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男の絶対的な急所、金玉。それを責める女性たちのお話。
ある寒い冬の朝。大学生の奥田ユウジは、巨体を揺らして自宅マンションの階段を登っていた。
こんな時間に学校へも行かず、自宅に帰ってきたのは、マンガ喫茶で夜を明かしたためで、これからゆっくりと眠りにつくつもりだった。
大学生といってもユウジは留年を繰り返し、年齢はすで25歳になろうとしていた。
授業にはほとんど出席せず、バイトは気が向いたときだけして、親からの仕送りで生活する。絵にかいたような無気力な学生だった。

部屋のドアに鍵を差し込むと、意外にも鍵は空いていた。
うっかり閉め忘れてしまったかと思い、疑う様子もなくドアを開けた。
すると、八畳ワンルームのユウジの部屋には見知らぬ女性の姿があった。

「あれ…?」

ユウジには最初、事態が飲みこめなかった。
うっかり寝ぼけて違う部屋のドアを開けてしまったかと思ったが、ここは確かに見覚えのある自分の部屋である。
泥棒かと思ったが、長身で痩せ型のその女性は、ジャケットにタイトスカート姿で、とても泥棒とは思えなかった。

「奥田さん? お帰りなさい。お邪魔しています」

玄関でユウジが立ちつくしていると、女性の方から声をかけてきた。

「昨日の夜も来たんだけど、今朝もいなかったので、合い鍵を使わせてもらいました。私は、このアパートの管理をしている南沢といいます」

ユウジが尋ねる間もなく、女性は自ら説明し始めた。
きびきびとした様子で胸ポケットから名刺を取り出し、ユウジに渡す。
名刺には、南沢ヒトミという名前が書いてある

「早速ですが、奥田さんには、この部屋を出ていって頂きたいと思います。クリーニングの手配などがありますので、できるだけ早いうちに。今週中にでも」

「え?」

ユウジには、何の話かまったくわからなかった。
突然、自分の部屋に見知らぬ女性が現れて、部屋を出て行けという。
アパートの管理者だか何か知らないが、これを理解しろという方が難しいだろう。

「え…どういうことですか?」

ようやくそれだけ尋ねることができたが、ヒトミはユウジの動揺を予測していたように、淡々と説明を始めた。

「奥田さん、ここは学生専用の建物なんです。大学の学生が住む所なんですよ。奥田さんは今、いくつになりますか? だいぶ長い間、学校に通っているようですけど。ここに入りたいという学生は毎年多いのに、いい加減、出ていってもらわないと、困るんですよ」

「え…いや…それは…。ボクだって、一応、学生ですよ!」

「奥田さんの教授にも、話を聞いてきました。教授は、奥田さんのことなんか、顔も知りませんでしたよ。一度も授業に出ていないそうですね。その調子で、何年留年してるんですか? それで学生と言えるんですか? 真面目に大学に通う気がないなら、辞めればいいと、教授もおっしゃってましたよ」

ユウジは愕然とした。
確かに、自分がどの教授の授業に登録していたか、自分でもすぐには答えられない。
最後に学校に行ったのは2週間ほど前、参加しているアニメサークルの集まりのときだった。

「一番の問題を言います。奥田さんがこの学生寮に出入りしていると、他の学生さんたちが気味悪がるんですよ。ここには、最近女子生徒が多く入居していますから、いっそのこと女性専用にしようかと思っているところなんです。そんな所に奥田さんみたいな人がいたら、困るでしょう?」

極めて侮辱的なことを、ヒトミははっきりと言ってのけた。
確かにユウジの風体は、肥満し、髪の毛はボサボサで、無精ひげを生やし、いつも同じような着古したジャージを着ている。お世辞にも清潔そうには見えなかった。
むしろ、ニートのオタクとはこういう男のことだという、見本のような格好をしていた。

「そ、そんな…そんなこと…!」

とはいえ、あまりにも一方的な言い分に、ユウジは怒りを覚えざるを得なかった。
しかし、普段からほとんど人と接することがなく、まして若い女性と話をすることなど、いつ以来か分からないほどのユウジは、すぐに言葉が出せなかった。
ヒトミはそんなユウジの様子を、冷ややかな目で見つめている。
長い黒髪を軽く掻きあげる動作でさえ、ユウジを小馬鹿にしているように見えた。

