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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。


県内でも有名な私立の名門校・桜心学園に入学した倉橋アズサは、希望とやる気に満ち溢れていた。何しろ、一年生ながら生徒会に抜擢され、憧れの先輩たちと一緒に学園のために働くことになったのである。
アズサの一番の憧れは、副会長の南サヤだった。
サヤは長い黒髪と美しいスタイルを持った、学園でも屈指の美少女で、成績も常にトップクラスだった。アズサと同じように一年生の時から生徒会に携わり、伝統ある学園生徒会の副会長を務めるまでになっている。
それでいて奥ゆかしく、誰に対しても優しい笑顔を見せるサヤに、アズサは日ごろから尊敬の念を抱いてやまなかった。

「アズサさん」

「は、はい!」

ある日の放課後、アズサはサヤと生徒会室で二人きりになった。
潤いを含んだようなサヤの声で名前を呼ばれることに、アズサはいまだに慣れないでいる。

「この記事、面白いわ。学園の治安を守る、学園警察。こういう噂が生徒たちの間にあるのかしら?」

サヤは、アズサが書いた学園新聞の記事を読んでいるのだった。
その記事は、生徒たちの間で流行っている都市伝説のような噂をまとめたものだった。

「ありがとうございます! えと…学園内で悪さをした人を懲らしめる正義の組織があるというか…そういう噂です。実際に見た人がいるってわけじゃないんですけど、あくまで噂で…」

「面白いわね」

「はい! 実は、何人か懲らしめられたって噂の人に取材したんですけど、誰も何もしゃべってくれなくて…。全員、男子の生徒だったんですけど…」

「そう。その行動力が素晴らしいわね」

憧れのサヤに褒められると、天にも昇る気持ちになった。
サヤは微笑みながら、そんなアズサを見つめている。

「それであなた自身は、そういう正義の組織があることについて、どう思っているの?」

「え? あ、はい。その…私的には、いいことかなっていうか、助かるっていうか…。もちろん、先生とか生徒会の許可を得ずに、そういうことをしているのは、ちょっとどうかな、とは思うんですけど…」

思いもよらぬ質問に、サヤの真意を計りかねた。サヤはその正義の組織を評価しているのか、あるいは拒絶するのか。
サヤに嫌われたくない一心のアズサは、あいまいな返答をした。

「できれば取材して、その人たちの意見を聞いてみたいと思います。あ…ホントにその学園警察があればですけど…」

「そう」

精一杯答えたアズサに、微笑みながらうなずいてみせた。

「確かに先生方や生徒会の手を借りずに、生徒に罰を加えるのは、良くないかもしれないわね。でも世の中には、悪事をしてもきちんとした裁きを受けずにいる人が、たくさんいると思うの。残念だけど、この学園の生徒の中にもいるのかもしれないわね」

サヤはゆっくりとした口調で、しかしいつも以上に凛と張り詰めたような表情で語る。

「学園の風紀を乱す者がいれば、同じ学園内の心ある人が裁きを加える。そういう考えがあっても、私は否定しないわ。伝統あるこの学園の名誉を守るためですもの。そう思わない?」

「は…はい。あの、私もそう思います!」

アズサは、サヤの口から意外な意見が出てきたことに驚いたが、尊敬する彼女の言うことなら、大抵のことは賛同するつもりだった。
サヤはにっこりと笑った。

「ありがとう。学園警察の記事、面白かったわ。また明日ね」

そう言って、生徒会室を出ていった。
残されたアズサは、サヤに褒められた感動の余韻に浸りながら、しばらくの間呆然としていた。




それから数日後。アズサは生徒会の仕事のために学園に残っていて、それが終わったのは、夜もだいぶ更けてからだった。
部活動もとっくに終わり、広大な学園の敷地には、誰もいないように見えた。しかしこの日は満月で、わずかな街灯しかない道でも、明かりに困ることはなかった。
急ぎ足で歩いていると、ふと旧校舎の方に、人の気配がしたような気がした。

「ん…?」

危険かと思ったが、持ち前の好奇心の強さで、アズサは旧校舎の方に足を向けた。
この旧校舎は、学園の創立当初に建てられたもので、歴史的にも価値があるといわれている。現在はここで授業などが行われることはなく、学園の歴史を公開するための展示室や、来客のための応接室があるだけだった。
だから、この時間に旧校舎の付近に人がいるはずもないのである。
アズサは警戒しながら旧校舎に近づいて、窓からその中を覗いた。

「……!」

危うく声を出しそうになった。
校舎の中には、非常灯の薄明かりの下、学園の制服を着た男子が二人いて、何事か話し合っている。
一人の男子の手には、何か紙袋のようなものが握られていて、どうやらその受け渡しをしているような雰囲気だった。

