、何事もなかったかのように帰って行った。
ヨウタロウは痛みをこらえながら、来年も自分は絶対に神前相撲には出ないと、心に誓った。




終わり。


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