「でも、本当にうわさ通りですね。オタクっていうのかしら。この部屋。気持ち悪い…」

遠慮も何もなく、そう言った。
確かにユウジの部屋は、壁一面アニメやゲームの女性キャラクターのポスターで占められており、床には服や雑誌の類が乱雑に散らかっている。その反面、ズラリと並んだフィギュアの棚だけは、キレイに整頓されているのだ。
そのフィギュアも、アニメに出てくる女の子のものばかりで、ほとんどが半裸か全裸に近いようなものだった。
ヒトミのような興味のない人間からすれば、確かに気色の悪い光景だったろう。

「何、これ? こんなものを集めて、何してるんですか?」

ふと、ヒトミはフィギュアの一つを手に取った。
それはユウジが最近手に入れたもので、とあるアニメのキャラクターのフィギュアだった。そのキャラはとても人気があり、ユウジもネットオークションなどを駆使して、ようやく手に入れたものだった。

「あ…! それは…」

「こういうもので、何をしているんですか? こんな子供みたいな女の子に興味があるなんて…。変態…」

さすがに、最後の一言だけはつぶやくように言ったが、ユウジの耳にはしっかりと聞こえていた。
ユウジは、徐々にこみ上げてきた怒りに全身を震わせた。
勝手に人の部屋に上がり込んで、言いたい放題に言い、あまつさえ自分が何より大切にしているフィギュアまで馬鹿にされて、怒らないはずがない。
普段は大人しく、他人と口喧嘩さえしないユウジだったが、ヒトミのあまりの仕打ちに、キレてしまった。

「そ、それに触るなー!!」

ユウジは叫びながら、ヒトミに向かって行った。
ヒトミに危害を加えようというつもりではなかったが、とにかく彼女の手から大事なフィギュアを取り戻したかったのだ。
ヒトミはしかし、驚く様子もなく、その場から動かなかった。
相変わらず蔑むような目で、ユウジが怒り狂うのを見ている。

「返せっ!」

ユウジはヒトミの手首を掴んで、フィギュアを取り返そうとした。
しかし次の瞬間。

「うぐっ!!」

股間に鋭い痛みを感じ、ユウジは息をつまらせた。
ヒトミの細い膝がユウジの金玉にめり込み、恥骨に挟み込んで圧迫したのである。

「あ…か…!」

肥満したユウジの体は、無残にも床に崩れ落ちた。
先ほどまで沸騰しきっていた怒りも、頭から血の気が引くように、一気に冷え込んでしまう。

「言っておきますが、これは正当防衛ですからね。こんなもの。言われなくても返すわ」

汚いものでも投げ捨てるかのように、ヒトミはフィギュアを床に捨てた。
そして、先ほどユウジに掴まれた手首を、忌々しそうにハンカチで拭くのである。

「奥田さん。アナタが女性を襲う危険性のある人物であることが、今のではっきりとわかりました。アナタのような犯罪者予備軍を、これ以上ここに住まわせることはできません」

うずくまって金玉の痛みに打ち震えるユウジの頭上から、言い放った。

「明日中に、荷物をまとめて出ていってもらいます。従わない場合は、法的な措置を取らせてもらいますので、そのつもりでいてください」

冷酷すぎる言い様だった。
痛みで頭が真っ白になっているユウジにも、ことの重大さは理解できた。
奥歯を噛みしめて、痛みに耐えながらふと目を上げると、そこにはスラリと伸びたヒトミの両脚がある。
ストッキングに包まれたその脚は、いかにもしなやかで繊細で、この脚がユウジに絶望的な痛みを与えたものとは、にわかに信じ難かった。
さらにその脚を見上げていくと、ほどよく肉づいた太ももと、官能的な腰回りのラインが見える。
ユウジは痛みに震えながらも、男として、その曲線美に興奮を感じざるを得なかった。