「コレが…? 間違いないんだな?」

男子の一人は、紙袋の中を凝視していた。

「ああ。水泳部のヤツに聞いてみるといい。下着が盗まれたかどうかってな」

紙袋を渡した男子は、水泳部に所属している2年の三浦カツヤ。どうやら彼が、水泳部の女子の下着を盗んだようだった。

「そうか…! 1万でいいか?」

紙袋を受け取ったのは、2年の蒲田ユウジだ。カツヤが盗んできた下着を、彼が買い取るということになっているようだった。

「冗談だろ。こっちはリスクを背負ってんだ。3万は貰わないと」

「3万…! しょうがねえな。偽物だったら、返してもらうからな?」

「毎度どうも。安心しろよ。そいつは本物だって」

ユウジが財布から金を出し、カツヤに渡した。
二人がその場を立ち去ろうとした時、まばゆいライトの光が、彼らの姿を照らした。

「うっ!」

「誰だ!」

ライトは旧校舎の入り口正面にある、大階段の上から懐中電灯か何かで照らされたようだった。二人は一斉に振り向き、外から見ていたアズサも目を向ける。

「三浦カツヤ、蒲田ユウジ。そのまま動くな! お前達に裁きを下す!」

大階段の上には、黒い人影が見えた。

「な、何だお前ら!」

カツヤとユウジは、とっさに身構えた。
窓の外では、アズサが興奮と期待の入り混じった目で、この様子をうかがっている。

「我々は、月下会。学園の風紀を乱す者を取り締まるのが、我々の務め。三浦カツヤ。お前が水泳部の部室から、女子の下着を盗んだことは既に承知している。そしてそれを買い取ろうとした蒲田ユウジもまた、同罪である。この際、尋常に罪を認めろ!」

意図的なものか、どこか芝居がかったような、古風な口調の持ち主だった。
そしてその声は明らかに若い女性のものであり、カツヤ達の目が慣れてくると、はっきりとその姿が女性のそれであると気がついた。

「げっかかい…?」

「何だ、お前ら!」

ふと気がつくと、大階段の上だけでなく、その下にも二人の女性の人影があった。彼女たちの服装は忍者の装束のように真っ黒で、顔全体を布で覆い隠している。唯一見える目の部分には、鋭い眼光が光っていた。
二人はカツヤとユウジを挟み込むように、ゆっくりと近づいてきた。

「な、何だよ! あっち行け!」

ユウジは紙袋を抱えたまま、後ずさりした。
見た目は小柄な女性のようだったが、夜の校舎でこんな不気味な連中に追い詰められては、恐怖を感じてしまうのも無理はない。
一方のカツヤは、あるいはこういった状況も想定していたのかもしれなかった。
チッと舌打ちすると、両手を上げてボクシングのような構えをとった。

「お前らが、学園警察とかいうやつらだな。いつか俺の所にも来るかと思ってたぜ」

実はカツヤは元々ボクシング部に所属しており、将来のエースと呼ばれていたのだが、性格が乱暴で、他校の生徒と暴力事件を起こして退部してしまっていたのだ。その後、彼の性格はますます荒み、学園内の不良グループに属していたのだが、挙句の果てには下着泥棒をするまでになってしまっている。

「正義の味方を返り討ちにするってのも、面白えな」

カツヤは自分の腕っぷしに、相当の自信を持っていた。
怪しげなその格好に少々面食らったが、所詮は女である。しばらくボクシングから遠ざかったとはいえ、実戦としてのケンカには事欠かなかった。
相手は3人いるが、痛めつけて逃げおおせる自信が、彼にはあったのだ。


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「おい、こいつらをぶちのめしたら、ボディガード代ももらうぜ。いいな?」

「え? は、はい。頼む!」

一方のユウジは、怯えきっていた。
カツヤとは対照的に、彼は典型的な運動音痴の肥満体形で、ケンカなどしたこともなかった。
ただ、悪事を隠そうとする卑劣さと、自分の身を守るためなら他人はどうでもいいという身勝手さは、多分に持っていた。

「…抵抗するな。制裁をする前に、痛めつけておとなしくさせなくてはならない」

大階段の上にいる女は、冷静だった。
そしてカツヤ達に迫る女たちも、眉ひとつ動かす様子はなかった。
遠目で見ていたアズサの目にも、拳を握りしめてリズムをとるカツヤの危険さが伝わるほどだったのだが、彼女たちにはそんなことは一切関係ないようだった。