「……?」

ヒトミはそんなユウジの視線に、最初は気がつかなかったが、やがてそれが自分に向けられた性的欲望だと直感すると、みるみる眉を吊り上げた。

「どこ見てるの! この、変態!」

うずくまって股間をおさえているユウジの横に回り込んで、脂肪が折り重なったその脇腹に、つま先で蹴りを入れた。

「ぐえっ!」

「変態! 変態!」

ヒトミはさらに蹴り続け、さらにユウジの頭を踏みつけた。

「あ…うう…!」

ユウジの顔面は床に押し付けられ、無様に変形した。

「明日、また来るわ。そのときに準備ができていなかったら、大学にもこのことを報告しますからね。襲われそうになったといえば、退学は間違いないわよ。いいわね?」

ユウジは踏みつけられた頭を、わずかに縦に動かした。
ヒトミの声は荒々しく興奮してはいなかったが、有無を言わせぬ静かな迫力があった。

「それから、二度と私に触ったり、変な目で見たりしないで。汚らわしい。もしまた変な気を起こしたら、一生後悔させてあげるわ。いいわね?」

ユウジの目には、涙が浮かんでいた。
自分より遥かに小柄な女性から受けた痛みと屈辱に震えながら、うなずくことしかできなかった。
 
「それじゃあ、よろしく」

ようやくユウジの頭から足を下ろすと、何事もなかったかのように、部屋を出ていった。
後に残されたユウジが、起きあがることができたのは、その数十分後のことだった。


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金玉の痛みから回復したユウジが始めたことは、引越しのための荷作りではなかった。
この部屋を出ていく気など、さらさらない。というより、彼にはこの部屋を追い出されてしまえば、行くあてがまったくなかったのだった。

「くそ…あの女! くそっ!」

恨みごとをつぶやきながら、パソコンの画面を見つめている。
探しているのは、ヒトミをどうやって黙らせるかという方法だった。
住居や賃貸契約に関する法律でも調べれば、少しは議論の余地がありそうなものだったが、ユウジの頭の中には、ヒトミ個人への怒りが渦巻いていたのだ。
ヒトミを屈服させてやることが、この部屋に住み続ける唯一の方法だと信じて疑わなかった。

「ん…?」

ユウジが注目したのは、

『気が強そうな女は、本当は支配されたがっている。強引でも強気で行けばOK』

という記事だった。
ネット上に蔓延する、何の根拠も責任もない記事だったが、人生経験の浅い人間ほど、こういう見出しにとらわれやすい。
さらにユウジは、

『女の奥底にあるレイプ願望』

とか

『女性は一度関係を持った男に弱い』

などという記事に目を留めていった。

ヒトミが看破したように、彼は現実の女性に興味を持つことが少ない方だった。はっきり言ってしまえば、二次元専門だったのである。もちろん童貞だったが、本人は何とも思っていなかった。
それが、出会いの形は最悪だったにしろ、ヒトミという魅力的な女性と接触したことで、ユウジの中の原始的な男の欲望が目を覚ましつつあった。
それは屈折した形だっただけに、燃え上がり方も激しく、同時に陰湿で、ユウジは自分の発想がすでに犯罪の世界に足を踏み入れていていることも分からないようだった。

「そうか…。そうすればいいんだな…」

暗い目つきでつぶやいている自分の顔が、明らかに犯罪者予備軍のそれであることに、ユウジは気がつかなかった。



翌日の昼すぎ。
再びアパートを訪れたヒトミは、ユウジの部屋に引っ越しの気配がまったくないことを見ても、むしろ予想通りという顔をしていた。
昨日はああ言ったものの、さすがに一日で準備ができるはずがない。
ユウジの抵抗は予想外だったが、昨日の訪問は脅しをかけるつもりだったのである。
かといって、ここで手を緩めれば埒が明かないのも確かなので、今日もこっぴどく脅かしてやるつもりで来たのだった。

「奥田さん! いるんですか?」

玄関のチャイムを押しても反応がないので、ドアをノックしてみた。
それでも反応がないので、ドアノブをまわしてみると、鍵がかかっていない。
ヒトミは不審に思いながらも、勝手知ったる部屋なので、昨日と同じようにドアを開けて中へ入った。

「奥田さん?」

部屋の中はカーテンが閉められているようで、薄暗く、よく見えなかった。
ただ、ユウジの姿はないようで、部屋の中の荷物もまったく整理された様子はなかった。
ヒトミは不審に思いながらも、自分の警告にまったく従わなかったユウジに怒りを感じた。
棚の上には、相変わらず女の子のフィギュアが並んでおり、それらがすべてヒトミの方を見つめ、あざ笑っているかのような気味悪さを覚えた。