「うるせえ!」

叫びながら、カツヤは女の方に踏み込んで、鋭いジャブを放った。
しかし黒装束の女は素早く動いて、これをなんなくかわした。

「! くそ!」

さらに連続してパンチを放つが、一発も当たることはなかった。高校ボクシングの大会に出場し、街中のケンカで腕を磨いたはずのカツヤにとって、これは初めての経験だった。
しかも黒装束の女は、カツヤが空振りするのに疲れたと見ると、すぐさまその懐に踏み込んで、いきなり目の部分を片手で引っ掻くようにして攻撃した。
ボクシングの実力があるカツヤも、完全な反則技であるこの攻撃の前には無力だった。

「うわっ!」

それは目を潰すようなものではなかったが、視界を奪うには十分で、カツヤは思わず顔面をおさえてしまう。
そのとき、女の脚が、カツヤの股間を鋭く蹴りあげた。

パシンッ!

乾いた音が、旧校舎の中に響いた。
同時にカツヤは「うっ!」と一声呻いて、そのまま顔面から床に倒れ込んでしまった。

「あぐぐ…」

黒装束の女の、見事すぎる一連の動きだった。
カツヤは何が起こったのかも分からずに、股間を両手でおさえて転げ回るハメになった。
外から眺めていたアズサは、意外すぎる展開に口をポカンと開けて、声もでなかったが、彼女たちこそ学園警察に違いないと確信していた。

「ひいっ!」

カツヤがいとも簡単にやられるのを見て、ユウジは悲鳴を上げた。
そして自分のすぐそばにも、もう一人の黒装束の女が迫っていることを思い出した。

「す、すいません! すいませんでした! 俺が悪いんじゃないんです! こいつが話を持ちかけてきて…。これは返しますから、許して下さい!」

必死に頭を下げて、紙袋を女に差し出す。
女は無言で、紙袋を受け取るかのように、手を伸ばした。
ユウジが安心しそうになった次の瞬間、

ボンッ!

と、股間に衝撃が走った。
黒装束の女が、紙袋で隠れた死角から、ユウジの股間を蹴り上げたのである。

「はうっ!」

状況は理解できなくても、股間に走る痛みは、すぐにユウジの脳天を突き抜けた。
そして両膝から力が抜け、持っていた紙袋を放り出し、校舎の床に這いつくばってしまった。
ユウジを蹴りあげた黒装束の女は、何事もなかったかのように足元に落ちた紙袋を拾い上げた。その中に手を入れると、女性ものの下着が数点、出てきた。

「やはり。有罪です」

それを聞いた大階段の上の女は、ひとつうなずいて、階段を降りてきた。

「自分の罪を認めないばかりか、抵抗するなど、言語道断だな」

厳しい口調の中にも、どこか美しい気品を感じさせるような声だった。
外から覗いていたアズサは、その声をどこかで聞いたような気がしていたのだが、目の前の衝撃的な展開に、頭が働かなくなってしまっていた。

「て、てめえ…いったい…」

苦しみながら、カツヤは階段を降りてきた黒装束の女を見た。
その女も頭巾のようなもので顔全体を隠していたのだが、よく見ると、頭の後ろで髪を結んでおり、その長い髪が、彼女が歩くたびに美しく揺れている。

「我々は月下会。この学園の創立者である綺堂院桜子の遺志により、学園の悪を裁く権利を預かっている。私はその35代目の総代だ。学園の名誉を守るため、お前のような者には制裁を加えるのが、我々の役目だ」

カツヤとユウジはもちろん、アズサもまた、そのような組織が学園内に本当に存在していたことに驚きを隠せなかった。しかし彼女たちの言動も服装も、とても嘘や冗談で行っていることとは思えない。
特にアズサは、いったんは自分で学園新聞の記事にしたのだが、それがいざ目の前に現れてみると、嬉しさと驚きが入り混じったような、複雑な思いだった。

「制裁…だと…? 何を…」

言いかけたカツヤだったが、総代と名乗った女が、すぐにそれを遮った。
床にうずくまって苦しんでいるカツヤの頭を、思い切り踏みつけたのである。
カツヤの顔面は冷たい大理石の床に押し付けられ、しゃべることもできなくなってしまう。

「静かにしろ。これは伝統に則った、神聖なる裁きである。以後、私の許可なく声を出すことは許さん」

あまりにも冷たい言葉だった。
しかしそれに従う二人の女も、それが当然というように黙りこくっていた。

「ではこれより、月下会の裁きを始める。…そう、その前に」

すると、総代を名乗る女は突然振り向いて、窓からのぞいていたアズサの方を見た。

「そこにいるあなた。こちらに来なさい」

振り向いた女と目が合ったアズサは驚いて、思わず叫んでしまいそうになった。
しかしアズサを見つめる女の眼は、一切の抵抗を許さぬような鋭さを持っていて、アズサは自分でも驚くほど素直に、旧校舎の中に入っていってしまった。