「まったく…! あの変態野郎!」

ユウジが部屋にいないと見て、思わず悪態をついた。
すると突然、背後からユウジの巨体が覆いかぶさるようにして抱きついてきた。

「きゃあっ!」

ヒトミは思わず悲鳴を上げた。
ユウジは鼻息を荒くして、ヒトミの両腕を包むように抱き締めようとする。

「し、静かにしろ!」

耳元で、ユウジが囁いた。
ユウジの息遣いがすぐ側に感じられて、背筋に悪寒が走ったが、その力は思いのほか強く、振りほどけなかった。

「何! 何をする気!」

ユウジは無言のまま、ヒトミをベッドに押し倒した。
うつ伏せになったところに肥満したユウジの巨体が覆いかぶさってきたので、一瞬、呼吸ができなくなるほどの圧迫を感じた。

「うっ!」

さらにユウジは、どこにそんな力が隠されていたのか、うつ伏せになったヒトミを軽々とひっくり返して、仰向けにしてみせた。
昨日と同様、スーツ姿にワイシャツを着ていたヒトミの乳房が、重たそうに揺れた。
二次元とは違う、柔らかそうな胸の膨らみを見て、ユウジの心にも火がついたようだった。

「お、お前が悪いんだからな! 俺のものにしてやる!」

準備していたようなセリフを、たどたどしく叫んだ。
ヒトミはしかし、意外なほど静かな表情で、興奮した様子のユウジを見上げていた。
ユウジはそれを見て、自分の計画通りヒトミが観念したものと思った。

『女はセックスをすれば、言うことを聞くようになる』

昨日見た記事が、頭の中に浮かんだ。

ヒトミのワイシャツに手をかけて、不器用な手つきでボタンを外していった。
胸の部分を数個外しただけで、ピンク色のブラジャーに包まれた、豊満な乳房が顔を出した。

「ふうっ…ふうっ!」

ユウジの息遣いはますます荒くなり、その股間は、ジャージを突き破らんばかりに膨張していた。
一瞬のためらいの後、思い切ってヒトミの乳房に両手を当てると、予想を遥かに超える柔らかさがあった。

「ふおおっ!」

柔らかいだけでなく、適度な弾力もあり、ユウジにとってはまったく未体験の感触だった。
もはや理性も何もなく、乱暴に揉み続けると、ヒトミがかすかに声を上げた。

「あ…ん…」

ヒトミは感じている。
ユウジはそう確信した。自分の計画に、まったく誤りがなかったということである。
こうなれば、このままヒトミを犯してしまっても、まったく間違いはない。
そう思ったユウジは、一気にヒトミのスカートをずり下ろして脱がそうとしたが、タイトスカートは引っかかって、なかなか脱がせられない。
女性の服の知識などまったくないユウジには、どうやって脱がすのかも分からなかったのだ。

「……」

そんなユウジに痺れを切らしたのか、ヒトミは自らスカートのホックを外し、ファスナーを下ろしてやった。
それを見て、ユウジはますます、ヒトミは自分に服従していると思った。
いつも冷やかに見ているネットの記事に、今日ほど感謝したことはない。
感動すら覚えながらスカートを下ろすと、パンティストッキングに包まれたヒトミの下半身が目の前に現れた。

扇情的な脚のラインは、ストッキングによってその形を強調され、しおらしく折り曲げられている。
さらにパンストのセンターに入った縫い目は、男にとっては股間の割れ目を連想させ、パンティに食い込んでいる様子が無性にいやらしい。
ユウジは、とてつもなく高価な宝石や美術品を目の当たりにしたように、ヒトミの下半身に見入ってしまった。

「私とやりたいの…?」

突然、時間が止まったかのように動かなくなったユウジに、ヒトミは声をかけた。
ユウジはハッと我に返り、大きくうなずいた。

「そ、そうだ! お前を…俺の…俺の…」

ヒトミを服従させるようなセリフを準備していたはずが、頭の中が真っ白になってしまった。
ヒトミは不思議なほど冷静な表情で、顔を真っ赤にして興奮しているユウジを見ていた。