「あの…すいません…。覗くつもりじゃ…」

とりあえず、頭を下げてしまった。
しかし意外にも、総代や他の二人の女たちは、アズサに対して攻撃的な態度をとる風ではなかった。

「…あなたは、生徒会の学園新聞を書いているな? 私達のことを記事に書いただろう?」

意外なほど優しげな声で、総代を名乗る女は話しかけてきた。

「あ! はい! すいません。書いちゃいました…」

覆面で顔を覆い隠してまで、活動している彼女たちである。噂を元にしているとはいえ、新聞に書かれることは好まないのではないかと思った。
しかし女たちは、そのことについてアズサを責めるわけではないようだった。

「…よく見ておきなさい。我々がどんな信念を持って、何をしているのか。その後でまた記事にするかを、考えればいい」

意外な言葉だった。
アズサはハッとして、覆面の隙間からわずかに覗いている女の目を見た。
しかし、総代を名乗るその女は視線をそらすかのように振り向いて、再び足元のカツヤに目を下ろした。

「立て」

厳しく言い放つと、カツヤは股間を片手でおさえ、もう片方の手で鼻血の出ている顔面をおさえながら、ゆっくりと立ち上がった。
カツヤの股間には、まだダメージが残っており、先ほどのような素早い動きはできそうもない。

「三浦カツヤ。お前は昨日、女子水泳部の部室に忍び込み、部員の下着数点を盗んだ。そしてそれを、そこにいる蒲田ユウジに売却しようとした。間違いないな?」

罪状を読みあげるかのように、女は言った。

「う、うるせえ!」

ようやくダメージから回復しかけていたカツヤは、力を振り絞って右拳を固め、目の前にいる総代を殴ろうとした。
しかし。

「うっ!」

突然、後ろから、先ほどカツヤの股間を蹴りあげた黒装束の女が、その腕をとって、カツヤを羽交い絞めにした。
そして間髪いれず、総代の右膝が、無防備になったカツヤの股間にめり込んだ。

「ぐおっ!」

「月下会の制裁は、お前が心から反省するまで続けられる。覚悟しなさい!」

「くぅぅ…」

総代の膝蹴りは、正確にカツヤの二つの睾丸を射抜き、その持ち主に恐ろしい痛みを味わわせている。
しかし彼女たちはそんなことを気にする様子もなく、淡々とした様子で、彼女たちの言う「制裁」の準備を始めた。
股間の痛みで全身を震わせているカツヤをひきずり、その両手を捻りあげ、大理石でできた大階段の手すりに、ロープで結び付けてしまった。
そして、素早くカツヤのズボンのベルトをほどくと、一気にズボンを脱がせてしまった。ピッタリとフィットしたボクサーブリーフがそこに現れ、その中心には、男の象徴である膨らみが、もっこりと盛り上がっている。
両足を黒装束の女二人がそれぞれ掴み、大きく股を開かされたその正面に、総代が立った。




「や、やめろよ…何すんだよ…」

すでに戦意を失っているカツヤにも、これから何が起こるのか想像できたが、それは決して現実になってほしくなかった。
一方のアズサは、この様子をどきどきしながら眺めている。

「あなた、男にとって最も苦しいことは、何だか分かるか?」

総代は突然、アズサに尋ねた。

「あ、はい…。その…なんでしょう?」

覆面の下でよく分からないが、アズサには彼女が少し微笑んでいるような気がした。

「それはここ、股間を責められることです。正確に言えば、二つの睾丸。我々月下会は、これを金星と呼んでいる」

「き、きんぼし…ですか…?」

あまりにも大胆な総代の物言いに、アズサは面食らった。
カツヤの股間に目を向けると、盛り上がった部分の下の方に、柔らかそうな球体が二つ、ブリーフを押し上げているのが分かる。

「金星は男の象徴であると同時に、男の欲望の根源でもある。悪事を働く男は、金星を痛めつければ、大人しくなる。覚えておきなさい」

「は、はい。わかりました」

アズサは大きくうなずいた。

「では、月下会の名において、制裁を始める!」

「お願いします!」

カツヤの足をおさえる女たちが、頭を下げた。

「や、やめろー!」

カツヤの叫びも空しく、総代の細く美しい脚が、カツヤの股間めがけて振りぬかれた。

パシィン!