「いいわ…。アナタも脱いで…」

ユウジはこの言葉に、雷に打たれたように体を震わせた。
無言のままうなずくと、すぐにジャージのズボンに手をかけて一気にずり下ろした。
トランクスの下では、すでにイチモツが限界まで膨張し切っている。

「すごい…。興奮してるのね」

ヒトミは体を起こして、大きくテントを張っている股間に顔を近づけると、そっと、天を突きさす肉棒に手をかけた。

「はあうっ!」

ユウジは思わず声を上げた。
トランクスの布ごしとはいえ、女性に性器を触られたことなど初めてで、今にも射精しそうだった。

「フフフ…」

ヒトミは小さく笑いながら、左手をゆっくりと動かし始めた。
例えようのない快感が、ユウジの下半身を溶かしていく。
ほんの何擦りかしただけで、ユウジの尻の筋肉は、射精を我慢するように緊張し始めた。

「ハア…ハア…」

全身を弓のように反らして、目を閉じ、今にも射精するかと思った時、ヒトミの右手が素早く動いた。

「ふぎゃあぁっ!」

突然、握りしめられた金玉の痛みに、ユウジは思わず叫んだ。
ヒトミの右手はユウジの金玉袋を掴み、爪を立てて、下に向けて引っ張るように握りしめたのである。
射精寸前で、尿道まで上がるかと思われていた精液は急速に戻ってしまった。さらにヒトミは、左手で勃起したイチモツをへし折らんばかりに捻っている。

「ぎゃあぁぁ!!」

快感の絶頂から突然突き落とされた地獄の苦しみに、ユウジは泣き叫ぶしかできなかった。

「うるさい!」

ヒトミの右手には、渾身の力が込められていた。
美しく手入れされた爪が、金玉袋を突き破らんばかりに食い込んでいる。

「この変態野郎っ!!」

ヒトミはあるいは、本気でユウジの金玉を潰すつもりで握りしめているようだった。
やがてユウジの呼吸が小さくなり、口から泡を吹いて痙攣しだすと、限界ぎりぎりまで変形した二つの睾丸を、ようやく解放してやった。

「ひっ…ひ…」

ユウジは無言のまま、ドサリとベッドに倒れ込んだ。両手で金玉をおさえ、昨日と同じような体勢でうずくまってしまう。
ヒトミは、ずり下ろされたスカートを無表情に履き直し、シャツのボタンをとめると、ベッドから立ち上がって洗面所に向かった。
やがて水が流れる音がして、ヒトミが手を洗っている様子が分かった。
その間も、ユウジはただ、とめどなく押し寄せる痛みに体を震わせることしかできないでいる。

「ふう…」

洗面所から出てきたヒトミは、小さくため息をついて、部屋の中を見回した。

「カメラ。しかけてるはずよね? どこにあるの?」

尋ねたが、ユウジは答えるどころではない。
ヒトミもあまり期待していない様子で、部屋の中を勝手に探し回った。
やがて、フィギュアが並んでいる棚の奥に、ビデオカメラのレンズらしいものを見つけた。

「あった」

ガラクタを押しのけるようにしてフィギュアをなぎ倒し、小型のビデオカメラを取り出した。

「私をレイプして、言うことを聞かせる。ビデオを撮って、ばら撒くと脅す。気持ち悪いオタクの考えそうなことだわ」

ヒトミはつぶやきながら、ビデオカメラの映像を確認していた。

「せっかくだから、これは私が使わせもらうわね。これを警察に持ち込めばどうなるか。そういうことまで考えたの? バカね」

ヒトミがビデオカメラを置くと、ユウジもようやく少し回復したようで、汗でびっしょりになった顔を上げた。

「まあでも。このマンションから犯罪者が出たりしたら、こっちも迷惑するのよね。これは最終手段として、やっぱりアナタには自発的に出ていってもらうのがベストかしら」

恐怖と混乱に満ちたユウジの顔を見つめながら、つぶやいた。
その冷静すぎる態度が、さらにユウジの恐怖を煽った。

「あの…す、すいませんでした…。つい、出来心で…」

股間をおさえてうずくまりながら、謝罪した。
こうなってしまえば、圧倒的に不利なのは自分の方だと悟ったのだ。
ユウジが自ら立てたこの計画自体、彼自身を陥れる以外の何者でもなかったのだが、昨日、ヒトミに痛めつけられて以来、怒りでそれに気がつかなかったのだ。
今、金玉の激しい痛みが彼を冷静にさせ、自分の置かれた状況を分からせたのである。