と、先程を上回る強烈な炸裂音がした。
無防備にさらされたカツヤの二つの睾丸は、総代の脚と恥骨にはさまれ、驚くほど無残にその形を変形させた。

「はがっ!」

もはや、カツヤの痛みは言葉では言い表せない領域まで達していた。
呼吸が止まり、本人の意思とは無関係に、全身が痙攣を始める。
しかし、

パシィン!

と、寸分たがわぬ正確な蹴りが、再びカツヤの睾丸を襲う。
一瞬、カツヤの意識は遠のきそうになったが、さらに3発目、4発目と、総代の蹴りは止まらなかった。

「ほげっ! ぐえっ!」

叫びにもならない、ため息のような声がカツヤの口から洩れた。
その目は半分白目をむき、口の端からは細かい泡さえ出てきている。
しかし総代は、決して蹴りの威力を緩めることなく、黒装束の女たちも、痙攣するカツヤの足を離そうとはしなかった。
彼女たちは恐ろしいほど冷静に、眉ひとつ動かすことなく、カツヤが苦しむ様子を観察していた。

「すごい…」

アズサはアズサで、総代の蹴りの美しさや、女たちの毅然とした姿にほれぼれする思いだった。
要するに、この場にいる人間の中で、カツヤの苦しみと痛みを理解できたのは、いまだに動くこともできないで床に這いつくばっているユウジだけだったのである。
さっき攻撃された彼の股間の痛みは、すでにだいぶ引いていたのだが、女たちのあまりにも残酷な仕打ちに足がすくんで、動けなくなってしまっているのだった。

「よし。放してやりなさい」

十数発目の蹴りを打ち込んだ後、総代はようやく蹴るのをやめた。
女たちが足を放すと、カツヤは力なくうなだれてしまい、両手に結ばれたロープで全体重を支えるような体勢になってしまった。

「三浦カツヤ。お前は反省しているか?」

総代は息一つ荒げることなく、冷静な口調で尋ねた。

「…は…はひぃ…」

しかしカツヤの方は、すでに意識が朦朧として、声が言葉にならない状態だった。

「反省しているかと聞いている。反省していないのなら、さらに続けるが?」

すっと、黒装束の女たちがカツヤの足に再び手をかけた。
これに反応したカツヤは、涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を、必死で縦に振った。

「反省してる! してますから! 許して下さい。お願いします!」

総代はこれを聞いてうなずき、女たちは手を離した。

「見ましたか? 男は金星を痛めつけられると、途端に従順になる。単純なものでしょう」

総代は振り向いて、アズサに話しかけた。
アズサにとっても、これだけ激しく睾丸を責められる男を見たのは初めての経験だったので、興味深いものがあった。

「この学校は当初、女子校として作られました。創立者である綺堂院桜子先生は生前、男女共学になることに固く反対しておられた」

この話は、アズサも聞いたことがあった。
綺堂院桜子は、当時としては珍しい女権論者で、女性の権利向上のために高等教育の場を作り、それがこの学園の基礎になっているのだという。学園が男女共学になったのは、彼女の死後で、今から10年ほど前のことだった。

「清純なる女子の教育の場に、汚らわしい男などが入りこむべきではないと、桜子先生は考えておられた。男は女と一緒にいれば、必ず問題を起こすと。それはまったくもって正しかった!」

語りながら、総代はカツヤの股間に手を伸ばし、その睾丸を鷲掴みにした。
ぐえっ、と、カツヤの呼吸が止まる。

「男は性欲の塊。性欲を処理することがすべてで、その他のことはついでのようなものだ。その原因がこれだ!」

総代はカツヤの睾丸を捻りあげた。
カツヤは背筋を逸らして、悲鳴を上げる。

「この金星が、男のすべて。男の象徴であり、性欲の根源」

「か…あ…!」

カツヤの睾丸は、今にもちぎれそうなほどねじあげられていた。

「こんなものをぶら下げていて、不便だろう? これがあるから、お前達は性欲をおさえきれないんだろう? 私達女性は、男の性欲の多さとしつこさに、いつもうんざりしているんだ。いっそのこと、潰してみるか? そうすれば、女性に迷惑をかける男が一人減ることになる」

総代は囁くように、しかし冷酷な声で、カツヤに言い放った。
その雰囲気はとても冗談とは思えず、カツヤは去勢の恐怖に身をよじって震えた。

「は…や、やめて…」

「ふん!」

泣きながら首を横に振るカツヤの顔を見て、総代は手を離してやった。

「覚えておけ、三浦カツヤ。我々月下会は、いつも学園内に目を光らせている。今度お前が悪事を働けば、そのときは…」

今度こそ睾丸を潰すぞ、と言わんばかりの総代に、カツヤは必死で許しを乞うた。

「はい…。すいませんでした…。許して下さい…」

あまりにも圧倒的なその仕打ちに、カツヤは心底恐怖した。
逆に、屈強な男に見えたカツヤをまるで骨抜きにしてしまった総代たちの姿を、アズサはまるでヒーローを見る少年のような目で見ているのだった。




「さて。蒲田ユウジ。次はお前の番だ」

総代が振り向くと、ユウジは大きな体をビクッと震わせた。
ユウジは先ほどからずっと、うずくまったままでいる。逃げるチャンスはいくらでもありそうだったのだが、足がすくんで動けなかったのだ。

「ひ…。ゆ、許して…」

ユウジは奥歯を振るわせながら言った。

「三浦カツヤに裁きを加えている間、お前が逃げなかったことは評価しよう。反省しているものと受け止める。しかし、お前のような者がいるから、下着を盗もうとする者がいる。お前はそれを理解しなければならない」

総代の冷静な口調で、理路整然と説かれると、ユウジも黙ってうなずくことしかできなかった。

「よって、これからお前にも月下会の名において、制裁を加える。立て!」

総代の命令を受けても、ユウジはうずくまったまま、立ち上がることはできなかった。
それを予期していたかのように、素早く黒装束の女たちが回り込み、体を引き起こした。カツヤと同じように、ズボンをずりおろされると、トランクス一枚の状態になって、両脇を抱えられる様にして立たされた。

「これからお前の金星を、蹴りあげる。気絶しないように、意識が飛ばないように、手加減して蹴る。お前は痛みにのたうち回るだろうが、しばらくすれば、起きあがれるようになるだろう。その時になったら、また蹴りあげる。それを4回繰り返す。覚悟しなさい」

丁寧な説明だったが、それはユウジにとって恐怖以外の何者でもなかった。
すでに彼の意識しないままに、その両目から涙がこぼれ始めている。

「許ひて…お願いします…」

ユウジが泣きじゃくって懇願しても、総代以下、女たちの反応は冷めたものだった。

「それはできない。お前も男なら、覚悟を決めろ。まあ、男だからやめてほしいのかもしれないが…」

総代のつぶやきに、女たちは小さく笑った。
その光景を後ろから見ていたアズサもまた、ユウジのあまりの必死さに、吹き出してしまっている。彼女たちにとっては、男たちがこれほど恐れる金玉への攻撃というものが、おかしくてしょうがないらしかった。
他のどこを攻撃しようとしても、これほど男が恐怖することはないだろう。しかも、痛みに耐えるとか我慢するとか、そんなこともできないらしい。
あの二つの小さなピンポン玉のようなものを叩くだけで、何がそんなに痛いのか。また、そんなものを男たちはなぜ無防備にぶら下げているのか。彼女たちには一生理解できることではなかった。

「では、月下会の名において、制裁を始める!」

「お願いします!」

「せいっ!」

総代の長い脚が、再び男の股間めがけて跳ね上げられた。

「むぐぅっ!!」

ユウジは豚のような悲鳴を上げて、息をつまらせた。
総代が足を引くと同時に、両脇を抱えていた女たちも、その手を放した。
ユウジはたまらず両手で股間をおさえて、床の上にうずくまってしまった。

「ぐぐぐぐ…!」

歯を食いしばって痛みに耐えようとするが、まったく意味がない。
他の場所を攻撃されるのとは、訳が違うのだ。金的を攻撃された男は、絶望的な痛みに耐えながら、ただ時間が過ぎていくのを待つしかないのである。

「少し手加減しすぎた。次はあなた。その次はあなたに任せましょう」

総代は、黒装束の女たちに指示を出した。
そしてアズサの方を振り向くと、

「あなたも、蹴ってみる?」

意外な言葉だった。
アズサも驚いたが、総代に従っていた黒装束の女たち二人も、驚いた様子だった。
しかしアズサは、ほとんど反射的にうなずいてしまった。

「は、はい。お願いします!」

総代はうなずいて、覆面の下で微笑したようだった。
一方のユウジは、彼女たちのそんな会話に耳を貸す余裕もなく、細く長い深呼吸を繰り返して、ようやく体を動かそうとしているところだった。

「では、次」

冷酷すぎる言葉だった。

「ひ…ひぃ…!! もうやめて…」

抱き起こされたユウジは、涙を流しながら叫んだ。
しかしまたも、彼の体は女性たちによって引きずり起こされ、無理矢理に足を開かされた。
抵抗しようにも、もはや彼の体にその力は残っていない。