「出来心ね…」

ヒトミはしかし、表情を崩さず、ポケットから白い手袋を取り出して両手につけた。
そしてうずくまっているユウジに歩み寄ると、その鼻面に、思い切りビンタを入れた。

「ひゃっ!」

女の子のような声を上げて、ユウジはのけぞった。
巨体がベッドを揺らし、足を大きく広げて、股間をさらしてしまう。
ヒトミは先ほど痛めつけた金玉を、トランクスの薄い布ごしに再び握りしめた。

「昨日、言ったわね? 一生後悔させてあげるって。聞いてなかったのかしら? それとも、私の言葉が理解できないくらいバカなのかしら? どっちなの?」

「ぎゃあぁ!」

再び男の最大の痛みに襲われたユウジは、身も世もなく叫んだ。

「ねえ、どっちなの?」

答えを要求するかのように、ヒトミはさらに強くユウジの金玉を握りしめた。
ユウジはたまらず、叫ぶようにして答えた。

「バ、バカでした! ボクがバカでした。ごめんなさい! ごめんなさい!」

「そう。バカなの。だったらもう、しょうがないわね。バカには体で分からせないと」

囁くように、ヒトミは言った。
ユウジは背中に冷たい汗が流れるのが分かった。
今、自分の命の次に大切な金玉が、彼女の手の中にしっかりと握られていて、その生殺与奪まで彼女に握られていると思うと、心の底から恐ろしくなってきたのだ。

「立って、奥田さん。ゆっくりでいいから。ほら。少し緩めてあげるから」

言葉通り、少しだけヒトミの手が緩んだが、ユウジの体はまだとても立ち上がれるほどではなかった。
でっぷりと突き出た腹を揺らして深呼吸していると、ヒトミは痺れを切らしたように叫んだ。

「立て! この変態!」

「ぎゃああ!! はいぃ!」

白い手袋が金玉袋に食い込み、それを引っこ抜くようにして持ち上げると、ユウジの巨体がようやく立ち上がった。

「そう。立てるじゃない。まったく、大げさなんだから」

ヒトミは呆れ顔でそう言ったが、ユウジにしてみれば、必死の思いで力を振り絞ったのだった。
男にとって金玉がどういう器官で、それを握られるとどういう痛みがあるのか。まったく理解できないヒトミだからこそ、ここまで乱暴なことができるのだろう。
今、ユウジは膝から力が抜けて崩れ落ちそうになるのを、とめどない痛みの中で必死にこらえているのだった。

「少し、話をしましょうか。ねえ、奥田さん。あなたこの部屋で、いつも何してるの? 学校にも行かないで。アルバイトもしてないんでしょう? 何をしてるのかしら?」

金玉を握る手は決して緩めようとせず、ヒトミは話しかけた。
彼女の手が、マッサージのように金玉を揉みしだくたび、ユウジは呼吸が止まる思いだった。

「いつもは…ゲームとか…テレビとか、見てます…ウッ!」

「そう…。じゃあ、この気持ち悪い人形たちは、何のために置いてあるの? これ全部、アナタが買ったの?」

「こ、これは別に…。気持ち悪くなんか…あうっ!!」

ヒトミは棚に並べてあるフィギュアの一つを手に取った。
改めてよく見てみると、そのフィギュアは全裸の女の子で、細部まで細かく作り込んであるらしかった。

「ヤダ…。この人形、こんなところまで作ってあるの…? ホント、気持ち悪いわね」

そのフィギュアは足を大きく広げた挑発的なポーズをとっており、その豊満な乳房にはピンク色の乳首が、その股間には、女性器の形が緻密に再現してあるようだった。

「これを見て、何してるの? これでオナニーしてるの?」

聞かれたユウジが恥ずかしくなるくらい、ハッキリと尋ねた。

「いや…。は、はい…。その…たまに…ですけど…」

「そうよね。こんなに可愛くて、エッチなポーズしてたら、興奮しちゃうわよねえ。こんなのを毎日見てたら、私の裸なんかじゃ興奮しないんじゃないかしら? ねえ、どうなの?」