「ダメだ。制裁は最後まで続ける。それが月下会の掟だ」

「いきます!」

無情なほど正確に、黒装束の女の膝蹴りが、ユウジの股間に炸裂した。

「あごっ!!」

ユウジは自分の睾丸が、彼女の膝と自分の恥骨に挟まれて押し潰されるのを、はっきりと感じた。それは時間にしてみればほんの一瞬のことだったが、ユウジにとっては、これから訪れる地獄のような時間の幕開けのようなもので、できればこの瞬間に気絶したいとさえ思った。

「はあっ! あっ! あっ!」

彼の意志とは無関係に、ユウジの体は激しく痙攣し、文字通り床の上でのたうち回った。
いったい、彼の体のどこに、こんなに素早く動く力が残されていたんだろうと思うほど、激しい動きだった。

「いい蹴りだ。素晴らしい見極めね」

「はい。ありがとうございます!」

総代にほめられて、黒装束の女は、うれしそうに頭を下げた。
どうやら、気絶するギリギリのところを見極めて、彼女はユウジの股間を攻撃したらしかった。
男の急所の痛みは分からないにしても、彼女たちは経験で、そんな技術を見につけているのかと思うと、アズサは純粋に彼女たちに尊敬の念を抱いてしまった。

「では、次」

「はい!」

再びユウジの体が引きずり起こされた。

「…や、やめて…。もう…。お金…払う…から…」

不良にカツアゲされた記憶でもよみがえったのか、ユウジは朦朧とした意識の中でつぶやいた。
総代を含めた黒装束の女たちは、顔を見合わせて、呆れたような目をした。

「分かった。じゃあ、もう、蹴らないでやろう」

脇を抱えた総長が言うと、ユウジの顔がパッと明るくなった。

「ホ、ホントに…?」

次の瞬間、ユウジの目の前で黒装束の女がしゃがみこみ、股間に向かって、強烈なパンチを突き上げた。

「ぎゃはっ!!」

女の拳は、ユウジの睾丸を正確に貫いた。金玉袋の裏側、斜め45度から突き上げて、縮み上がったペニスに向かって拳が通り抜けたとき、ユウジの全身の神経は、痛みというシグナルにすべて支配された。

「あぁっ!! くくっ…!!」

これで都合4回目、ユウジはのたうち回ることになる。
大理石の床に頭を打ちつけようが、足をばたつかせようが、その痛みはまったく治まる気配がなかった。
金玉を潰さずに、最も苦痛を与える方法を、女たちは熟知しているようだった。




「蒲田ユウジ。我々は、金銭のためにこんなことをしているわけではない。これは、お前が反省するかどうかという問題だ。お前は反省しているのか?」

「……っつ!!」

息をつまらせながら、ユウジは必死にうなずいた。
もはや、声も出すことができない様子だった。

「よろしい。それでは、あなた。こっちへ来なさい」

総代はうなずくと、アズサを招きよせた。
それに合わせるように、黒装束の女たちは、ユウジの体を抱き起した。
しかし、もはや自分の力では指一本動かせないほどに消耗したユウジの肥満体は重く、彼女たちの力を合わせても、上半身を起こすだけで精いっぱいだった。

「次は、あなたの番だ。男の金星を蹴る。できるかな?」

「あ…は、はい! でも…本当にいいんですか?」

アズサが少しためらいがちに尋ねると、総代は何か考えるかのように小首をかしげて、長い髪が美しく揺れた。
アズサはその姿に、なぜか既視感を覚えたが、それも一瞬のことだった。

「蒲田ユウジ。この男の部屋で見つかったものを、あなたは知ってる?」

「え? い、いいえ…」

「女物の下着が二十数点、学園指定のスクール水着が5点、学園の女子の制服が2点、さらに、学園の小等部のものと思われる女子の体操服が4点。いずれも盗まれたものだろう。さらに、この男がそれらを使用した形跡も確認された」

「え…! それって…」

「そう。この男は、常習犯だ。この男がお金で買い取っているから、下着の盗難が後を絶たないのだ。自分では手を汚していないつもりかもしれないが、実際はこの男が、最大の悪と言えるかもしれない」

アズサは絶句した。自分が思っている以上の変態行為が、目の前の男によって行われていたと知ると、気味が悪いと同時に、怒りさえもこみ上げてきた。

「そして、その諸悪の根源が、この男の金星だ。この男の変態的な欲望は、すべて金星から生み出され、たくさんの女子生徒が被害にあっているのだ。だとすると、我々は女性を代表して何をしなければならないか。わかるな?」

「はい! 蹴ります! 蹴り潰してやります!」

迷いのない、まっすぐな返事だった。
それを聞いた総代は、覆面から覗く眼だけで笑い、うなずいた。

「やってみなさい。そう。少し、狙いやすいようにしてあげよう」

そう言うと、総代はしゃがみ込んで、ためらうことなくユウジのトランクスを脱がしてしまった。
アズサは一瞬、驚いたが、トランクスの下から、腫れ上がったユウジの二つの睾丸が顔を出すと、怒りと憎しみに満ちた目で、それを見つめた。

「ここに、二つの金星がある。これを狙いなさい。最初はつま先で、思い切り。その方が、確実でしょう」

「はい!」

大きく開かれたユウジの足の間で、アズサは身構えた。
ユウジの意識は朦朧としていたが、目の前の少女が、すさまじい殺気のこもった眼で自分の股間を見つめていることは、本能的に感じた。

「ひ、ひぃぃ…!」

思わず悲鳴を上げたが、もはやアズサはためらわなかった。

「この、変態っ!!」

ガスッ! と、アズサの右足のつま先が、腫れ上がったユウジの睾丸を二つとも押しつぶした。

「ぎゃうっ!!」

ユウジは一声上げると、そのまま白目をむいてしまった。
女たちが手を離した瞬間、その巨体はどさりと崩れ落ち、口からは泡を吹きだしていた。
ユウジの睾丸は、潰れたわけではなさそうだったが、赤黒く腫れたその様子は、良くて内出血。おそらくは睾丸打撲などの状態であると思われた。

「ハア…ハア…」

アズサは、自分のやったことがまだ信じられないようで、荒い息をしながら、呆然と宙を見つめていた。

「よくやった」

総代に肩を叩かれて、我に返った。

「あ、あの…私…。大丈夫ですか?」

どういう意味で言ったのか、アズサ自身にも分からなかった。

「今夜の一件は、すべて月下会の制裁によるものです。あなたは何も心配しなくていい。でも、学園新聞に載せるときは、気をつけなさい。学園警察に、自分の名前を加えてしまわないように」

総代は小さく笑ったようだった。
そのままくるりと背を向けて、黒装束の女たちは、立ち去ろうとする。

「あ、あの…! 私…私も…」

アズサが言いかけた時、総代が少しだけ振り向いた。

「我々は、あなたのような人材を待っている。時が来れば、こちらから迎えに行くでしょう。またその時にね。アズサさん」

アズサはその声に、ハッと気がついた。
今までは、わざと声色を変えていたのか。自分の名前を呼んだその声は、アズサがよく知るあの美しい声だった。

「あ、副会長…?」

総代はその問いかけには答えずに、旧校舎の暗がりの中へ、姿を消してしまった。
男の愚かさと脆さ、女の強さと美しさ。そして、憧れの副会長の新たな一面を発見した夜だった。




翌日の放課後。
刷り上がったばかりの学園新聞を持って、アズサが生徒会室に飛び込んできた。

「先輩! 副会長! 見てください。『月夜の裁き! 学園警察が下着盗難事件を解決!』 これ、私が書きました!」

ちょうど生徒会室にいた副会長の南サヤと、書記を務める2年の男子が、それを読んだ。

「なになに…。『先日、女子水泳部で起きた盗難事件の犯人、三浦カツヤと蒲田ユウジは、盗んだ下着とともに、気絶した状態で発見された。二人は何者かに、襲撃され、股間の急所を痛めつけられたようで、学園は二人の処分を検討している』…へー」

アズサが書いた記事を、書記の男子が読み上げるのを、サヤはほほ笑みながら聞いていた。

「『本誌記者は、この事件が先日来、学園の噂となっている学園警察のものであることを確信し、さらに真相を追求すべく、鋭意取材中である』と。ふーん。学園警察ねえ。ホントかよ、これ?」

「ホントですよ。そうですよね、副会長?」

アズサの問いかけに、サヤは微笑した。

「そうね。面白いわね」

「しかし、学園警察かなんか知らないけど、下着盗んだくらいで、気絶するほど金玉蹴らなくてもいいんじゃないかなあ。男には、どうしてもムラムラしちゃうときがあるんだよなあ。下着ぐらい、ほっとけば…」

書記の男子がそんなことを言うと、アズサがキッと顔を向けた。

「先輩! そんなこと言ってると、先輩のところにも来ますよ。学園警察が!」

すると、その男子はビクッと体を震わせた。

「い、いや…。俺が言ってるのは、そういう意味じゃないよ。違うって…」

本人も気づかないうちに内股になって、股間に手を当てているその姿に、アズサは吹き出してしまった。

「アハハ! 先輩、なんですか、その格好! アハハ!」

「フフフ…」

サヤもまた、アズサと共に笑い出した。
女の子二人は、男子の情けない姿を見て、しばらくは笑い続けていた。


終わり。


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