いたぶるような口調だった。
ユウジは恐怖と痛みに震えながらも、先ほど目に焼きついたヒトミの下半身を思い出していた。

「あ…いや…それは…ぎゃあぁっ!!」

不意に、ヒトミが強烈な力でユウジの金玉を捻り上げ始めた。
ユウジの体からは痛み以外の感覚がなくなり、膝から崩れ落ちそうになる。

「バカじゃないの? 今、想像したでしょ、私の裸を? 想像してんじゃないわよ! さっき見た私の下着のことも、すぐ忘れなさい。今すぐ!」

ユウジは床に倒れ込みたかったが、ヒトミが金玉袋を放さない限り、それはできなかった。

「わ、忘れます! すいません! 忘れますから!」

ユウジは必死に叫んだ。
事実、痛みで頭が真っ白になってしまっている。
ヒトミは少しだけ、手を緩めてやった。

「まったく。アナタみたいな変態のオナニーのネタにされてるかと思うと、気持ち悪くなるわ。アナタ、セックスしたことあるの?」

「い、いえ…」

「そうよねえ。スカートの脱がし方も知らないんだから、そうだと思った…」

言いながら、ヒトミはさらにユウジの金玉を握る手を緩めてやった。

「ねえ、週にどれくらい、オナニーしてるの? いつもお人形さんを見ながらやってるの? それとも、ビデオとか?」

やがてその手はリズミカルに、金玉袋を揉み始めた。
ユウジの下腹部にはまだ重苦しい痛みが残っていたが、それはそれとして、掌の上で金玉を転がすような指先の動きには、心地よさを感じてしまった。

「え…と…。週に2回くらい…です」

「週に2回? ホントに? アナタみたいな変態は、毎日してるんじゃないの? 学校にも行かない、彼女もいないんじゃ、頭の中でいやらしいこと考えるのだけが楽しみなのよね? そうでしょ?」

「は、は…い…」

いたぶるような言い様だったが、ほとんど事実なので、ユウジには否定することはできなかった。
男としてのプライドよりも今は、睾丸をマッサージされる快感に身を委ねたかった。

「だからね。その奥田さんの唯一の楽しみを…私が奪い取ってあげるわ!」

ヒトミの手に、先ほど以上の圧力がかかり始めた。
今まで快感に身をよじっていたユウジは、突然の激痛に叫び声を上げる間もなく、息を詰まらせてしまう。

「あ…はぁぁっ!!」

もはや立っていることはかなわず、ユウジの意思とは無関係にその膝は折りたたまれてしまった。
しかしヒトミの手は一切緩むことなく、座り込んでしまったユウジの金玉を、ますます強く握りしめている。

「奥田さんはいやらしいことばかりしてるから、この部屋に居座り続けるんでしょ? だったらこの金玉を潰して、二度とオナニーできなくなればいいのよ。アナタみたいな人は、それでちょっとはマトモな人間になれるかもよ?」

ミサトはほほ笑みながら言うが、その手には万力のような力が込められ、本当にユウジの金玉を潰そうとする勢いだった。
ユウジは思わずヒトミの手を掴んだが、全身の感覚は強烈な痛みに支配され、まるで力が入らない。

「あがぁああ…!! は、離して…。離してください…」

絞り出すようにしか、声を出すことができなかった。
股間から発せられる痛みは、すでにユウジの呼吸器官にまで影響し、胃の奥から吐き気さえこみ上げてきているのだ。
涙と鼻水を流しながら懇願するその姿に、ヒトミはさすがに少し笑ってしまった。

「大丈夫よ。もうすぐ終わるから。犬だって、去勢すればおとなしくなるでしょ? 奥田さんも、明日にはさっぱりした気分で引越しができるはずよ」

ヒトミの笑顔は、ユウジにとってこの上ない恐怖だった。
金玉がどれだけ痛いのかさえ分かってもらえれば、手を離してくれるはずだと思ったが、この名状しがたい苦痛をどうやって女性であるヒトミに伝えればいいのか。昏倒する寸前のユウジの頭では分からなかった。

「ひっ…引っ越します…! ここから出ていきますから…。ゆ、許してください!」

ピクリと、ヒトミが反応した。
その手に込められた力が、わずかに緩んだ。

「あ、そう。アナタの方からそう言ってもらえると、助かるわ。でも、いつ引っ越してもらえるのかしら?」

ユウジはここでヒトミの機嫌を損ねてはなるまいと、必死に考えた。

「あ…はぁ…。こ、今週中には…ぎゃあっ!!」

「今週中? 今日はまだ火曜日よ、奥田さん。私は昨日、明日までに出て行けって言ったわよね? アナタはその約束も守ってないのよ。それはちょっとおかしいんじゃないかしら? ねえ?」

「はい。はい…その通りです! あ、明日までに出て行きます。出て行きますから…!」

問いかけるたびに、ユウジの睾丸はヒトミの手の中で無残に変形した。
ユウジは悲鳴を上げながら必死に許しを乞うたが、ヒトミは手を緩めることなく、さらに言った。

「あ、そう。明日? 無理しないでいいのよ。だって、そんなに急に引越しされたら、契約違反っていうことで、敷金と礼金を返せなくなるもの。合わせて20万円くらいかしら。それでもいいの?」

言葉とは裏腹に、ヒトミの手の圧力はじわじわと強くなっていく。
ひとつ答えを間違えれば、本当に金玉を潰されかねないとユウジは感じた。

「い、いいです! それはいいですから…!」

「本当に? 敷金と礼金は返さなくていいの? それじゃ何か悪いわね」

そう言いながら、ヒトミは笑っていた。

「そうだ。敷金の10万円だけ返すから、その代わりに奥田さんのコレを、一つ潰させてもらうっていうのは、どう?」

睾丸の一つに親指の爪を食いませると、ユウジの下半身には火がついたような痛みが走った。
これ以上力をこめれば、すぐにでもユウジの金玉は破裂してしまいそうだった。

「ぎゃあぁっ!! い、いいです! いいですから!! 離してください!」

喉が枯れんばかりの叫び声を上げるユウジを見て、ヒトミは楽しそうに笑う。

「あ、そう? 遠慮しなくていいのよ? ちょっと我慢すれば、10万円も貰えるのに。そうそう。それから、アナタがさっき汚い手で触ったこのスーツね。もう着たくないから、家に帰ったらすぐ捨てるつもりなんだけど…。どうしようかしら?」

「べ、弁償します! 弁償させてください! お願いします!」

「そう? 何か悪いわね。催促したみたいで」

「ああぁっ!!」

ニコニコと笑うヒトミに対して、ユウジの意識は今にも飛んで行ってしまいそうだった。
あるいはその方がユウジにとっては幸せだったかもしれないが、ヒトミは気絶すら許さないとでも言うように、リズミカルに揉みこむようにして、睾丸を握りしめているのだった。

「じゃあ明日、書類を持ってきますから、印鑑とお金を準備しておいてね」

涙を流しながら、必死にうなずいた。
ヒトミはそれを見て満足そうに笑うと、ようやくユウジの股間から手を離してやった。
ユウジはすぐさま股間を両手でおさえて、自分の金玉の無事を確認する。解放されたとはいっても、これから数時間は、この重苦しい痛みと闘わなければいけないのだ。

「奥田さんって、意外といい人だったのね。助かるわ。でももし、明日引越しができなかったら…」

うずくまるユウジの耳元に口を近づけて、囁くように言った。

「今度こそ、本当に潰すからね」

その声は冷たく、有無を言わせぬ迫力があり、すでに抵抗する気力を失っているユウジの脳内に、重く響くものだった。
「はい…」と、ユウジはか細い声で、うなずくことしかできなかった。

「じゃあ、よろしく」

ヒトミは一仕事終えたように揚々と立ち上がると、両手にはめていた白い手袋を外して、ユウジの頭の上に投げ捨てた。
ユウジは何も言うことができず、動くことさえできなかった。
やがてヒトミが部屋を出て行くのを確認すると、床に突っ伏して、シクシクと泣き始めるのだった。


終わり。


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